長年、手の指に起きるナゾの症状に苦しめられているAさん(61)。異変が起きたのは、8年前。朝、目覚めると手がこわばり、動かしにくくなっていました。やがて、家事をするたび、右手親指の付け根に痛みが走るようになります。Aさんは、まだ大丈夫かなとマッサージなどを受けながら、毎日の家事を続けます。ところが、よくなるどころか、痛みは日に日に強さを増していきます。そして、ある日、激痛を伴うナゾの症状に襲われました。指の曲げ伸ばしが自由にできなくなる「バネ指」現象が起こるようになったのです。
たまらず病院を訪ねたAさん。手術が必要な深刻な状況でした。そこまで我慢したのは「主婦の意地」からだったといいます。以来、左右の指、計6本が次々に同じ症状に襲われました。実はこのナゾの病気の正体こそ、けんしょう炎だったのです。
Aさんは、自分の腱鞘炎の原因は我慢して使いすぎてしまった「主婦の意地」だと考えています。しかし、実は別に原因があったんです。腱鞘炎になる人の世代別グラフを見ると、ある特徴があります。女性で、妊娠・出産期に当たる20~30代が多く、さらに更年期に当たる50代が突出しているのです。
メカニズムは明らかになってはいませんが、「ホルモンバランスの変化」が腱鞘炎の原因の1つではないかと考えられています。