2015年08月19日
全米で毎年5100万人以上が受けているとされる手術。誰もが不安に襲われ、術後の痛みに苦しむこともある。
しかしそんな手術でも音楽を聴くことで痛みが和らぎ、不安が抑えられる傾向があるという研究結果が発表された。
音楽が手術の不安や痛みを軽減
この研究に携わったのはロンドンにあるBrunel大学とQueen Mary大学の科学者たち。
彼らは約7000人の患者が関わった72の治験データを解析。通常の手術と患者に音楽を聞かせた場合、そして薬を使わずマッサージやリラクゼーションによる治療とを比較した。
その結果、音楽を聞いた患者は手術後には不安が大幅に軽減されており、多くの人が満足感を表明。また痛みを軽減するための薬物治療の必要性も減り、実際に痛みを訴える人が減少したという。
このことから研究者らは、患者に音楽を聞かせることはさまざまな医療段階において効果があると結論付けた。
麻酔で意識がなくても効果あり
さらに分析結果を細かく見ていくと特徴的な傾向があることも判明。手術中や術後よりも手術をする前に音楽を聞くとより効果が大きくなるとした。
また患者の意識がある場合は勿論だが、麻酔がかかっている状態で聞かせても苦痛のレベルを下げることが分かったという。
キャサリーン・ミード博士は報告の中で「音楽は患者への負担も少なく安全で、手軽な手段です。手術を受ける全ての人が利用できるようすべきです。また患者は効果を最大限にするためにも自分の好きな音楽を聞くと良いでしょう」と記している。
人間の無意識に直接働きかけるとされる音楽の力を、改めて見直すような結果だ。