A:5年間の内服が終われば治療を止めてもよい
現在、ご相談者が行っているホルモン治療はノルバデックスからアリミデックスへ変更して合計5年間行うという治療で、スイッチ投与とよばれています。
ノルバデックスを5年間行うよりも、再発率が低く、副作用も少なくなるというデータがあります。標準的な治療は、これで終わりです。
乳がんは5年以上たっても再発することが多いです。ノルバデックスを5年飲んだあとに、さらにアリミデックスを3年から5年飲むことで再発率が下がることは臨床試験で証明されています。しかし、スイッチ投与を5年間以上行うことや、最初からアリミデックスを5年以上投与することの有効性については、臨床試験の結果はまだ出ておらず、証明されていません。したがって、アリミデックスを飲み続けたいのなら、ご自身の意思で行うことになります。
昔、ノルバデックスも5年投与と10年投与が比較されましたが、5年と10年で再発率の低下に差はなく、10年投与では副作用が増加し、5年投与が標準となったという経緯があります。
アリミデックスを長い期間、飲めば飲むほど骨粗しょう症のリスクは高くなります。現在よりも骨密度が減るようでしたら、ビスホスホネート製剤を併用しながら治療を続ける必要があります。リンパ節転移もなく、再発リスクもそれほど高くないようであり、一般的には5年内服終了時で治療を止めても問題ないと思われます。
アリミデックスとフェマーラは、直接比較する臨床試験(FACE試験)が行われていますがsuitti 、結果はまだ出ていません。アリミデックスのほうが早く認可されたこともあって、長期間使用した安全性データが多くあります。フェマーラはホルモンを抑える薬理的作用がアリミデックスよりも強いため、治療効果が高いかもしれないと言われています。ただし、アリミデックスを飲んだあと、フェマーラに切り換えるほどの根拠はありません。
また、フェマーラにも骨粗しょう症などの副作用があります。コレステロールの上昇や、心血管系の合併症がやや増えるという副作用も言われています。
(2009年12月号 がん相談/乳がん)