2015年11月29日日曜日

印刷できる体温計が開発された

2015年11月27日

絆創膏型の体温計ができるかも。

東京大学大学院工学系研究科の研究グループが、グニャグニャ曲がる薄っぺらいプラスティック製の温度計を作成した。しかも、この温度計は、印刷プロセスで作成できるという。

柔軟で薄っぺらいので、ウェアラブルデバイスだけでなく、衣類や絆創膏などの医療品への搭載も可能になる。

更に、精度が高いと言うからかなり有望なデバイスとなりそうだ。

■ 薄っぺらだが高性能な温度センサー

この薄っぺらな温度計は、柔軟でもあるため、生体組織に貼り付けて表面温度の分布を測定することもできる。

グラファイトを添加したポリマーでできたこの温度センサーは、プリンタブルな上にフレキシブルだ。
しかも感度が良く、0.02℃の変化を測定でき、僅か100ミリ秒という素早さで応答する。

この温度センサーが、どれほど優れているかという実験が行われている。

ラットの肺の表面温度を計測したところ、呼吸で吐くときと吸うときでは肺の温度が約0.1℃異なる事を世界で初めて突き止めたのだ。

この実験によって、恒温動物の体温調整の絶妙さが分かったわけだ。勿論、この温度センサーが生体組織に貼り付けられることで、表面温度を高精度で計測できることも分かった。

■ 様々な応用分野が期待される

今回発表された温度センサーの様な、デバイスを印刷プロセスで作成する技術を、“プリンテッドエレクトロニクス”と呼ぶ。

“プリンテッドエレクトロニクス”は、省資源化や低コスト化に優れているため、次世代フレキシブルデバイスの製造手法として注目されている。

また、今回“プリンテッドエレクトロニクス”によって作成された温度センサーは極薄であるため、ウェアラブルデバイスへの応用が期待されている。

一方、0.02℃という高い感度と100ミリ秒という速い応答速度、そして1,000回以上繰り返し温度が上がり下がりしても再現性が高いこと、さらに曲率半径700マイクロメートルの曲げにも耐えることから、ヘルスケア、医療などへの活用にも期待されている。

例えば、絆創膏にこの温度センサーを印刷して、皮膚に貼り付けて温度計測したり、術後の患部や炎症部分に貼り付けることで、局所的な発熱を捉えていち早く体温の異常をモニターすることも可能になる。

その他、曲げに強いことから、スポーツウェアなどに採用することも考えられているようだ。

様々な分野での実用化が期待される温度センサーである。

外来化学療法の普及の裏に「見えない医療費」

2015/11/29 連載: 日経デジタルヘルス Selection

「見えない医療費の問題は大きい。抗がん剤の外来化学療法を進めようと言われているが、患者の距離は無視されている。現実として、通院費がないということもある」──。こう語るのは、帝京大学医学部第三内科教授の小松恒彦氏だ。

ゾウが、がんになりにくいのはなぜか、それを人間に活用する方法について/英国医療サービス(NHS)

海外癌情報リファレンス 2015年11月28日 

英国医療サービス(NHS) 2015年10月9日金曜日

「ゾウは腫瘍形成に対する防御力を高めている可能性がある」とBBCニュースが報じた。

ゾウは長年、進化生物学者達にとって謎であった。体が大きいことはがん化する可能性のある細胞も多いということであり、先週の記事「背の高い人について」にも見られるように、ゾウのがんによる死亡率は平均を超えているに違いないと予想される。

しかし、ゾウの場合には当てはまらない。がんで死亡するゾウは20頭に1頭に過ぎない。これに比べてヒトでは5人に1人である。本研究の意図は、その理由を解き明かし、ヒトへの応用の可能性を探ることであった。

研究者は、アフリカゾウおよびアジアゾウから白血球を採取し、ゾウがTP53遺伝子を少なくとも20コピー持っていることを見出した。TP53遺伝子はDNAが損傷したとき細胞の「自殺」を促進し、その後のがんを発現する可能性を残さないことで知られている。これに対して、ヒトはTP53遺伝子のコピーを1つしか持っていないと考えられている。

当然出てくる重大な疑問は、言うなれば室内のゾウである私たち人間は、どうすればTP53遺伝子の活性を高めて、同様の防御作用を刺激することが可能かということである。その答えは単純で、分からないのである。研究者の間では、TP53遺伝子の作用は1979年から知られているが、現在のところ、その作用の活用についての喜ばしい報告はほとんどない。

今の段階では、予防は治療よりも有効である。既に立証されている、がんのリスクを減らす方法には、禁煙する、野菜や果物の多い健康的な食事を摂る、健康体重を維持する、定期的に運動する、日焼けを避ける、アルコール摂取は適度にすることなどが含まれている。

研究の出典

本研究は、ユタ大学、ペンシルベニア大学、リングリング・ブラザーズ・アンド・バーナム・アンド・ベイリー・ゾウ保護センター、アリゾナ州立大学、およびカリフォルニア大学の研究者によって実施された。

米国エネルギー省、米国国立衛生研究所(NIH)、乳がん研究プログラム、ハンツマンがん研究所(HCI)核コントロールプログラムなど米国の複数の機関による研究助成を受けている。

本研究は査読誌であるJournal of the American Medical Associationで公表された。

全般的に、英国メディアで広く取り上げられ、正確かつ責任ある報道がなされた。しかし、研究の限界の一部はあまり明確に説明されていない。

研究の種類

本研究は主として実験室内で実施され、様々な動物種におけるがん発生率を比較し、一部の動物が他の動物よりも「がんに対して抵抗性を示す」理由を明らかにすることが目的であった。

ゾウやライオンなどの大型動物は、がん化するおそれのある細胞をより多く持っているため、小型動物よりもがんになる確率が高いであろうと予想される。しかし通常はそうではなく、これはペトのパラドックスといわれている。

本研究は、ゾウががんに抵抗性を示す理由を明らかにすることに重点を置き、ゾウ、健康な人、がんになりやすい患者の細胞がDNAの損傷に対し、どのように反応するかを比較した。DNAの損傷は、細胞をがん化させる原因となる可能性がある。がんにかかりやすい患者は、特に子供および若年成人でいくつかの種類のがんを発現するリスクが増加する、まれな疾患であるリー・フラウメニ症候群(LFS)であった。

インビトロ、すなわち実験室における研究では、各細胞がさまざまな曝露にどのように反応するかを理解することを特徴としている。しかしながら、管理された環境下で単一の細胞についてのみ評価するため、結果が生体内と異なる可能性がある。これは、一つの生体内でも多くの異なる細胞が複雑に、相互に作用し合うためである。

研究内容

研究者は最初に、サンディエゴ動物園の動物の14年間のデータを収集し、がんの発生率が体の大きさ、あるいは寿命に関係するかどうかを調査した。

また、エレファント・エンサイクロペディアのデータを収集し、アフリカゾウおよびアジアゾウの死因を分析した。研究者は本データを、がんの生涯リスクと様々な動物種のがんによる死亡リスクの算出に用いた。

次に、8頭のアフリカゾウとアジアゾウ、LFS患者10名、および、がんの家族歴のない人11名(健康な対照群)から血液を採取し、白血球を分離した。特に異なる動物の細胞が持つTP53遺伝子のコピーの数を重点的に調べた。TP53遺伝子は、ヒトと動物のどちらにもみられる腫瘍を抑制するタンパク質を産生する。

さらに、細胞中のDNAに損傷を与えるような条件に曝露された場合の細胞の反応を調べた。このような状況では、細胞は分裂を停止しない場合、DNAの損傷を正しく修復するか、細胞の「自殺」によって死ななければ、がん化する可能性がある。

結果

バッタネズミなど極小型から非常に大型(ゾウ)の動物まで、ヒトを含む合計36種類の哺乳類が分析対象となった。主な結果は次の通りである。

・動物の体の大きさや寿命によるがんのリスクの変化はなかった。
 ・エレファント・エンサイクロペディアの644頭のゾウのうち約3%が生涯でがんを発現した。
・ゾウの白血球にはTP53腫瘍抑制遺伝子が少なくとも20コピーあった。一方、ヒトの細胞にはこの遺伝子のコピーが1つしかなかった。
 ・これらの余分の遺伝子のコピーには活性があるという科学的根拠があった。
 ・ゾウにおけるDNA損傷に対する細胞の反応性は、ヒトに比べ有意に上昇していた。
 ・ゾウにおけるDNA損傷後の細胞の自殺は、健康なヒトの細胞よりも起こりやすく、一方、LFS患者の細胞ではDNA損傷後の細胞の自殺はほとんど起こらなかった。

結果の解釈

研究者たちは、ゾウは、他の種の哺乳類に比べてがんの発症率が予想より低く、これにはTP53遺伝子の複数のコピーが関係している可能性があると結論した。

ゾウの細胞ではヒトの細胞と比較して、DNA損傷後の「細胞の自殺」が多く示された。

「これらの結果は、再現されれば、がんの抑制に関わる機序を理解するための進化論ベースのアプローチとなり得るであろう。」

結論

本研究では、36種の哺乳類のがんのリスクを評価し、がんの発症率は動物の体の大きさや寿命とは関連していないことが確認された。したがって、研究ではゾウが体の大きさから予想される以上に、がんに抵抗性を示す理由を探ることに重点が置かれた。

研究者は、ゾウがTP53遺伝子を20コピー持っていることを見出した。TP53遺伝子は腫瘍を抑制する働きがあり、ヒトにはこのコピーが1つしかない。

実験室内での研究では、ゾウの細胞はヒトの細胞よりもDNAが損傷した時の細胞の自殺を多く起こし、細胞をがんの原因となり得る変異から保護していた。

この研究の結果は興味深く、ゾウのがん発症率が予想より低い理由の一つを明らかにした可能性がある。

ペトのパラドックスに根拠を与える事実を調査することによって、将来人間のための新治療法の発見に至る可能性が期待される。

しかしながら、がんの発現には多くの遺伝子、さらに環境因子も関与しているとみられる一方、この研究では1つの遺伝子しか調査されなかった。

生まれ持った遺伝子に対してできることは少ないが、がんのリスクを減らすために実践できる方法は複数ある。

ハダカデバネズミ

30年の寿命があるにもかかわらず、めったにがんを発現しないと考えられている動物に、アフリカのサバンナ原産で穴を掘って住んでいるげっ歯類に属するハダカデバネズミがある。

この事実から、「柔軟な皮膚ががんを防ぐ可能性がある」という気の早い主張や、さらに、動物が「がんの万能治療法」へのカギを握っているという主張まで出ている。

ハダカデバネズミの分野では真に興味深い結果が出ている一方、このような主張に根拠はない。

2015年11月26日木曜日

ジェネリックに医師が不信感 同じ材料でも同じ薬にならない

2015年11月25日 16時0分 NEWSポストセブン

11月6日、厚生労働省は医師などを対象に行なったジェネリック医薬品についての意識調査の結果を、中央社会保険医療協議会に報告した。

 それによると、病院勤務の医師のうち54.9%、つまり半数以上が、現在のジェネリックに対して「不信感がある」と回答。その主な理由は、先発医薬品との「効果・副作用の違い」(67.9%)、「使用感の違い」(38.6%)などである。

 ジェネリックは、医薬品の「有効成分の特許」が切れた後に発売される低価格の後発薬で、年々かさむ医療費を抑えるための「救世主」と目されてきた。

 新薬の開発には臨床試験などの費用として数百億円かかるといわれるが、先発薬と同じ有効成分を使うジェネリックは臨床試験が大幅に割愛されるため、開発費が節約され、薬価が抑えられる。先発薬と比べて3~5割安くなる場合もある。

 厚労省によると、2012年度の国民医療費は約39兆2000億円。2025年度には55兆円を超えるとみられている。ジェネリックの利用が増えれば患者個人の医療費だけでなく、国民医療費を大幅に削減することにもなる。

 政府は今年5月、2020年度末までにジェネリックの普及率を80%以上に引き上げるとする目標を掲げ、医療財政を健全化するための施策とした。

 そんな中で発表された今回の調査結果は、医療業界で大きな話題となっている。医師たちがジェネリックに不信感を抱く主な理由である先発薬との「効果、副作用の違い」は、“特許が切れた後”という部分に起因している。

『なぜ、あなたの薬は効かないのか? 薬剤師しか知らない薬の真実』(光文社刊)の著者で薬剤師の深井良祐氏が解説する。

「医薬品の特許は、有効成分そのものの『物質特許』や薬の製造過程に関わる『製剤特許』など様々です。最初に切れるのが『物質特許』で、多くのジェネリックはこの特許だけを真似して出されています。

『製剤特許』が切れるまでは成分と用量は先発品と同じでも、製剤法は同じではないのです。さらに薬は有効成分だけでなく、添加物も含まれます。剤形(錠剤、カプセル、粒状などの形)の違いで効果に差が出る可能性もあります」

 つまり、ジェネリックと先発薬は「完全に同じ薬」ではない。

 双方を治療で使用した場合に全く同じ効果が出るかどうかを検証した調査は存在しない。患者がジェネリックに切り替えたところ、発作の悪化や副作用の出現が報告された事例もあるという。新潟大学名誉教授で医師の岡田正彦氏は次のように語る。

「添加物や剤形が変わると、薬の溶け出す速度が変化したり、有効成分が分解されやすくなったりします。人によっては効きすぎたり効果が出にくかったりする。同じ料理を同じ材料、分量で作ったとしても、違う調味料が加われば異なるレシピとなり、味も変わるのと同じことです」

 前出の深井氏は、実際に効果の差が表われやすい医薬品を挙げる。

「たとえば、喘息を治療するための貼り薬のジェネリックを敬遠する医療従事者は多い。貼り薬は肌にピタッと貼ることで徐々に薬が溶け出していく。溶け出しのタイミングは、製剤方法に左右されます。それが真似できない状況でジェネリックが次々と出てくるため、効果に違いが表われやすいのです。その他にも“外用薬”といわれる湿布や点眼薬、塗り薬などは、効果に差が出やすいと言われています」

※週刊ポスト2015年11月27日・12月4日号

2015年11月25日水曜日

各患者に必要な検査結果をお薬手帳に記録

私のおくすり手帳。入院中で院内処方だった。
私のおくすり手帳。ホルモン治療中。
私は「おくすり手帳」に自分の汚い手書きで、受けている治療の内容(抗がん剤の種類、LH-RHアゴニスト、など)、血液検査で良くなかった結果の数値など、このブログの右サイドにある「治療歴」のような内容を記している。処方された薬を自宅で飲んだかどうか、市販薬を服用した時はそれも書き足している。ざっくりとだけど、自分がどういう治療を受けているかを把握できるので、とても便利だと感じている。だから、下記の試みはとても有効なんじゃないかと思う。

----------
各患者に必要な検査結果をお薬手帳に記録
excel VBAを用いて検査結果を出力し、お薬手帳に貼付
2015/11/25 日経DI

希望する患者さんのお薬手帳に、検査結果を貼付するようにしています。そうすることで、患者さんは検査結果に興味を持ち、自分のどの部分が悪いのか意識するようになり、治療に前向きになりアドヒアランスが向上するものと考えています。

2015年11月23日月曜日

豆乳に女性ホルモン(エストロゲン)補充の効果

 2015年11月23日

7日の日本女性医学会において、マルサンアイと長崎大学は、豆乳を摂取することで、女性ホルモン(エストロゲン)の欠乏による骨格筋の萎縮や筋力低下が抑制され、骨格筋幹細胞の増殖能や筋分化能が改善することを確認したと発表した。

研究グループが実施したマウスを用いた試験において、エストロゲンの欠乏により骨格筋の萎縮や筋力低下を引き起こすが、補充することで、これらが抑制されるという結果が出た。

豆乳は良質な植物性たんぱく質やエストロゲン様作用のある大豆イソフラボンを豊富に含み、食品という形でエストロゲンを補充できる可能性があるとしている。

閉経後の女性、過度なダイエットによる低体重の若年女性、厳しい食事制限やトレーニングを行う女性アスリートなどは、エストロゲンの欠乏を起こしやすいという。

2015年11月17日火曜日

医師と予後を話し合うことは進行がん患者に有益/NCIブログ〜がんの動向〜

NCI(アメリカ国立癌研究所) » NCIブログ~がんの動向~ » 2015年11月17日

2015年10月30日
NCIブログ〜がんの動向〜

新たな研究によると、担当医と予後について話し合った進行がん患者は、話し合いをしなかった患者よりも、平均余命について現実的な予測をしていた。さらに、このような話し合いは患者の幸福感を損なうことや、医師との関係を損なうこともなかった。

本研究では、担当医と予後について話し合った患者は、話し合わなかった患者よりも、終末期ケアを計画し、終末期には積極的治療よりも緩和ケアを望む傾向にあったことも示された。

これらの知見は、Journal of Clinical Oncology誌10月5日号で発表された。

これまでの研究から、がんが治癒可能かといった予後情報を大多数の進行がん患者が求めていることが示唆されてきた。しかし、進行がん患者が具体的な余命に関する情報を常に求めているのか、またこのような詳細を知ることが患者にどれほどの影響を与えるかについての研究はほとんどない。

これらの疑問を調査するため、Weill Cornell 医科大学のHolly Prigerson医学博士らは、緩和的化学療法を少なくとも1回受けた転移性がん患者590人を対象とした研究を行った。

患者は、研究開始前にインタビューを受けた後、死亡(または研究終了時)まで追跡調査された。予後についての話し合い、および余命に関する情報への興味について報告することに加え、患者は自身の平均余命を推定した。また、担当医との関係、苦痛の程度、事前指示書を作成済みであるか、終末期ケアについての希望についての質問にも回答した。

結果を解析すると、研究に参加した患者が予後について知りたかった内容と、実際に告げられたことを思い出した内容には大きな乖離があることが明らかとなった。患者の71%は平均余命についての情報を求めていたが、医師から予後の推測を告げられた患者は18%にも満たなかった。

「末期がん患者の大多数が予後を知りたがっているという事実は驚くほど勇敢であると思われる。また、担当医から余命を知らされたと報告した患者が18%にも満たないことは残念である」とPrigerson氏は述べた。

本研究に参加した患者の多くは、これまでの研究で報告されてきたのと同様に、余命について「実に楽観的」であった。医師と患者が予後について話し合うことで、患者に悲しみや不安を与えずにこれらの誤解を正すことができるかもしれないということをこの新たな結果が示唆している。

「予後について医師と患者で話し合うことで感情面の悪影響はなかった」とPrigerson氏は述べたが、「誰もがそうであるように、医療提供者は厳しい話題を話し合いたがらないことが多い」と加えた。

正確に余命を推定することが難しいことや、患者がその見積もりを知りたがっているかどうかが不確かであることも含め、医師が末期患者と予後について話し合うことを避けるのには、他の理由があるかもしれないと本研究の著者は述べた。

こういった話し合いを持つことは困難ではあるが、特に将来の計画を立てる手段として、予後についてもっと頻繁に最新の情報を得ることで恩恵を受ける患者は多いかもしれないということを新しい知見は示唆している。「担当医から予後の情報を開示してもらったと報告した患者は、DNR(蘇生処置拒否)指示をし、緩和ケアを望む傾向にあったことは心強い」とPrigerson氏は述べた。

本研究にはいくつかの限界がある。例えば、患者からの自己申告の回答には思い出しバイアスが生じている可能性があり、本研究で示された関連性は因果関係を示していないと筆者は述べた。
Prigerson氏は、予後の情報がすべての患者にとって有益であるわけではないということも警告した。

「悪い知らせを聞いたり、処理したりする準備ができていない患者もいるかもしれない。自分の将来は医師の手中ではなく神の手中にあると考え、重要でないとして拒否する患者が、実際に情報を提供されることがあるかもしれない」と説明した。

こうした場合、「その状況になることで、益となるより害になる。しかし以前の研究では、予後についての情報を得ることは90%以上の患者にとって有益であり、宗教的、心理的または社会的な理由で有益ではないという患者は少数派であるということがわかっている」とPrigerson氏は続けた。

2015年10月25日日曜日

粒子線治療の「バーチャル外来」始まる

総合南東北病院が2015年春から稼働、遠隔地の病院間で画像を含む医療情報を共有
粒子線治療の「バーチャル外来」始まる
2015/10/25 大下 淳一=日経デジタルヘルス

 低侵襲で効果の高いがん治療法として期待を集める、粒子線治療。治療施設の建設が相次いではいるものの、まだ同施設を持たない都道府県は多い。こうした地理的不均衡の解消に向けて、患者やその家族が高度放射線治療に関する相談を近隣の医療機関で受けられるようにする仕組みが、2015年春に東北地方で稼働を始めた。

2015年10月18日日曜日

2000人のうち40%が過去に重度のうつ病経験あり、多くが治療をせず―カナダ統計

2015年10月18日

最近になってようやく重大な病気として認知されるようになった「うつ病」。しかし労働者の多くが知らずにうつ病にかかり、そのうちの半数近くが病院などに助けを求めようとしていないという結果が発表された。

2219人のうち40.0%が重度のうつ病

この研究を手掛けたのはカナダのトロントにある、Centre for Addiction and Mental Health (CAMH)の研究者たち。

彼らはオンタリオ州に住む18歳から65歳までの2219人に、電話アンケートやウェブによる調査を実施。職場で働いている人々の精神面の健康状態を調べた。

その結果、アンケートに答えた人の約40.0%が過去に重度のうつ病にかかっていたことが判明。そのうち52.8%が病院へ行かず、治療を受けていないことが明らかになった。

しかもこの割合は、全米やオーストラリア全土で行われた統計での割合と著しく似ていたという。

社員のうつ病で生産性が33.0%も下落

さらに研究者らは、社員のうつ病によって職場での生産性がどのくらい落ちているのかを計算。その結果、本来の生産性に比べて33.0%も下落していることが判明した。

また彼らが精神ケアを受ける際の心の壁となったものを分析したところ、多くの人が病気になったことへの不名誉な気持ちや、治療には効果がないという考えを抱いており、治療費や適切な医者に出会えないという問題に直面していることが明らかとなる。

Carolyn Dewa博士は「社員にうつ病治療の理解を促すことは、仕事の生産性を高めます。(略)しかし認識の改善は経営者だけの問題ではない。最も効果的な職場でのケアとは問題の複雑さを認識すること、包括的な方法で全てに対処することです」と語った。

多くの人が気づかぬうちにかかっている「うつ病」。この病気が蔓延するような状況の中で、企業にはより良い職場づくりに力を注いでもらいたい。

2015年10月15日木曜日

医療の安全、「トヨタ方式」で…人材育成に応用

 産業界の品質管理手法を医療に生かそうと、トヨタ自動車と名古屋大病院が共同で、医療の安全と質向上を担う人材育成に乗り出した。「ものづくり」の発想を医療に応用するもので、養成講座が今月スタートした。

 最近、群馬大病院や東京女子医大病院などで深刻な医療事故が相次いでいる。名大病院は文部科学省の補助金で、トヨタが培った手法を医療現場で実践する事業を始めることにした。

 トヨタでは、不良品がどの工程で発生したかを速やかに確認し、問題を最小限に抑えている。こうした品質管理のノウハウは、医療事故がどの段階で起きたかを解明して診療や組織運営の進め方を見直し、安全性の向上を図る形で医療に応用できるという。

 受講者は、各地の病院に勤務する医師16人。トヨタが取っている具体的な手法を学び、実際に病院で起こる問題の解決を試みるなど、半年かけて実践的に学ぶ。
 
(2015年10月9日 読売新聞)

2015年9月29日火曜日

1週間に2回ビールを飲む女性は、全く飲まない人より心臓病のリスクが30%も低い

IRORIO 2015年09月29日

さまざまな病気を引き起こすとされてきたアルコール。しかしビールを適度に飲む女性は、全く飲まない人に比べて病気のリスクが低くなるという結果が発表された。

1968年から32年間に及ぶ追跡調査

この研究を行ったのはGothenburg大学のSahlgrenska Academyの研究者たち。彼女らは1968年から1500人の女性に対してビールやワイン、ウイスキーやブランデーなどの蒸留酒を飲む頻度を調査。

さらに2000年までの32年間、女性たちの肉体的な状況や病気の状態を詳細に調べ続けた。

1週間に1回か2回飲む人は低リスク

その結果、研究を終えた時点で被験者の年齢は70歳から92歳にまで及び、そのうちの185人が心筋梗塞などの心臓病で苦しみ、162人が脳梗塞、160人が糖尿病を患い、345人ががんと診断されていたことが判明。

また1カ月に2回以上、蒸留酒を飲む女性は、ほとんどアルコールを摂取しない人に比べて、がんで死ぬ可能性が約50%も高いことが明らかとなる。

さらに1週間に1回か2回、もしくは1カ月間に数回、適度にビールを飲む女性は、1週間に3回以上飲む人や、逆に全く飲まない人に比べて30%も心臓病にかかるリスクが低いことも分かった。

調査に携わったDominique Hange女史は報告の中で「私たちは心循環系の疾患に対する、ビール以外の飲み物についてもリスクをチェックしましたが、同様の結果になりました。ただしワインの効果については分かりませんでした」とコメントしている。

ビールに含まれる多くの栄養素

また研究者らは、健康にメリットを及ぼすとされるビールの原材料も調査。その結果、調べたビールにはビタミンB6やB12、タンパク質の代謝などを行うリボフラビン、天然のビタミンとされる葉酸塩だけでなく、ケイ素も多く含まれていた。

ビールを全く飲まないのは、身体に良くないというのは意外と言える。もしかしたら精神面における作用も影響しているのかもしれない。

出典元:A 32-year longitudinal study of alcohol consumption in Swedish women: Reduced risk of myocardial inf - Taylor&Francis Online(7/20)

2015年9月24日木曜日

北斗晶、乳がんを告白 あす24日に右乳房全摘出手術

2015年09月23日

元女子プロレスラーでタレントの北斗晶(48)が23日、自身のブログを更新し、乳がんであることを告白した。あす24日の朝に右乳房全摘出手術を受けることも明かしている。

北斗はブログで、数カ月前の診断で右乳房全摘出という結果にショックを受けた気持ちを隠さず、今年頭に違和感を覚えた頃から手術前日のきょうまでの経緯や心境をつづっている。

今年頭に最初の違和感を覚えたが、毎年マンモグラフィーやエコー検査を受けていること、さらに今年が結婚20周年で下の息子の小学校卒業の記念旅行を計画していたことから、すぐには検査に行かなかったという。しかし、春にサイパンへ旅行した際、水着に着替える際に自身の裸を鏡で見ると、「乳頭がセンターにない様に見え、引きつってる様な感じ」を受け、夏になって右胸に痛みを感じるようになり、病院で検査したところ「調べた胸の細胞からがんの陽性反応が出た」と診断されたことを明かした。

右乳房全摘出を医師から告げられた時を、「あまりの恐怖とショックに初めて自分の事なんだと…泣きました」と回想。すぐには受け入れられなかったが、医師からの「胸の事よりも今は5年先、10年先、生きることを考えましょう」という言葉で手術を決断した。

告知されてからの数ヶ月、仕事はすべてキャンセルせずにこなし、きのう22日に放送されたレギュラー番組『5時に夢中』(TOKYO MX)の生放送を最後に、入院。「残念ながら、私の癌は胸だけでなく脇のリンパにまで転移している可能性がある様です。これから長い闘病生活が始まります」と病状を報告したが、「しばらくはテレビの画面ではお会いできませんが、このブログを通して頑張って生きてる姿を観ていただければと思っています」とファンに呼びかけた。

2015年9月22日火曜日

OncoLog 2015年7月号◆ハイリスク、転移性乳がん向け免疫療法の臨床試験に期待が高まる/MDアンダーソンがんセンター

海外癌医療情報リファレンス 2015年9月18日

MDアンダーソン OncoLog 2015年7月号(Volume 60 / Number 7)
ハイリスク、転移性乳がん向け免疫療法の臨床試験に期待が高まる

この数十年、乳がんの治療成績は改善し続けているものの、再発および転移性の乳がんの治療は引き続き困難である。転移性乳がんの治療とリスクの高い乳がんの再発予防に向け、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らは、患者の免疫を活性化するさまざまな手法に取り組んでいる。免疫療法に関する数多くの臨床試験もすでに始まっている。

最近の研究知見から、乳がん治療における免疫療法に対する関心が再燃していると、外科腫瘍学准教授のElizabeth Mittendorf医学博士は話す。「乳がんは長年、免疫原性を持たないと考えられてきましたが、過去2年間に発表されたデータをみると、乳房の腫瘍にT細胞を含む免疫細胞があることが示されています。つまり乳がんは免疫原性を持つということです」と、同医師は言う。

他のタイプのがんで免疫療法が飛躍的前進を遂げたことで、乳がん向け免疫療法の研究にも期待が高まっている。「がんに対する免疫学の理解は急速に進歩しています」と、乳腺腫瘍科教授のNuhad Ibrahim医師は述べる。悪性黒色腫(メラノーマ)および前立腺がんに対する免疫療法薬剤やワクチンの最近の成功をあげ、「乳がんではこうした飛躍的な進歩はまだありませんが、進歩につながる糸口はすでに見つかっています」と、同医師は話す。

研究者らは、こうした糸口から複数の可能性を模索している。「以前から免疫系を不活性化させるというのは興味を引くものでしたが、その一方で、インターフェロンやインターロイキン‐2といった古い免疫療法では、乳がん患者が利益を受けるだけの十分な免疫反応が出ませんでした」と、乳腺腫瘍科教授のDebu Tripathy医師は言う。しかしワクチン療法や免疫チェックポイント阻害剤、その他の免疫療法の進歩を得て、「ついにわれわれは新たな段階に入りました」と、Tripathy医師は述べた。

ワクチン

抗MUC1ワクチン

「転移性乳がん患者に対してワクチンを使う以前の免疫療法の試験は、患者の全生存を改善するという主要目的を達成しませんでした。しかしそうした過去の研究から、われわれは多くのことを学んだのです」と、Ibrahim医師は言う。同氏は1990年代に、乳腺腫瘍科教授のJames Murray III医師とともに、sialyl-Tn-keyhole limpet hemocyanin(STn-KLH、市販名Theratope)ワクチンを使ったランダム化臨床試験を実施した。STn-KLHワクチンは、乳がん細胞を広く覆う表面に発現するMUC1と呼ばれるムチンに由来する。この臨床試験は転移性乳がん患者の無増悪生存を延ばすという目標を達成しなかった。しかしながら事後解析により、このワクチンは、以前にタモキシフェンによる治療を受けていた患者の生存転帰を改善する可能性があることがわかった。

Ibrahim医師は、米国国立癌研究所と共同で、このほど抗MUC1、抗がん胎児性抗原ワクチン、共刺激分子をドセタキセルとともに投与する臨床試験を完了した。同試験の報告は現在、査読中である。

OPT-822

OPT-822はSTn-KLHワクチンと類似の構造を持つ炭水化物ワクチンである。過去の臨床試験でOPT-822は、一部の転移性乳がん患者、特に低用量のシクロホスファミドの投与を受けていた患者の全生存を改善した。これらの知見から、多施設臨床試験が計画され、最近、患者の登録を終えた。本試験では、低用量のシクロホスファミドの投与を受けた転移性乳がん患者に、免疫補助剤のOPT-821脂質とともにOPT-822ワクチン、またはプラセボを投与する。主任研究者はMDアンダーソンのMurray医師である。現在、試験結果を解析中である。

E75

乳がんワクチンのなかでも、E75(nelipepimust-S, 商品名NeuVax)は、最も進んだ段階にある。これはヒト上皮成長因子受容体2(HER2)に由来するペプチド・ワクチンである。Murray医師はE75を顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GMCSF)と組み合わせ、転移性乳がんまたは卵巣がん患者を対象とする小規模の第1相臨床試験を行った。ほとんどの患者でHER2に特異的な免疫反応が起きたものの、抗腫瘍反応は見られなかった。これは本試験に登録した患者の腫瘍が大きかったことが理由である可能性が高い。

「MDアンダーソンでは、乳がんに対してワクチンが効果を示すには、小さい病変を有する患者に投与すべきというだという考えでおおむね一致しています。つまり転移した段階よりも、むしろ術後補助療法として使うのです」と、以前のE75ワクチンの臨床試験で主任研究者だったMittendorf医師は言う。

Mittendorf医師は今回、再発リスクの高いHER2陽性乳がん患者にE75ワクチンを投与する2つの多施設臨床試験の主任研究者を務めている。第3相試験は登録を終え、一方、E75ワクチンとトラスツズマブ併用の第2相試験は現在、登録患者を受け付けている。

GP2とAE37

これ以外にも、HER2に由来するペプチドワクチンにGP2とAE37の二つがある。両方とも、術後補助療法としての臨床試験で患者登録を終え、現在、試験が行われている。外科腫瘍学非常勤教授のGeorge Peoples Jr.医師が率いる研究から生まれたGP2ワクチンは、E75より高い免疫原性を持ち、ヒト白血球抗原(HLA)-A2と、HLA-A3に結合する。AE37は10以上のアミノ酸を含んでおり、患者に広く免疫刺激を与える。AE37は前臨床試験でHER2特異的なCD4陽性「ヘルパー」T細胞を顕著に強化することが示された。

現在進行中の術後療法の試験に含まれる患者は、リンパ節転移陽性や、HER2過剰発現など、再発リスクが高い患者を含む。しかしながら、HER2免疫組織化学スコアが、HER2陰性または境界線を示す患者も本試験の対象者に含んでいる。2つのワクチンが異なる主要組織適合性遺伝子複合体分子と結合するため、試験に登録した患者はHLAの状態に応じて振り分けられた後に、ランダム化された。HLA-A2/A3陽性だった患者はGM-CSFをGP2と併用で、あるいはGP2なしで投与される群に無作為に割り付けられた。またHLA-A2/A3陰性だった患者は、GM-CSFをAE37併用で、あるいはAE37なしで投与される群に無作為に割り付けられた。

Mittendorf医師は、2014年の米臨床腫瘍学会の乳がんシンポジウムと年次総会で、GP2とAE37群の予備解析をそれぞれ発表した。「両方のワクチンともに安全で、免疫反応を刺激しました」と、Mittendorf医師は述べた。「AE37は、トリプル・ネガティブの乳がん患者で最も強い効果を示しました。われわれはトリプル・ネガティブ乳がんの患者を対象にした臨床試験を開発しています。GP2はトラスツズマブの投与を受けたHER2陽性患者で、最も強い反応を示しました」。

E39とJ65

E39ワクチンは、ほとんどの乳がん、卵巣がん細胞の表面に発現している葉酸結合タンパク質に由来する。MDアンダーソンが行った研究では、E39で卵巣がん患者は強い免疫反応を起こしたが、この反応が免疫機構を疲弊させてしまい、非生産的な結果となるのかどうかは明らかになっていない。このワクチンを最も有効に使う戦略を見極めるため、Mittendorf医師らはMDアンダーソンで臨床試験を開始した。本試験では、乳がんまたは卵巣がん患者に、E39と、E39の弱毒化版であるJ65を、様々な投与量で投与する。患者は次の3つのレジメンに無作為に割り付けられる。一つはE39の注射6回、もう一つはE39の注射3回の後にJ65の注射、そしてJ65の注射3回のあとにE39の注射3回である。

「この試験では、最初にE39を使って、その後、J65でやわらげた方が良いのか、穏やかなJ65から始めて少しずつE39に強化していった方が良いのかを見ます」と、Mittendorf医師は述べた。

免疫チェックポイント阻害剤

免疫チェックポイント(細胞傷害性Tリンパ球抗原(CTLA-4)、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、PD-1リガンド(PD-L1)など)を阻害する比較的新しいタイプの薬剤によって転移性悪性黒色腫患者の生存期間が改善しており、乳がんをはじめ他のがんにも有効であることが明らかになった。
乳腺腫瘍内科の准教授Jennifer Litton医師は、抗PD-1抗体および抗PD-L1抗体それぞれの早期試験のほか、転移性乳がん患者を対象とする抗PD-1抗体と抗CTLA-4抗体の併用療法に関する2試験でも試験担当医を務めた。「他の乳がん治療でみられたようにぼう大な人数が反応したというわけではありませんが、反応がみられた少数の患者では長期間にわたり奏効しました」と同氏は話す。「いくつかの全国的な試験では、効果が数年続いたトリプルネガティブ乳がんの患者さんも何人かいらっしゃいました。まさに革新的な治療です」。

Tripathy医師の話では、トリプルネガティブ乳がん患者は治療選択肢が限られているため、この患者集団でチェックポイント阻害薬が奏効したことは特に有望である。トリプルネガティブ乳がんは、他のタイプの乳がんよりも遺伝子変異の数が多い傾向にある。その変異により異常なタンパク質が産生されたりタンパク質が過剰に発現し、そのタンパク質が免疫療法の標的となる。たとえば、Mittendorf医師とLitton医師らによる新しい試験では、トリプルネガティブ乳がんの20%がPD-L1を発現していることがわかった。「トリプルネガティブ乳がんは、他のタイプの乳がんよりも免疫原性(免疫反応を引き起こす性質)が多少高いため、それがチャンスになります」とTripathy医師は述べた。

Litton医師もこれに同意し、「計画段階にあるわれわれのチェックポイント阻害薬に関する試験のほぼ全部がトリプルネガティブ乳がん患者を対象にしています」と話した。そのような試験のほとんどが転移性乳がんの患者を対象としているが、それ以外でもチェックポイント阻害薬が一役を果たすことができるかどうかが研究者らの注目するところである。

特に関心が高いのは、初期治療としての標準的な術前補助療法に反応しなかったトリプルネガティブ乳がんの患者を対象としている、抗PD-L1抗体 MPDL3280Aと、アルブミンを結合させてナノ粒子化したパクリタキセル製剤との併用療法の臨床試験である。この試験の責任医師であるLitton医師の話によれば、同試験はMDアンダーソンの新プログラムの一環であり、標準化学療法に反応しないがんの患者を特定し、代替療法を提供することを目的としている(下記の「トリプルネガティブ乳がんのためのトリアージプログラム」を参照)。

また、トリプルネガティブ乳がん患者でも、術前補助化学療法後に乳房またはリンパ節に残存腫瘍細胞がある患者を対象に、補助療法としての抗PD-1抗体ペンブロリズマブの大規模試験も計画されている。「このタイプの患者さんは、転移性乳がんになって、死亡するリスクが高いです」とTripathy医師は言う。試験参加患者は、標準的なフォローアップ治療にペンブロリズマブを併用する群としない群に無作為に割りつけられることになる。

さらに、ペンブロリズマブのある臨床試験では、まれではあるが高悪性度の炎症性乳がん患者の登録がまもなく始まる。この試験は、ペンブロリズマブが標準化学療法によって始まった抗腫瘍免疫応答を維持できるかどうかを検討することを目的としており、乳腺腫瘍内科教授兼モーガンウェルチ炎症性乳がんプログラム長の上野直人医学博士が主導する。

チェックポイント阻害薬の乳がん患者に対する生存効果はほとんど明らかになっていないものの、Litton氏は楽観視しており、次のように述べている。「われわれはまだ、本質には触れていないと思います。今後、さまざまな免疫療法薬の併用療法のほか、さらに多くの乳がん患者で免疫応答が誘発される方法を検討していくと思います」。

その他の免疫療法

「免疫療法に関するわれわれの試験は、単なるワクチンから、チェックポイント阻害薬をはじめ、免疫療法でも他の方法を使うようになりました」とMittendorf医師は話した。「また医療機関として、もっとやれる機会があります」。

たとえば、Ibrahim医師は、HER2陰性転移性乳がん患者を対象とする、経口免疫刺激薬indoximod(インドキシモド)とタキサンベースの化学療法の併用療法に関する進行中の多施設共同試験のMDアンダーソンでの試験責任医師である。Indoximodは、T細胞の活性を抑制するインドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ経路を阻害する。

他にも研究対象となっているのが、インターロイキン-8(CXCL8)の作用を阻害する薬剤である。CXCL8には免疫調節作用があり、乳がんの増殖と転移の起因となる。このような薬剤のひとつで、CXCL8 の受容体 CXCR1に結合する reparixin (レパリキシン)に関する試験がMDアンダーソンのほか、多施設で実施されている。

有望な治療薬の予備試験もいくつか実施されている。Mittendorf医師の話では、たとえば、小児科部門の教授Laurence Cooper医学博士がトリプルネガティブ乳がんに対して、キメラ抗原受容体によって改変したT細胞の使用を検討している(OncoLog 2014年5月号「T細胞を改変し、B細胞性悪性腫瘍を治療する–Sleeping Beauty(眠れる森の美女)療法」を参照)。

また近いうちに、抗ホスファチジルセリン抗体の試験もある。この抗体によって、乳がんに対するタキサン製剤の活性が改善されることが示されている。同様に、ナチュラルキラー細胞の活性を刺激することによって、トラスツズマブやToll様受容体拮抗薬など乳がんの標準治療薬への反応を強化させる可能性のある製剤の試験も計画が進んでいる。

今後のこと

研究者らによって乳がんに対する免疫療法の役割が明らかにされるにしたがい、転移性乳がん患者や再発リスクが高く治療が困難なタイプの乳がん患者が臨床試験にますます参加できるようになってきている。「トリプルネガティブ乳がん患者が参加できる、または参加できる手続きをしている臨床試験がいくつかあります。この分野は急速に進展しているため、免疫療法によって再発を防ぐことができるようになることを願っています」とTripathy医師は語った。

For more information, contact Dr. Nuhad Ibrahim at 713-792-2817, Dr. Jennifer Litton at 713-792-2817, Dr. Elizabeth Mittendorf at 713-792-2362, Dr. James Murray at 713-792-2817, or Dr. Debu Tripathy at 713-792-2817. To learn more about ongoing clinical trials at MD Anderson for patients with breast cancer, visit www.clinicaltrials.org.

トリプルネガティブ乳がんに関するトリアージプログラム

トリプルネガティブ乳がん(エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体およびHER2のいずれも発現していない乳がん)が標準的な術前補助化学療法に反応する確率は約50%である。がんが治療に反応せず再発のリスクが高い患者のために、MDアンダーソンがんセンターでは、試験段階にある適切な治療薬を見つけるためのトリアージプログラムを作った。

MDアンダーソンでは、トリプルネガティブ乳がん患者は遺伝子検査を受けてから、標準の術前補助化学療法を開始する。Litton医師の話によれば、トリアージプログラムの設計は、遺伝子検査の結果が出るまで2~3週間ほど待つことなく患者の治療をすぐに始める以外は、I-SPY2試験(OncoLog 2015年4月号「新しい試験デザインにより乳がんの治療開発が効率化―ISPY2試験」参照)とほぼ同じである。検査結果が届く頃には、がんが標準化学療法に反応しているかどうかを示す臨床データも医師の手元にある。

「トリアージのプロトコルでは、早期の反応を見ることができ、腫瘍が反応している患者さんには標準療法を続けて経過を観察します。そのような患者さんは治療が奏効する可能性が高いということです」とLitton医師は言う。「ただ、腫瘍が一次治療の初期投与に反応しない患者さんの場合、標準の二次治療に対して病理学的に完全奏効を得られる確率がわずか5%であることがわかっているので、遺伝子検査の結果をもとに臨床試験にまわっていただきます。トリプルネガティブ乳がんに対して、免疫療法を含め、新しい治療薬の一連の第2相試験を始める手続きをしているところです」。

Litton医師の話では、米国でトリプルネガティブ乳がん患者のためにそのようなプログラムを提供する医療機関はMDアンダーソンのみである。

【グラフ内語句およびキャプション訳】
グラフ内
縦軸 全生存(%)
横軸 月
青線 STn-KLH+内分泌療法
赤線 コントロールベクター

標準化学療法のあとSTn-KLHワクチン療法と内分泌療法(タモキシフェン)併用療法を受けた転移性乳がん患者は、標準化学療法のあとコントロールベクターを受けた患者より全生存の中央値が長かった。Ibrahim NK, et al.J Cancer 2013;4:577-584から抜粋。

read more

2015年9月4日金曜日

女性は1日に1杯のお酒でも癌リスクが増える

女性は1日に1杯のお酒でも癌リスクが増える
飲酒量と発癌の関係を男女別に分析した米研究で判明

2015/9/4 日経メディカル

食道癌や大腸癌、乳癌などは、大量に飲酒する人で罹患率が高い「飲酒関連癌」であることが知られている。米国の医療従事者コホートを用いて、飲酒関連癌と飲酒量との関連を男女別に分析したところ、軽度から中等度の飲酒(女性は1日1杯、男性は1日2杯)で、女性にのみ主に乳癌のリスク上昇がみられることが分かった。

2015年8月31日月曜日

人間も日焼け止め効果のある汗だったらヨカッタのに

汗に日焼け止め効果があったら、日常はともかく、ランニング時は便利だったのにな(笑)

カバの「血の汗」は日焼け止めだった
魚やカバは紫外線から体を保護する化学物質をつくりだせる
2015.08.19 NATIONAL GEOGRAPHIC 日本版

日焼け止め遺伝子

「eLife」誌に発表された最新研究によれば、魚、鳥、両生類、爬虫類の一部には「ガズソール」という化合物を生成する遺伝子があることがわかった。このガズソールが日焼け止めの役割を果たす。

この研究を率いたタイフォ・マフムード氏は米オレゴン州立大学で医薬品化学の教授を務める。同氏に、メールでガズソールについて訊いたところ、「ガズソールは紫外線(UV)、なかでも日焼けの原因となる紫外線B波(UVB)を吸収して、熱の形で放散します」ということだった。

とくに、ゼブラフィッシュが生成するガズソールは、人が使う日焼け止めの改良に役立つ可能性があり注目されている。ゼブラフィッシュの遺伝子を組み込んだ酵母で、実際にガズソールの日焼け止め効果を確かめるテストも実施され、実用性が証明された。

「血の汗」の正体

独自の方法で紫外線を防ぐ動物はほかにもいる。2004年に「Nature」で発表された研究論文によれば、カバの汗には赤とオレンジの色素が含まれている。赤の色素は抗菌作用、オレンジの色素は紫外線を吸収するという。この2つの色素が細菌の感染と日焼けから、アフリカのカバを守っているのだ。今なお「カバは”血の汗”をかく」という誤解があるが、それもこれで説明できる。

2014年には、「Current Biology」誌に、シャコの目には“天然の日焼け止め”として知られるアミノ酸の色素「MAA」が含まれている、という論文が発表されている。ただし、この色素は別の役割も果たす。シャコが驚くほど目が良く、複雑な視覚を持つのは、MAA が強力なフィルターとしてはたらくおかげだ。(参考記事:「光を操り、姿を隠すシャコの子ども」)

マフムード氏の研究に参加したロバート・タンギー氏(オレゴン州立大学の教授、専門は分子毒性学)は、ゼブラフィッシュのガズソールも日焼け止めの効果だけでなく、「胚発生の助け」など複数のはたらきがあると話す。

アフリカハイギョの一種(Protopterus annectens)は紫外線を防ぐことはできないが、涼しさを保つすべは知っている。乾季になると、このハイギョは川底に穴を掘って潜り、自らの粘液で繭のようなものをつくって、この繭に包まれた状態で乾季を土中で過ごす。これが「夏眠」といわれるもので、字面通り夏の冬眠だ。

2015年8月30日日曜日

早期実現を望む! 歯の治療法

痛みなし!歯を削らずに虫歯を治せる新治療がスゴイ
IROIRO 2015年08月30日

虫歯を削るキーンというドリルの音。想像しただけで身震いしてしまう。

そんな人に朗報。虫歯箇所を削って、薬剤を塗って、詰め物をして、という従来の治療からオサラバできる日が近そうだ。

電流で再石灰化

スコットランド企業Reminova社が開発した新治療がそれ。特殊な装置から電流を流して歯の再石灰化を促し、治療できるのだという。

具体的には、電流で歯にミネラルを送り込み、虫歯箇所の再石灰化を促して自然治癒させるというもの。

ミネラルイオンを注入

そもそも、私たちの歯は、唾液や食べ物に含まれるミネラルが歯のエナメル部分に入り込み、それによって丈夫なものになるのだそう。

Reminova社の新技術は、このメカニズムを利用している。装置から電流を流してミネラルイオンを”注入”する。これは、唾液や食べ物からよりも素早く歯に浸透し、再石灰化を促せる。

詰め物も不要!

この新治療のメリットは何と言っても痛みと恐怖を伴わないこと。ドリルで削る必要もなく、電流を流すときも痛みはまったくないのだという。

また、自然治癒を促すので、埋め込んだ詰め物を交換するといったフォローも必要ない。

商業化へ資金募集中

この夢のような治療、使われる特殊装置のプロトタイプはすでに出来上がっていて、商業展開するために同社は現在、資金を募集している。

ちなみに、開発元は、由緒あるキングスカレッジ・ロンドンのスピンオフ企業。 装置の価格は1台1万ドル程度で、患者の治療には10ドルもかからない見込みとのこと。

高額でなく、しかも痛みを伴わないとなれば、多くの人がこの治療を希望するのは明らか。早く実用化してほしいものだ。

2015年8月26日水曜日

走ると痛くなる“わき腹”、痛みの原因は意外なモノだった!

2015年08月26日 IROIRO こぼれ話しニュース

25日放送のテレビ東京『ありえへん∞世界』は、大の大人が答えられないと恥ずかしい”新常識”を紹介。走るとわき腹が痛くなる、ちょっと恥ずかしい理由が明らかになった。

わき腹が痛くなる衝撃の理由!

ところが、中村麻布十番クリニック・中村院長は「走っている時、わき腹が痛くなるのは、実は腸内のガスのせい」と、キッパリ。

元々、腸の中には食べ物を消化した時に発生したガス(おならの元)が存在しており、走ると腸が揺さぶられ、ガスが腸を上がっていき腸の曲り角に溜まるという。

さらに、ガスが溜まった腸の部分が風船のように膨らみ、それが内臓を圧迫して、わき腹が痛むのだとか。

食物:抗生物質漬けの食肉

役に立つ薬の情報~専門薬学 > くすり入門 > 食物:抗生物質漬けの食肉

2015年8月22日土曜日

痛みが神経の病気を悪化させることを、多発性硬化症の動物モデルで実証-北大

2015年07月28日
「痛み」そのものが神経の病気の再発のきっかけに

北海道大学は7月24日、同大遺伝子病制御研究所の村上正晃教授らの研究グループが、痛みが神経の病気を悪化させることを実証したと発表した。この研究成果は、生命科学の専門オンライン誌「eLIFE」に、7月20日付けで公開されている。

痛みは多くの病気に共通する症状であり、慢性的な痛みは生活の質を大きく損なう。しかし、これまで痛みは単に病気の副産物と考えられていて、痛みが直接、病気を悪化することは知られていなかった。

以前、同研究グループは、地球の重力がふくらはぎに存在する抗重力筋であるヒラメ筋を刺激することによって生じる神経ネットワークが、交感神経の活性化を誘導し、血管の状態を変化させ、多発性硬化症の動物モデル(EAE)の病気を発症させる起点となるという現象「ゲートウェイ反射」を報告した。

これは、感覚神経-交感神経の活性化を介して神経ネットワークが生じ、標的臓器の炎症状態を変化させることを証明するものだった。今回は、多くの病気に付随する「痛み」で始まる神経ネットワークを介して、病気の症状にどのような影響が生じるのかを調べたという。

多くの中枢神経系の病気の再発を防ぐ新たな手段となる可能性

今回、研究グループは、「痛み」を介する神経ネットワークが、病気の症状にどのような影響を与えるのかをEAEマウスを使って検証。その結果、実験的に痛みを与えるとEAEの症状が悪化し、逆に鎮痛剤を与えるとその症状が改善したという。このことは、痛みが直接的に病気の進行に関与していることを示している。

次に、一過性に病気を発症するマウスを利用して、症状が落ち着いたとき(寛解期)に痛みを誘導した。すると、EAE の症状が再発したが、他のストレスではEAEは再発しなかったという。また、今回の痛みによる再発は、以前報告した「ゲートウェイ反射」と同じ経路により起こることも判明した。

ヒトの多発性硬化症は、再発と寛解を繰り返し、痛みを伴うことが知られているが、今回の発見は、痛み自体が多発性硬化症の再発のきっかけとなることを示唆している。今後、鎮痛剤等を用いた痛みの抑制や、神経シグナルの抑制物質が病気の再発を防ぐ新たな手段になることが考えられる。また研究グループでは、多発性硬化症以外の病気と神経ネットワークの関係についても今後研究を進めて行きたいとしている。

北海道大学 プレスリリース

背中で手が組める

いつの間にか背中で手がしっかりと組めるようになっていた。左右どちらでも出来る!肩関節炎が生活に支障を及ぼさない程度に治った頃でも、指先を重ね合わせるのが精いっぱいで組むことまでは出来なかったのに、いつのまにか。これは元に戻らないと思っていたので嬉しい。


腕が上がる目測角度も約一年ぶりにやってみた。。。

*()内は正常値
*左右両方
 
・前方 180度(180)  
・横 180度(180) 
・後方 60度(60) 
・内 90度(90) 
・外 80度↑(90)