出版2004年 |
▼「漢字」と「ひらがな」は違った脳のシステムで処理されている
「ひらがな」などの表音文字と「漢字」(表意文字)は、脳の中ででは異なった領域で処理されていることが知られています。「ひらがな」は書字言語として用いられていても音声言語の情報処理系である側頭葉後半部で、「漢字」は書字言語の情報処理系である下側頭回で取り扱われているのです。
就学前の子どもたちや障害児などでひらがなを書いたり覚えたりすることは苦手なのに、漢字の学習は喜んでする子供たちが数多くいることなど、ひらがなと漢字が違った脳のシステムで処理されることと関係がありそうです。
▼「癒し」の本態
前頭前野をはじめとしてその他の領域が活性化していないことが重要なのかと思い、脳の血流が減少する領域がないのかを調べてみました。すると面白いことに、癒しのプログラムを視聴している時には、両側半球の前頭前野と頭頂連合野の血流が低下していることが判明したのです。これは右半球に強い変化でした。
「癒し」の本態は、前頭前野や頭頂連合野の働きを抑え込むこと、それらの領域の活動を休ませることであるとわかりました。
▼「右脳は抽象思考、左脳は論理思想」ではない
皆さんは「右脳は抽象思考、左脳は論理思想」「右脳は絵画、左脳は言語」などという説を聞いたことがないでしょうか。今でも」こういった説を唱える自称「脳の専門家」がいます。
こうした明確な左右脳の機能分担をとても「気持ち良く」受け入れることが出来ますが、残念ながら、このような機能分担が私たちの脳にはないことが脳機能イメージング研究によってはっきりしました。