R 20.9
L 19.8
う~ん、、、右だけ浮腫む、、、な、なぜ???
2015年5月19日火曜日
コーヒーが、乳がん治療薬タモキシフェンの効果を高める可能性/英国医療サービス(NHS)
英国医療サービス(NHS)
2015年4月22日水曜日
コーヒーはがん細胞の成長を遅滞させることが示された。「ホルモン剤タモキシフェンとコーヒー2杯を毎日摂取するというがんを殺す多剤併用療法が、(乳がん)腫瘍再発のリスクを軽減させることが判明した」とMail Onlineが報告した。同研究はまた、カフェインががんの成長を遅らせることも明らかにした。
その研究で乳がん女性1,090人のコーヒー摂取について調査したところ約半数がタモキシフェンを投与されていた。タモキシフェンは、エストロゲンというホルモンとの関連で知られる乳がん(エストロゲン依存性乳がん)を治療する際に用いられるホルモン治療薬である。
研究では、1日に2~5杯のコーヒーを飲む女性は、コーヒー摂取量が1杯以下の女性よりも原発腫瘍のサイズが小さく、エストロゲン依存性腫瘍の割合が少ないことが判明した。
エストロゲン依存性乳がんでタモキシフェンの治療を受けていた女性で、毎日少なくとも2~5杯のコーヒーを飲む女性は、コーヒー摂取量が比較的少ない女性よりもがんの再発リスクが半減した。
また、研究者らはコーヒーから検出された2つの物質、カフェインとコーヒー酸(コーヒーから発見された化合物)の乳がん細胞における効果について研究室で実験を行った。研究者らは、それら2つの物質が乳がん細胞の成長を抑制することを発見した。
本研究の結果は興味深いが、コーヒーが乳がんに効果があるということを証明できておらず、他の因子として、交絡因子と呼ばれるものが結果に影響を及ぼしていた可能性がある。
乳がんでタモキシフェンを投与されている女性が適度にコーヒーを摂取することは、害にはならない。しかし、過剰摂取は易刺激性、不眠症、消化不良の原因となりうる。
研究の由来
研究はスウェーデンのルンド大学、スコーネ大学病院、英国のブリストル大学の研究者らにより実施された。Swedish Cancer SocietyやSwedish Research Councilなどスウェーデンの団体からさまざまな助成を受けた。
研究についてはピアレビュー専門誌Clinical Cancer Research誌で発表された。
この研究結果に関するMail Onlineの報道内容は、コーヒーがエストロゲン依存性乳がんの再発を防ぐ、またはタモキシフェンの作用を高めることが証明されたというニュアンス伝えている。初期結果は有望ではあるものの、今回はそれに当てはまらない。
Mail Onlineはまた、独立した専門家からの研究へのコメントを何ら掲載していない。その結果、タモキシフェンを投与されている何百万人もの女性が、どれくらいの量のコーヒーを飲むとよいのか心配し始めることが危惧される。
カフェイン摂取について英国の公式ガイドラインはないが、通常は1日にカフェインを400 mg以上摂取する(およそカップ4杯分のコーヒー、または栄養ドリンク2杯)と、副作用を引き起こす可能性がある。
研究の種類
これはスウェーデン在住で初期の浸潤性乳がんの女性1,090人を対象としたコホート研究であった。2013年に同研究者らが発表した研究の追跡調査で、同コホートの中からさらに少人数の女性を対象とした。研究者らは、先行研究でタモキシフェンを投与されていた乳がんの女性の中等度から高頻度のコーヒーの摂取と生存率向上との関連が明らかとなったと述べている。研究の目的は、コーヒー摂取量、がんの特性、生存率の関係をより大規模な乳がんの女性のコホートで調査することであるとも述べている。
乳がん腫瘍の中には、成長するためにエストロゲンに依存するものがある。エストロゲン受容体(ER)陽性乳がんと呼ばれるものである。
タモキシフェンは、これらのタイプの乳がんに投与される主要なホルモン療法薬剤で、エストロゲンががん細胞に結合するのを阻害する。これががん細胞の増殖を抑制または阻止する。
研究者らはまた、コーヒーに含まれる2つの物質、カフェインとコーヒー酸が乳がんの成長に影響を及ぼす可能性のメカニズムを調査するため、ヒトの乳がん細胞を用いた細胞実験を実行した。
研究内容
コホート研究のために、2002~2012年の間に初期の浸潤性乳がんと診断された24~99歳の女性1,090人が登録された。手術前に、体測値と胸のボリュームを測定され、詳細なアンケートで出産歴、投薬使用、そして喫煙、アルコールならびにコーヒー摂取などの生活要因の情報が集められた。
コーヒー摂取は低頻度(1日に1杯以下)、中等度(1日に2~4杯)、または高頻度(1日に5杯以上)に分類された。
研究者らは、病理報告書とカルテから腫瘍のサイズと悪性度、リンパ節への転移の広がり、腫瘍がホルモン受容体陽性だったかどうかの情報を得た。
女性達は、乳がんの初再発、最新の無病期間あるいは死亡について、2013年1月より前にいずれか最初に結果が出るまで追跡調査された。乳がんが再発したか、または死亡したかの追跡調査の情報は、各種の公式記録から得た。その結果は標準的な統計方法で解析され、腫瘍のサイズのような他の要因は調整された。
細胞実験では、タモキシフェン併用あり、またはなしのヒト乳がん細胞が、48時間カフェインまたはコーヒー酸にさらされた。研究者らは、ER陽性、ER陰性、またはタモキシフェンに抵抗を示した乳がん細胞を用いた。各実験を実施するにあたり、最低でも3回は実験を繰り返した。
結果
コホート研究の主な結果は、下記の通りである。
・中等度から多量のコーヒー摂取量を報告した女性は、コーヒー摂取が少ない女性と比較して、よりサイズの小さい浸潤性の原発腫瘍を有していた。
・また、中等度から多量のコーヒー摂取量は、コーヒー摂取が少ない患者と比較してER陽性腫瘍の割合が低いことと関連があった。
・中等度から多量のコーヒー摂取は、タモキシフェンを投与されていたER陽性腫瘍を有する女性の乳がんが再発するリスクが49%低下したことと関連があった(adjusted hazard ratio 0.51; 95% confidence interval 0.26-0.97)。
細胞実験では、カフェインとコーヒー酸がER陽性とER陰性双方のがん細胞の成長を抑制した。また、カフェインとコーヒー酸は、乳がん細胞に対して他の影響も及ぼしており、細胞の成長を遅滞させたり、細胞の死を促進したりした。
結果の解釈
研究者らは、これらの知見はER陽性とER陰性双方の乳がんに対するカフェインとコーヒー酸のさまざまな抗がん特性を示唆していると述べている。特に、コーヒーは、タモキシフェンに対する腫瘍細胞の感受性を高め、そのため乳がんの増殖を抑制する可能性があるとの考えを示している。コーヒーに含まれる物質が、がん細胞の成長に必要な信号経路のスイッチを切る働きを持つ可能性があると彼らは述べている。
結論
本研究は興味深いが、いくつか制約がある。第1の知見は、コーヒー摂取が比較的多いと報告した女性は乳房の腫瘍径が小さく、がんがER陽性である可能性が低いということであった。しかし、女性達は診断後に一度コーヒーの摂取について報告したきりで、アンケートで彼女達が過去または現在コーヒーを飲む習慣について聞かれていたかどうかの記載が不明確である。女性達はまた、特に長期にわたるコーヒー摂取について思い出すことを求められた場合、コーヒー摂取を過剰に低く、あるいは過剰に高く見積もった可能性がある。研究でコーヒー摂取における正確さがさらに妨げられているのは、コーヒーの「カップ」の大きさについて標準的な定義を示さなかったことである。
第2の知見は、タモキシフェンを投与されていたER陽性がんの女性の間で、より多いコーヒー摂取がより良い結果と関連していたということであった。これは特に臨床試験の結果が得られたこともあり有望に聞こえるが、交絡因子が結果に影響を及ぼした可能性は常にある。
タモキシフェンは、通常閉経前のER陽性がんの女性にのみ用いられる。従って、アロマターゼ阻害剤のような異なるホルモン療法が求められる閉経後の女性でも同様の効果がみられるかどうか不明確である。
コーヒー摂取と乳がんリスクの潜在的な関連について、さらなる研究が求められる。またそれは、新たな治療法につながる可能性がある。
しかし、注目すべきなのはコーヒーの過剰摂取がマイナスの副作用を起こす可能性があるということである。定期的に1日5杯以上コーヒーを飲むと、不眠症、易刺激性、胃のむかつき、心悸亢進を引き起こす可能性がある。
2015年5月18日月曜日
早期乳がん女性患者のほとんどが広範囲のリンパ節摘出を回避―根治施術はもはや不要との科学的証拠の支持増加
キャンサーコンサルタンツ
2015年4月6日
米国外科学会(ACS)からの情報
シカゴ発(2015年3月26日):早期乳がん女性患者に関する新たな研究によれば、隣接リンパ節生検でがんが見つかった場合、外科医が腋窩部分のリンパ節の大部分を切除するのはもはや一般的ではないことがわかった。これは乳がん治療において大きな変化である。米国人乳がん患者270万人のデータを評価した本研究結果は、年内の出版に先立ち、Journal of the American College of Surgeons 誌電子版に「近刊予定記事」として公開されている。
米国外科学会腫瘍グループZ0011(American College of Surgeons Oncology Group Z0011)、つまりACOSOG Z-11試験として知られる画期的な臨床試験結果が4年以上前に公表されたが、その結果に基づく提言に外科医がどの程度まで従っているか、これまで不明であった。研究者の報告では、センチネルリンパ節(最初にリンパ流を受けるリンパ節)に腫瘍がある早期乳がん患者で、乳房部分切除を受けた人のほとんどは、腋窩リンパ節郭清(ALND)と呼ばれる、脇の下に残っているリンパ節の摘出によって受ける利益はないとされていた。当時の調査では、ALNDを受けた患者と、ALNDを受けず再発の有無について経過観察された患者との間で、がん再発および5年生存率に違いは認められなかった。
今回の新たな研究では、がんを含むセンチネルリンパ節を発見後にALNDを行わず、がんが最初に転移しやすい「見張り番」リンパ節であるセンチネルリンパ節生検(SNB)切除のみを受けた乳房部分切除患者の割合が飛躍的に増加したことがわかった。研究著者らによると、SNBのみを行った患者の比率は、2010年9月ACOSOG Z-11試験初回結果の公表前年2009年の23%から公表後初年度2011年の56%へと2倍以上に増加した。
「私の知る限り、私たちの研究はACOSOG Z-11試験の知見が乳がん患者への臨床診療を全国的に変えたことを初めて明らかにしたものである。SNBのみを受けた患者の方がリスクが低いことから、Z-11試験の影響は非常に大きい」と、主著者Katharine Yao医師は言う。Yao医師は、米国外科学会会員(FACS)、イリノイ州エバンストン市のノースショア大学保健システム科乳がん外科教室部長、シカゴ大学プリツカー医学部臨床外科准教授である
Yao 医師によると、SNBのみで少数のリンパ節を摘出すれば、重症となることが多いリンパ浮腫合併症を起こす生涯リスクが大幅に下がる。皮下にリンパ液が溜まると、腫れて痛みを伴うこともある。今回の新たな研究では、Yao医師らは米国外科学会(ACS)がん委員会(CoC)と米国がん協会の共同プロジェクトである米国がんデータベース(NCDB)を利用した。NCDBは、CoCの認定を受けた約1500件のがんプログラムから米国で新たにがんと診断された症例の推定70%を収集する。
NCDBでは、実施されたリンパ節郭清術の型(SNBまたはSNB+ALND)を確認できないが、研究者らは、これらの型の識別として、切除したリンパ節の数を用いた。リンパ節切除4個以下をSNBのみ、リンパ節切除10個以上をALNDと分類した。
1998年から2011年の間に乳がんと診断されてデータベースに載った272万人の症例のうち、74,309人の患者がSNBのみ実施のZ-11試験適格基準を満たすことがわかった。Z-11試験適格基準とは、乳房部分切除と全乳房放射線照射を受けていること、臨床的リンパ節転移陰性と思われる5cm以下(2インチ未満)の腫瘍があること、切除縁が陰性(切除乳房組織の外縁でがん細胞が確認されない状態)であること、腫瘍陽性センチネルリンパ節が2個以上であることである。
SNBのみ実施の比率は、1998年の6.1%から、研究時最新データである2011年の56%まで増えたという報告であった。このZ-11試験結果は2011年当時の最新データであったことから、2012年にはさらに増えているものと思われるとYao医師は語っている。
統計解析の結果、乳房部分切除患者は、ハイリスクとみなされる特性[50歳未満、黒色人種、トリプルネガティブ腫瘍(ほとんどの乳がんの成長を助長するとされる最も一般的な受容体3種の欠如)、大きな腫瘍(3cm以下)]を一つでも有する場合、ALNDを受ける確率が高かった。さらに腫瘍転移陽性センチネルリンパ節が2個ある患者は、1個の患者に比べて、ALNDを受ける確率は2倍になった。2mm以上の腫瘍転移がある患者は、微小転移と呼ばれる小さながん転移がある患者に比べて、ALNDを受ける確率は3倍以上になった。
Yao医師らの研究結果によれば、Z-11試験はハイリスク患者も対象としていたにも関わらず、ハイリスク患者にALNDを実施しないことに抵抗を感じる医師がいるようである。Yao医師は、Z-11試験結果がハイリスク患者にも適用可能であることを外科医に広く認識させ、ハイリスク患者の長期的追跡調査を実施する必要性を訴えた。研究者らは、Z-11試験適格基準のうち1項目を満たしていない400,052人の乳がん症例も解析した。この解析結果は「やや驚くべきものであった」とYao医師は述べている。
Z-11試験に乳房切除患者は含まれていないが、 2011年に乳房切除手術を受けた患者の22%以上がSNBのみを受けたとの報告である。さらに、推奨値の5cmを越える腫瘍がある患者、または、放射線治療をまったく受けないか、全乳房照射ではなく部分照射を受けた患者の50%以上がALNDを受けずSNBのみを受けていた。
「Z-11適格基準外の患者がSNBしか受けていないのは、やや懸念すべき問題である。乳房切除患者におけるSNBのみの実施は、全体的な転帰への影響が不明であるため、意見が分かれる問題である」とYao医師は述べている。
Yao医師以外の研究著者は以下のとおり。Erik Liederbach 理学士;Catherine Pesce医師;Chi Hsiung Wang医学博士;David J. Winchester 医師、FACS。
全員、ノースショア大学保健システム科所属。
FACS:米国外科学会会員(Fellow of the American College of Surgeons)外科医。
この研究結果は、カリフォルニア州インディアンウェルズで昨年11月に開催された2014年Western Surgical Association年次総会で発表された。
2015年4月6日
米国外科学会(ACS)からの情報
シカゴ発(2015年3月26日):早期乳がん女性患者に関する新たな研究によれば、隣接リンパ節生検でがんが見つかった場合、外科医が腋窩部分のリンパ節の大部分を切除するのはもはや一般的ではないことがわかった。これは乳がん治療において大きな変化である。米国人乳がん患者270万人のデータを評価した本研究結果は、年内の出版に先立ち、Journal of the American College of Surgeons 誌電子版に「近刊予定記事」として公開されている。
米国外科学会腫瘍グループZ0011(American College of Surgeons Oncology Group Z0011)、つまりACOSOG Z-11試験として知られる画期的な臨床試験結果が4年以上前に公表されたが、その結果に基づく提言に外科医がどの程度まで従っているか、これまで不明であった。研究者の報告では、センチネルリンパ節(最初にリンパ流を受けるリンパ節)に腫瘍がある早期乳がん患者で、乳房部分切除を受けた人のほとんどは、腋窩リンパ節郭清(ALND)と呼ばれる、脇の下に残っているリンパ節の摘出によって受ける利益はないとされていた。当時の調査では、ALNDを受けた患者と、ALNDを受けず再発の有無について経過観察された患者との間で、がん再発および5年生存率に違いは認められなかった。
今回の新たな研究では、がんを含むセンチネルリンパ節を発見後にALNDを行わず、がんが最初に転移しやすい「見張り番」リンパ節であるセンチネルリンパ節生検(SNB)切除のみを受けた乳房部分切除患者の割合が飛躍的に増加したことがわかった。研究著者らによると、SNBのみを行った患者の比率は、2010年9月ACOSOG Z-11試験初回結果の公表前年2009年の23%から公表後初年度2011年の56%へと2倍以上に増加した。
「私の知る限り、私たちの研究はACOSOG Z-11試験の知見が乳がん患者への臨床診療を全国的に変えたことを初めて明らかにしたものである。SNBのみを受けた患者の方がリスクが低いことから、Z-11試験の影響は非常に大きい」と、主著者Katharine Yao医師は言う。Yao医師は、米国外科学会会員(FACS)、イリノイ州エバンストン市のノースショア大学保健システム科乳がん外科教室部長、シカゴ大学プリツカー医学部臨床外科准教授である
Yao 医師によると、SNBのみで少数のリンパ節を摘出すれば、重症となることが多いリンパ浮腫合併症を起こす生涯リスクが大幅に下がる。皮下にリンパ液が溜まると、腫れて痛みを伴うこともある。今回の新たな研究では、Yao医師らは米国外科学会(ACS)がん委員会(CoC)と米国がん協会の共同プロジェクトである米国がんデータベース(NCDB)を利用した。NCDBは、CoCの認定を受けた約1500件のがんプログラムから米国で新たにがんと診断された症例の推定70%を収集する。
NCDBでは、実施されたリンパ節郭清術の型(SNBまたはSNB+ALND)を確認できないが、研究者らは、これらの型の識別として、切除したリンパ節の数を用いた。リンパ節切除4個以下をSNBのみ、リンパ節切除10個以上をALNDと分類した。
1998年から2011年の間に乳がんと診断されてデータベースに載った272万人の症例のうち、74,309人の患者がSNBのみ実施のZ-11試験適格基準を満たすことがわかった。Z-11試験適格基準とは、乳房部分切除と全乳房放射線照射を受けていること、臨床的リンパ節転移陰性と思われる5cm以下(2インチ未満)の腫瘍があること、切除縁が陰性(切除乳房組織の外縁でがん細胞が確認されない状態)であること、腫瘍陽性センチネルリンパ節が2個以上であることである。
SNBのみ実施の比率は、1998年の6.1%から、研究時最新データである2011年の56%まで増えたという報告であった。このZ-11試験結果は2011年当時の最新データであったことから、2012年にはさらに増えているものと思われるとYao医師は語っている。
統計解析の結果、乳房部分切除患者は、ハイリスクとみなされる特性[50歳未満、黒色人種、トリプルネガティブ腫瘍(ほとんどの乳がんの成長を助長するとされる最も一般的な受容体3種の欠如)、大きな腫瘍(3cm以下)]を一つでも有する場合、ALNDを受ける確率が高かった。さらに腫瘍転移陽性センチネルリンパ節が2個ある患者は、1個の患者に比べて、ALNDを受ける確率は2倍になった。2mm以上の腫瘍転移がある患者は、微小転移と呼ばれる小さながん転移がある患者に比べて、ALNDを受ける確率は3倍以上になった。
Yao医師らの研究結果によれば、Z-11試験はハイリスク患者も対象としていたにも関わらず、ハイリスク患者にALNDを実施しないことに抵抗を感じる医師がいるようである。Yao医師は、Z-11試験結果がハイリスク患者にも適用可能であることを外科医に広く認識させ、ハイリスク患者の長期的追跡調査を実施する必要性を訴えた。研究者らは、Z-11試験適格基準のうち1項目を満たしていない400,052人の乳がん症例も解析した。この解析結果は「やや驚くべきものであった」とYao医師は述べている。
Z-11試験に乳房切除患者は含まれていないが、 2011年に乳房切除手術を受けた患者の22%以上がSNBのみを受けたとの報告である。さらに、推奨値の5cmを越える腫瘍がある患者、または、放射線治療をまったく受けないか、全乳房照射ではなく部分照射を受けた患者の50%以上がALNDを受けずSNBのみを受けていた。
「Z-11適格基準外の患者がSNBしか受けていないのは、やや懸念すべき問題である。乳房切除患者におけるSNBのみの実施は、全体的な転帰への影響が不明であるため、意見が分かれる問題である」とYao医師は述べている。
Yao医師以外の研究著者は以下のとおり。Erik Liederbach 理学士;Catherine Pesce医師;Chi Hsiung Wang医学博士;David J. Winchester 医師、FACS。
全員、ノースショア大学保健システム科所属。
FACS:米国外科学会会員(Fellow of the American College of Surgeons)外科医。
この研究結果は、カリフォルニア州インディアンウェルズで昨年11月に開催された2014年Western Surgical Association年次総会で発表された。
2015年5月17日日曜日
2015年5月7日木曜日
コーヒー飲む人、病死の危険減 9万人追跡調査
2015年5月7日
コーヒーを1日3~4杯飲む人は、ほとんど飲まない人に比べて心臓や脳血管、呼吸器の病気で死亡する危険性が4割ほど減るとの研究結果を、国立がん研究センターや東京大などの研究チームが7日、公表した。
がんによる死亡との関連は見られず、全ての死亡の危険性で比較すると24%減だった。
1990年代に10都府県に住んでいた40~69歳の約9万人を2011年まで追跡し、生活習慣と日本人の主要な死因との関係を調べた。
コーヒーを1日3~4杯飲む人は、ほとんど飲まない人に比べて心臓や脳血管、呼吸器の病気で死亡する危険性が4割ほど減るとの研究結果を、国立がん研究センターや東京大などの研究チームが7日、公表した。
がんによる死亡との関連は見られず、全ての死亡の危険性で比較すると24%減だった。
1990年代に10都府県に住んでいた40~69歳の約9万人を2011年まで追跡し、生活習慣と日本人の主要な死因との関係を調べた。
2015年3月28日土曜日
近年の乳がん治療の現状とHER2陽性乳がんに対する治療 岩田 広治
2013年8月17日(土)開催
「HER2陽性乳がん患者さんのための情報発信セミナー2013 in 名古屋
〜 あなたにとって最適な治療とは?」
「HER2陽性乳がん患者さんのための情報発信セミナー2013 in 名古屋
〜 あなたにとって最適な治療とは?」
2015年3月16日月曜日
乳がん治療による早期閉経の回避に有効な薬剤
2015年3月16日
健康美容EXPO > 健康美容EXPOニュース > 海外ニュース:TOP > 女性の健康 > 乳がん治療による早期閉経の回避に有効な薬剤
乳がんの化学療法の副作用として一部の患者に早期閉経がみられることがあるが、ゴセレリンと呼ばれる薬剤を追加することにより、その確率を低減できることが新たな研究で示された。この研究は米国立がん研究所(NCI)の支援により実施されたもので、「New England Journal of Medicine」3月4日号に掲載された。
研究著者で米ロヨラ大学乳がん臨床研究プログラム代表のKathy Albain氏によると、「若い乳がん患者にとって、化学療法の最も悩ましい副作用の一部が早期の急な閉経と不妊である」という。
米ノースショア大学病院(ニューヨーク州)のがん専門医George Raptis氏もこれに同意し、「われわれは数十年前から閉経前の女性に化学療法を実施している。これにより転移リスクを低減し、全生存率を向上させることができる。しかし、多くの若い女性が乳がんを克服する一方、治療が原因で不妊になる」と説明している。
今回の研究では、早期乳がんと診断された50歳未満の閉経前の女性257人を対象として、標準化学療法を実施する群と、化学療法にゴセレリン(商品名:ゾラデックス)を追加する群のいずれかに無作為に割り付けた。2年後、標準治療群の22%に月経の停止またはエストロゲン産生と卵子供給の低下がみられたのに対し、ゴセレリン群では8%にとどまった。また、妊娠率はゴセレリン群で21%、標準治療群で11%であった。
Albain氏によると、ゴセレリンは化学療法の間、一次的に卵巣を「休眠」状態にすることによって生殖能力を保護する効果を発揮するという。早期閉経やそれに伴う症状を低減するだけでなく、ゴセレリンはきわめて安全であり、生存率を向上させる可能性もあるという。4年後の時点でがんの徴候や症状がみられなかった比率はゴセレリン群で89%、標準治療群で78%であり、4年後の全生存率はゴセレリン群92%、標準治療群82%であった。
今回の研究はエストロゲン・プロゲステロン受容体が陰性の乳がん患者が対象であり、この知見を受容体陽性乳がんの患者に一般化できるかどうかは不明であるとRaptis氏は指摘している。それでも、この研究は化学療法を受ける多くの女性の生活を向上させる可能性があると同氏は述べている。
米レノックス・ヒル病院(ニューヨーク市)のStephanie Bernik氏もこれに同意し、ゴセレリンにより副作用なく早期閉経が低減されただけでなく、生存率向上も認められた今回の研究は非常に有望なものだと述べている。(HealthDay News 3月4日)
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乳がんの化学療法の副作用として一部の患者に早期閉経がみられることがあるが、ゴセレリンと呼ばれる薬剤を追加することにより、その確率を低減できることが新たな研究で示された。この研究は米国立がん研究所(NCI)の支援により実施されたもので、「New England Journal of Medicine」3月4日号に掲載された。
研究著者で米ロヨラ大学乳がん臨床研究プログラム代表のKathy Albain氏によると、「若い乳がん患者にとって、化学療法の最も悩ましい副作用の一部が早期の急な閉経と不妊である」という。
米ノースショア大学病院(ニューヨーク州)のがん専門医George Raptis氏もこれに同意し、「われわれは数十年前から閉経前の女性に化学療法を実施している。これにより転移リスクを低減し、全生存率を向上させることができる。しかし、多くの若い女性が乳がんを克服する一方、治療が原因で不妊になる」と説明している。
今回の研究では、早期乳がんと診断された50歳未満の閉経前の女性257人を対象として、標準化学療法を実施する群と、化学療法にゴセレリン(商品名:ゾラデックス)を追加する群のいずれかに無作為に割り付けた。2年後、標準治療群の22%に月経の停止またはエストロゲン産生と卵子供給の低下がみられたのに対し、ゴセレリン群では8%にとどまった。また、妊娠率はゴセレリン群で21%、標準治療群で11%であった。
Albain氏によると、ゴセレリンは化学療法の間、一次的に卵巣を「休眠」状態にすることによって生殖能力を保護する効果を発揮するという。早期閉経やそれに伴う症状を低減するだけでなく、ゴセレリンはきわめて安全であり、生存率を向上させる可能性もあるという。4年後の時点でがんの徴候や症状がみられなかった比率はゴセレリン群で89%、標準治療群で78%であり、4年後の全生存率はゴセレリン群92%、標準治療群82%であった。
今回の研究はエストロゲン・プロゲステロン受容体が陰性の乳がん患者が対象であり、この知見を受容体陽性乳がんの患者に一般化できるかどうかは不明であるとRaptis氏は指摘している。それでも、この研究は化学療法を受ける多くの女性の生活を向上させる可能性があると同氏は述べている。
米レノックス・ヒル病院(ニューヨーク市)のStephanie Bernik氏もこれに同意し、ゴセレリンにより副作用なく早期閉経が低減されただけでなく、生存率向上も認められた今回の研究は非常に有望なものだと述べている。(HealthDay News 3月4日)
2015年3月13日金曜日
電子お薬手帳「harmo」
ソニーは、非接触ICカード技術「FeliCa」を用いた電子お薬手帳サービス「harmo(ハルモ)」の試験提供エリアを近畿地方へ拡大する。harmoは、薬局などで調剤された薬の履歴などのデータを、クラウドサーバー上で電子的に管理するサービス。FeliCaのチップを埋め込んだカードを薬局の端末にかざすだけで、調剤履歴の閲覧や調剤情報の記録が行える。.
・harmo(ハルモ)とは
人と人をつなぐ、電子お薬手帳サービスです。
harmo(ハルモ)は、患者さまと薬剤師、 またそのご家族をつなげる電子お薬手帳サービスです。
患者さまひとりひとりの調剤履歴を、カード1枚で安全に管理できます。
また、スマートフォンアプリと連動することで副作用の記録、調剤履歴を ご家族と共有することができます。
・harmo(ハルモ)とは
人と人をつなぐ、電子お薬手帳サービスです。
harmo(ハルモ)は、患者さまと薬剤師、 またそのご家族をつなげる電子お薬手帳サービスです。
患者さまひとりひとりの調剤履歴を、カード1枚で安全に管理できます。
また、スマートフォンアプリと連動することで副作用の記録、調剤履歴を ご家族と共有することができます。
2015年2月9日月曜日
痛みは脳や体に記憶される
2015/2/9 日経メディカル
痛みは身体だけでなく、精神面や社会生活にも大きな影響を及ぼし、生命予後をも悪化させる。近年、「痛み記憶」という概念が提唱され、記憶の段階に至らせないことが重要だと分かってきた。痛みが出始めたら、軽視することなく、少しでも早い時期から痛みを軽減させる対応が求められている。
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NTT東日本 > 関東病院ホーム > 受診案内 > 診療科案内 > ペインクリニック科 > 痛みのメカニズムとは
痛みは記憶されるでしょうか
大人になると、子どもの時のように階段を1段抜かししたり、柵を跳び越えたりするなど、ちょっとした冒険ができなくなります。「ケガをしたときに感じた痛み」が思い起こされて、腰が引けてしまうからです。
さらに、痛みの記憶によって、非常に面倒なことに合うこともあります。
ケガや病気、あるいは手術などで痛みを感じると、この痛みの刺激は中枢神経に記憶されます。これは一種の「痛みの中枢への感作」と言います。この中枢への感作によって、常に脳や脊髄が刺激されると、痛みの原因になる刺激がなくても、脳はいつも痛みを感じ続けてしまうことがあります。ケガや病気が治っても、その部分がまるでそのケガや病気が起きているかのように、痛み続けてしまうわけであります。単なる慢性痛と違うのは、末梢神経がこの痛みの記憶の影響で、過敏になっているため、風が吹いただけ、ちょっと触っただけでも、強い痛みを感じる点です。
「幻肢痛」も痛みの記憶の一つと考えられています。よく聞くのは、実際にはない切断した足に痛みが走るという現象です。足に限らず、乳房や陰茎、内臓でも起こります。途切れた末梢神経が異常な信号を発するためとか、脊髄、脳のネットワークの異常とか言われていますが、はっきりしたことは分かっていません。
痛みは身体だけでなく、精神面や社会生活にも大きな影響を及ぼし、生命予後をも悪化させる。近年、「痛み記憶」という概念が提唱され、記憶の段階に至らせないことが重要だと分かってきた。痛みが出始めたら、軽視することなく、少しでも早い時期から痛みを軽減させる対応が求められている。
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NTT東日本 > 関東病院ホーム > 受診案内 > 診療科案内 > ペインクリニック科 > 痛みのメカニズムとは
痛みは記憶されるでしょうか
大人になると、子どもの時のように階段を1段抜かししたり、柵を跳び越えたりするなど、ちょっとした冒険ができなくなります。「ケガをしたときに感じた痛み」が思い起こされて、腰が引けてしまうからです。
さらに、痛みの記憶によって、非常に面倒なことに合うこともあります。
ケガや病気、あるいは手術などで痛みを感じると、この痛みの刺激は中枢神経に記憶されます。これは一種の「痛みの中枢への感作」と言います。この中枢への感作によって、常に脳や脊髄が刺激されると、痛みの原因になる刺激がなくても、脳はいつも痛みを感じ続けてしまうことがあります。ケガや病気が治っても、その部分がまるでそのケガや病気が起きているかのように、痛み続けてしまうわけであります。単なる慢性痛と違うのは、末梢神経がこの痛みの記憶の影響で、過敏になっているため、風が吹いただけ、ちょっと触っただけでも、強い痛みを感じる点です。
「幻肢痛」も痛みの記憶の一つと考えられています。よく聞くのは、実際にはない切断した足に痛みが走るという現象です。足に限らず、乳房や陰茎、内臓でも起こります。途切れた末梢神経が異常な信号を発するためとか、脊髄、脳のネットワークの異常とか言われていますが、はっきりしたことは分かっていません。
2015年2月4日水曜日
ノバルティスを業務停止へ 副作用報告違反で初
薬の副作用情報を期限内に国に報告しなかったとして、厚生労働省が医薬品医療機器法(旧薬事法)に基づき、製薬大手ノバルティスファーマ(東京)を業務停止処分とする方針を固めたことが2日、関係者への取材で分かった。期間は15日間前後で検討しており、ノ社から弁明書の提出を受けて正式決定する。
厚労省によると、副作用報告義務違反で製薬会社が業務停止となるのは初めて。ノ社は、2種類の白血病治療薬をめぐる副作用報告義務違反で昨年7月に改善命令を受けており、一連の問題で今回が2回目の行政処分となる。
厚労省によると、副作用報告義務違反で製薬会社が業務停止となるのは初めて。ノ社は、2種類の白血病治療薬をめぐる副作用報告義務違反で昨年7月に改善命令を受けており、一連の問題で今回が2回目の行政処分となる。
2015年1月31日土曜日
タモキシフェンにより高リスク女性の乳癌発症率が低下(IBIS-I試験結果)/米国癌学会(AACR)
海外癌医療情報リファレンス 2015年1月31日
原文:2014年12月11日
乳癌リスクの高い女性を対象とした国際共同乳癌治療試験-I(IBIS-I)で中央値が16年間である追跡調査を実施した結果、タモキシフェン投与により乳癌全体の発症率が有意に減少した。試験成績は2014年12月9日から13日に開催されたサンアントニオ乳癌シンポジウムで発表された。
「IBIS-I試験は、乳癌リスクの高い女性に、乳癌を予防する目的でタモキシフェンを投与した場合の長期的なリスクおよび利益を検討するようデザインされた試験です」とロンドン大学クイーン・メアリー、ウルフソン予防医学研究所所長兼ジョン・スノー疫学教室教授であるJack Cuzick博士は述べた。
「今回の試験で乳癌の発症率は低い水準のままに20年間持続して維持できることがわかりました。ただし、子宮内膜癌に起因する死亡率やエストロゲン受容体(ER)陰性癌の発症率に関しては懸念があります。しかしながら、これらの発症率に統計学的な有意性はなく、研究結果は偶発性の可能性があります」。
「閉経後の女性にとっては、アナストロゾールやエキセメスタンなどのアロマターゼ阻害薬による治療が、効果の高さや副作用の低減(副作用面での優位性)といった観点から、より優れた治療選択肢になると考えられます。しかし閉経前の女性にとっては依然として、タモキシフェンによる治療が唯一の有効な選択肢なのです」とCuzick氏は続けた。
IBIS-I試験に登録した閉経前および閉経後の女性7154人の中、3579人がタモキシフェン20 mgを5年間連日投与する群に、3575人が対応するプラセボを5年間投与する群に無作為に割り付けられた。主に乳癌の家族歴のために乳癌リスクが増大しているとされる35歳から70歳までの女性が参加した。
この試験の主要評価項目は非浸潤性または浸潤性乳癌の発症率で、副次評価項目は全死亡率、他の癌種での死亡率、および乳癌に特異的な死亡率であった。
中央値で16年間の追跡期間中に、タモキシフェン投与群の女性246人およびプラセボ群の女性343人が乳癌を発症した。プラセボ群と比較したタモキシフェン群の乳癌発症の低下率は29%であった。ER陽性乳癌の発症率では35%の低下がみられたが、ER陰性乳癌においては効果が認められなかった。
試験期間中にホルモン補充療法(HRT)を受けなかった女性のほうがより大きな利益を得た。すなわち、HRTを並行して受けなかった女性におけるER陽性乳癌の発症率は45%低下し、乳癌全体でみても38%低下した。
乳癌による死亡率には群間で差はなかったが、タモキシフェン投与を受けた女性では、有意性はないものの、全死亡率の上昇が認められた。しかしながらCuzick氏によると、96カ月目の追跡調査報告で認められた率よりも低かった。子宮内膜癌および非メラノーマ皮膚癌の発症率上昇、大腸癌発症率の低下がみられた。他の癌種では、全体としての発症率は上昇したが有意差はなかった。
「乳癌の発症率を長期にわたって低く維持できたことから、重要な知見が得られました。しかし、死亡率に対する影響という点にはまだ不確実な部分が残っています」とCuzick氏は述べた。
本試験は英国癌研究およびアストラゼネカ社から資金援助を受けた。Cuzick氏は本試験に関してアストラゼネカ社を代表して発表している。
原文:2014年12月11日
乳癌リスクの高い女性を対象とした国際共同乳癌治療試験-I(IBIS-I)で中央値が16年間である追跡調査を実施した結果、タモキシフェン投与により乳癌全体の発症率が有意に減少した。試験成績は2014年12月9日から13日に開催されたサンアントニオ乳癌シンポジウムで発表された。
「IBIS-I試験は、乳癌リスクの高い女性に、乳癌を予防する目的でタモキシフェンを投与した場合の長期的なリスクおよび利益を検討するようデザインされた試験です」とロンドン大学クイーン・メアリー、ウルフソン予防医学研究所所長兼ジョン・スノー疫学教室教授であるJack Cuzick博士は述べた。
「今回の試験で乳癌の発症率は低い水準のままに20年間持続して維持できることがわかりました。ただし、子宮内膜癌に起因する死亡率やエストロゲン受容体(ER)陰性癌の発症率に関しては懸念があります。しかしながら、これらの発症率に統計学的な有意性はなく、研究結果は偶発性の可能性があります」。
「閉経後の女性にとっては、アナストロゾールやエキセメスタンなどのアロマターゼ阻害薬による治療が、効果の高さや副作用の低減(副作用面での優位性)といった観点から、より優れた治療選択肢になると考えられます。しかし閉経前の女性にとっては依然として、タモキシフェンによる治療が唯一の有効な選択肢なのです」とCuzick氏は続けた。
IBIS-I試験に登録した閉経前および閉経後の女性7154人の中、3579人がタモキシフェン20 mgを5年間連日投与する群に、3575人が対応するプラセボを5年間投与する群に無作為に割り付けられた。主に乳癌の家族歴のために乳癌リスクが増大しているとされる35歳から70歳までの女性が参加した。
この試験の主要評価項目は非浸潤性または浸潤性乳癌の発症率で、副次評価項目は全死亡率、他の癌種での死亡率、および乳癌に特異的な死亡率であった。
中央値で16年間の追跡期間中に、タモキシフェン投与群の女性246人およびプラセボ群の女性343人が乳癌を発症した。プラセボ群と比較したタモキシフェン群の乳癌発症の低下率は29%であった。ER陽性乳癌の発症率では35%の低下がみられたが、ER陰性乳癌においては効果が認められなかった。
試験期間中にホルモン補充療法(HRT)を受けなかった女性のほうがより大きな利益を得た。すなわち、HRTを並行して受けなかった女性におけるER陽性乳癌の発症率は45%低下し、乳癌全体でみても38%低下した。
乳癌による死亡率には群間で差はなかったが、タモキシフェン投与を受けた女性では、有意性はないものの、全死亡率の上昇が認められた。しかしながらCuzick氏によると、96カ月目の追跡調査報告で認められた率よりも低かった。子宮内膜癌および非メラノーマ皮膚癌の発症率上昇、大腸癌発症率の低下がみられた。他の癌種では、全体としての発症率は上昇したが有意差はなかった。
「乳癌の発症率を長期にわたって低く維持できたことから、重要な知見が得られました。しかし、死亡率に対する影響という点にはまだ不確実な部分が残っています」とCuzick氏は述べた。
本試験は英国癌研究およびアストラゼネカ社から資金援助を受けた。Cuzick氏は本試験に関してアストラゼネカ社を代表して発表している。
2015年1月26日月曜日
生検により癌は拡散しないとの研究結果/メイヨークリニック
015年1月11日
フロリダ州ジャクソンビル−−フロリダ州にあるメイヨークリニック・ジャクソンビル総合病院で治療を受けた2000人超の患者を対象とした研究によると、癌生検によって癌が播種(拡散)するという迷信が否定される結果となった。研究班は1月9日のGut誌電子版の中で、生検を受けた患者の転帰は受けなかった患者よりも良好であったと発表している。
画像は、膵臓を生検針で穿刺する様子を超音波内視鏡で描出したものである。超音波内視鏡は胃内に存在(経口鏡を使用)。超音波内視鏡先端の超音波プローブにより胃に隣接する膵臓の描出が可能。超音波ガイド下で長い生検針を内視鏡から通し、腫瘍を穿刺している。
研究班の対象は膵癌であったが、本研究で用いられた診断手法(穿刺吸引細胞診)は腫瘍の種類を問わず用いられるため、この結果は他の癌でも当てはまるではと考えられる、と本研究の主任研究者で消化器科医のマイケル・ウォレス医師(公衆衛生学修士、内科学教授)は語った。
穿刺吸引細胞診は、細い中空針を用いて腫瘍から数個の癌細胞を抽出する低侵襲の手技である。生検により癌が播種されるという思い込みが、多くの患者や医師の中にさえ長い間存在しつづけてきた。
その可能性が考えられる症例は数例あるものの(極めてまれだが)、生検に対して心配する必要は全くないとウォレス医師は語る。
「研究結果を見れば、医師も患者も生検が非常に安全だと思い直すはずです。米国内では癌生検が毎年何百万回も行われています。ですが、その中の1、2例のために、生検が癌を播種させるという迷信がこれほどまで有名になっているのです」。
生検は「テーラーメイド治療を行う上で非常に価値のある情報を与えてくれます。ある症例では、より良好な転帰のため手術を行う前に化学療法と放射線療法を行うこともできますし、またある症例では、手術をはじめとした無用な治療を行わないという選択ができるのです」とウォレス医師は語る。
膵臓癌の手術は「非常に大きなオペレーション」であり、「ほとんどの人は手術を行う前に癌の存在を確認したいと思うはずです」とウォレス医師は語る。ある研究によると、膵癌疑いで手術を受けた患者のうち9%は良性腫瘍であったという結果が出ている。
ウォレス医師とその研究班は、生検のリスクを検証するための研究を個別に2回行っている。
2013年にEndoscopy誌に掲載された研究では、研究班はメイヨークリニックで治療を受ける256人の膵臓癌患者の転帰について検証した。研究班は、超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診(EUS-FNA)を受けた患者208人と受けなかった患者48人との間で、癌の再発に差がないという結果を示した。
今回の研究では、研究班は手術を受けた非転移性膵癌患者に関するメディケアのデータ11年分(1998年~2009年)を調査した。研究班は、EUS-FNAを受けた498人と受けなかった1536人の全生存期間と膵癌特異的な生存期間を調査した。
平均追跡期間21カ月の中で、死亡者はEUS-FNA施行群のうち285人(57%)、EUS-FNA未施行群のうち1167人(76%)であった。膵癌が死因であると判定した患者はEUS-FNA施行群のうち251人(50%)、EUS-FNA未施行群のうち980人(64%)であった。
全生存期間の中央値はEUS-FNA施行群で22カ月、EUS-FNA未施行群で15カ月であった。
「生検はきわめて有効です。生検を行うことで患者にあった医療、つまり患者一人ひとりに合わせ、できる限り良好な転帰を得られるよう計画した治療を行うことができるのです」とウォレス医師は語る。
共著者には、ミネソタ州のメイヨークリニック・ロチェスター総合病院の研究者も参加している。
フロリダ州ジャクソンビル−−フロリダ州にあるメイヨークリニック・ジャクソンビル総合病院で治療を受けた2000人超の患者を対象とした研究によると、癌生検によって癌が播種(拡散)するという迷信が否定される結果となった。研究班は1月9日のGut誌電子版の中で、生検を受けた患者の転帰は受けなかった患者よりも良好であったと発表している。
画像は、膵臓を生検針で穿刺する様子を超音波内視鏡で描出したものである。超音波内視鏡は胃内に存在(経口鏡を使用)。超音波内視鏡先端の超音波プローブにより胃に隣接する膵臓の描出が可能。超音波ガイド下で長い生検針を内視鏡から通し、腫瘍を穿刺している。
研究班の対象は膵癌であったが、本研究で用いられた診断手法(穿刺吸引細胞診)は腫瘍の種類を問わず用いられるため、この結果は他の癌でも当てはまるではと考えられる、と本研究の主任研究者で消化器科医のマイケル・ウォレス医師(公衆衛生学修士、内科学教授)は語った。
穿刺吸引細胞診は、細い中空針を用いて腫瘍から数個の癌細胞を抽出する低侵襲の手技である。生検により癌が播種されるという思い込みが、多くの患者や医師の中にさえ長い間存在しつづけてきた。
その可能性が考えられる症例は数例あるものの(極めてまれだが)、生検に対して心配する必要は全くないとウォレス医師は語る。
「研究結果を見れば、医師も患者も生検が非常に安全だと思い直すはずです。米国内では癌生検が毎年何百万回も行われています。ですが、その中の1、2例のために、生検が癌を播種させるという迷信がこれほどまで有名になっているのです」。
生検は「テーラーメイド治療を行う上で非常に価値のある情報を与えてくれます。ある症例では、より良好な転帰のため手術を行う前に化学療法と放射線療法を行うこともできますし、またある症例では、手術をはじめとした無用な治療を行わないという選択ができるのです」とウォレス医師は語る。
膵臓癌の手術は「非常に大きなオペレーション」であり、「ほとんどの人は手術を行う前に癌の存在を確認したいと思うはずです」とウォレス医師は語る。ある研究によると、膵癌疑いで手術を受けた患者のうち9%は良性腫瘍であったという結果が出ている。
ウォレス医師とその研究班は、生検のリスクを検証するための研究を個別に2回行っている。
2013年にEndoscopy誌に掲載された研究では、研究班はメイヨークリニックで治療を受ける256人の膵臓癌患者の転帰について検証した。研究班は、超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診(EUS-FNA)を受けた患者208人と受けなかった患者48人との間で、癌の再発に差がないという結果を示した。
今回の研究では、研究班は手術を受けた非転移性膵癌患者に関するメディケアのデータ11年分(1998年~2009年)を調査した。研究班は、EUS-FNAを受けた498人と受けなかった1536人の全生存期間と膵癌特異的な生存期間を調査した。
平均追跡期間21カ月の中で、死亡者はEUS-FNA施行群のうち285人(57%)、EUS-FNA未施行群のうち1167人(76%)であった。膵癌が死因であると判定した患者はEUS-FNA施行群のうち251人(50%)、EUS-FNA未施行群のうち980人(64%)であった。
全生存期間の中央値はEUS-FNA施行群で22カ月、EUS-FNA未施行群で15カ月であった。
「生検はきわめて有効です。生検を行うことで患者にあった医療、つまり患者一人ひとりに合わせ、できる限り良好な転帰を得られるよう計画した治療を行うことができるのです」とウォレス医師は語る。
共著者には、ミネソタ州のメイヨークリニック・ロチェスター総合病院の研究者も参加している。
2015年1月8日木曜日
生活習慣と遺伝子からがん予測 愛知県がんセンター
2015年1月8日 中日新聞朝刊
愛知県がんセンター(名古屋市千種区)は、健康な人が将来どの部位のがんにかかりやすいのか、遺伝子と生活習慣から確率を出すプログラムの開発に乗り出した。三年以内の実用化を目指す。結果を見てリスクの高いがん検診を受けたり、生活を改善したりして、より効果の高い予防につなげる。遺伝子情報から病気のリスクを判定する方法は、既に民間などにあるが、生活習慣と関連づける判定は珍しい。
がんセンターには研究所と中央病院などがあり、がん患者の遺伝子を調べて個人にあった治療に力を入れている。研究所は一九八八年から、がんやがんの疑いで訪れる初診患者を対象に生活習慣を調査。二〇〇一年からは患者の同意を得て血液で遺伝子を採取し、遺伝的な体質と生活習慣が発がんにどう関係しているか、分析を続け、患者のデータ約三万件が蓄積されている。
研究所疫学・予防部の田中英夫部長(52)によると、これまでの研究で遺伝的に酒を飲めず、一定以上の喫煙量がある人は酒が飲める人より肺がんになりやすいことや、遺伝的にある程度の酒が飲める人でも、大量に飲酒を続けると、胃がんになるリスクが高まることなどが分かってきた。
プログラムはこうしたデータや研究成果を活用。対象は日本人に多く、生活習慣との関係が指摘される肺がん、胃がん、大腸がん、乳がんを想定。採血による遺伝子検査と生活習慣を調べるアンケートで、七十五歳になるまでにがんにかかる確率を計算。一定以上のリスクの高い人には、定期的な精密検査や生活習慣の改善を指導する予定。
実用化に向け、昨年十一月から愛知県内に住む四十五~六十五歳の健康な女性三十人に、乳がんになるリスク検査の試験を開始。乳がんは特定の遺伝子変異や肥満がリスクを高めることが知られ、今後は結果を知った対象者が生活習慣の改善に取り組んでいるか、心にどういった影響を与えるかなどを調べる。その他のがんについても順次、試験を実施し、内容と精度を高めていく。
田中部長は「現在は誰もが一律にがん検診を受けているが、リスクが高いと判定された臓器を重点的に受ければ、効率的な予防が期待できる」と話している。
愛知県がんセンター(名古屋市千種区)は、健康な人が将来どの部位のがんにかかりやすいのか、遺伝子と生活習慣から確率を出すプログラムの開発に乗り出した。三年以内の実用化を目指す。結果を見てリスクの高いがん検診を受けたり、生活を改善したりして、より効果の高い予防につなげる。遺伝子情報から病気のリスクを判定する方法は、既に民間などにあるが、生活習慣と関連づける判定は珍しい。
がんセンターには研究所と中央病院などがあり、がん患者の遺伝子を調べて個人にあった治療に力を入れている。研究所は一九八八年から、がんやがんの疑いで訪れる初診患者を対象に生活習慣を調査。二〇〇一年からは患者の同意を得て血液で遺伝子を採取し、遺伝的な体質と生活習慣が発がんにどう関係しているか、分析を続け、患者のデータ約三万件が蓄積されている。
研究所疫学・予防部の田中英夫部長(52)によると、これまでの研究で遺伝的に酒を飲めず、一定以上の喫煙量がある人は酒が飲める人より肺がんになりやすいことや、遺伝的にある程度の酒が飲める人でも、大量に飲酒を続けると、胃がんになるリスクが高まることなどが分かってきた。
プログラムはこうしたデータや研究成果を活用。対象は日本人に多く、生活習慣との関係が指摘される肺がん、胃がん、大腸がん、乳がんを想定。採血による遺伝子検査と生活習慣を調べるアンケートで、七十五歳になるまでにがんにかかる確率を計算。一定以上のリスクの高い人には、定期的な精密検査や生活習慣の改善を指導する予定。
実用化に向け、昨年十一月から愛知県内に住む四十五~六十五歳の健康な女性三十人に、乳がんになるリスク検査の試験を開始。乳がんは特定の遺伝子変異や肥満がリスクを高めることが知られ、今後は結果を知った対象者が生活習慣の改善に取り組んでいるか、心にどういった影響を与えるかなどを調べる。その他のがんについても順次、試験を実施し、内容と精度を高めていく。
田中部長は「現在は誰もが一律にがん検診を受けているが、リスクが高いと判定された臓器を重点的に受ければ、効率的な予防が期待できる」と話している。
左乳房の乳ガンの放射線治療時に心臓の被爆量を減らすには大きく息を吸い込むと良い
(2015年1月) 左乳房の乳ガンに対して放射線治療を行うことによって心臓病のリスクが増加することが知られていますが、"Practical Radiation Oncology" 誌オンライン版に掲載されたトーマス・ジェファーソン大学の研究によると、放射線治療時に大きく息を吸い込み肺をふくらませることによって、心臓に放射線が当たる量を大幅に減らして心臓病(虚血性心疾患)になるリスクを低下させられると思われます。
この研究では、左乳房にステージ0~Ⅲの乳ガンがある患者81人に、放射線治療時に大きく息を吸い込んでもらいました。 その結果、心臓への放射線被爆量が中央値で62%減っていました(被爆量を20%以上減らせた患者は88%)。
その後81ヶ月の追跡調査に基づくこれらの患者の8年間生存率の推算値は、乳ガンが再発しない状態での生存率(disease-free survival)は90%、(再発したケースを含む)全体での生存率は96%というものでした。
この研究では、左乳房にステージ0~Ⅲの乳ガンがある患者81人に、放射線治療時に大きく息を吸い込んでもらいました。 その結果、心臓への放射線被爆量が中央値で62%減っていました(被爆量を20%以上減らせた患者は88%)。
その後81ヶ月の追跡調査に基づくこれらの患者の8年間生存率の推算値は、乳ガンが再発しない状態での生存率(disease-free survival)は90%、(再発したケースを含む)全体での生存率は96%というものでした。
2015年1月3日土曜日
3Dプリンター×ヒトのコラーゲン、幹細胞で移植用組織 感染症回避
2015.1.3 07:55
ニッポンのすご技!3Dプリンター×ヒトのコラーゲン、幹細胞で移植用組織 感染症回避 東大病院と富士フイルムなど技術開発/5年後の実用化目指す
東京大学医学部付属病院と富士フイルムなどが、立体の造形物を簡単に作製できる3Dプリンターと遺伝子工学を駆使し、人体に移植できる皮膚や骨、関節などを短時間で量産する技術を確立したことが2日、分かった。移植の難題となっている感染症の危険性を低く抑えられるのが特長。世界初の技術といい、5年後の実用化を目指している。
開発したのは、東大病院顎(がく)口(こう)腔(くう)外科の高戸毅教授らの研究チーム。肝臓など臓器にも応用する考えで、体外で生成した健康な組織を患部に移植する「再生医療」を大きく前進させる可能性がある。
高戸教授によると、病気やけがで皮膚、骨、軟骨、関節の移植が必要な患者は国内で計2千万人以上。現在は患者本人の患部以外から切除した組織を使うなどしており、体への負担が大きい。
患者の負担を減らす方法として、国内ではウシなど動物の組織とプラスチック素材を主な原料に3Dプリンターで移植用組織を作る技術がある。ただ感染症のリスクがあり、組織が人体になじむ「同化」に2~3年はかかる。頭蓋骨や大(だい)腿(たい)骨(こつ)といった強度の必要な組織の作製も難しいという。
研究チームは今回、皮膚や軟骨、骨などの基本構造の7割以上が、タンパク質の一種であるコラーゲンでできていることに着目。富士フイルムが遺伝子工学を駆使して開発したヒトのコラーゲン「リコンビナントペプチド(RCP)」を活用することで、感染症リスクの低減に成功した。
RCPに患者本人から取り出した幹細胞や細胞の増殖を活性化させるタンパク質「成長因子」などを混ぜて医療用に改良した3Dプリンターに装(そう)填(てん)。CT(コンピューター断層撮影装置)で得た体内組織のデータを活用して2~3時間で目的の組織を作製する。患者ごとに違った形、大きさにすることも可能という。
高戸教授は「感染症リスクの低下だけでなく、数カ月間での自然同化も可能」と説明する。動物実験では良好な結果が出始めているという。厚生労働省から必要な許認可を得た上で、5年後の実用化を目指す。
再生医療に詳しい埼玉医科大学形成外科・美容外科の中塚貴志教授は、今回の技術開発について「3Dプリンターが、再生医療に欠かせない医療機器に進化するための重要なステップになる」と話している。
ニッポンのすご技!3Dプリンター×ヒトのコラーゲン、幹細胞で移植用組織 感染症回避 東大病院と富士フイルムなど技術開発/5年後の実用化目指す
東京大学医学部付属病院と富士フイルムなどが、立体の造形物を簡単に作製できる3Dプリンターと遺伝子工学を駆使し、人体に移植できる皮膚や骨、関節などを短時間で量産する技術を確立したことが2日、分かった。移植の難題となっている感染症の危険性を低く抑えられるのが特長。世界初の技術といい、5年後の実用化を目指している。
開発したのは、東大病院顎(がく)口(こう)腔(くう)外科の高戸毅教授らの研究チーム。肝臓など臓器にも応用する考えで、体外で生成した健康な組織を患部に移植する「再生医療」を大きく前進させる可能性がある。
高戸教授によると、病気やけがで皮膚、骨、軟骨、関節の移植が必要な患者は国内で計2千万人以上。現在は患者本人の患部以外から切除した組織を使うなどしており、体への負担が大きい。
患者の負担を減らす方法として、国内ではウシなど動物の組織とプラスチック素材を主な原料に3Dプリンターで移植用組織を作る技術がある。ただ感染症のリスクがあり、組織が人体になじむ「同化」に2~3年はかかる。頭蓋骨や大(だい)腿(たい)骨(こつ)といった強度の必要な組織の作製も難しいという。
研究チームは今回、皮膚や軟骨、骨などの基本構造の7割以上が、タンパク質の一種であるコラーゲンでできていることに着目。富士フイルムが遺伝子工学を駆使して開発したヒトのコラーゲン「リコンビナントペプチド(RCP)」を活用することで、感染症リスクの低減に成功した。
RCPに患者本人から取り出した幹細胞や細胞の増殖を活性化させるタンパク質「成長因子」などを混ぜて医療用に改良した3Dプリンターに装(そう)填(てん)。CT(コンピューター断層撮影装置)で得た体内組織のデータを活用して2~3時間で目的の組織を作製する。患者ごとに違った形、大きさにすることも可能という。
高戸教授は「感染症リスクの低下だけでなく、数カ月間での自然同化も可能」と説明する。動物実験では良好な結果が出始めているという。厚生労働省から必要な許認可を得た上で、5年後の実用化を目指す。
再生医療に詳しい埼玉医科大学形成外科・美容外科の中塚貴志教授は、今回の技術開発について「3Dプリンターが、再生医療に欠かせない医療機器に進化するための重要なステップになる」と話している。
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