▼イレッサ訴訟、遺族側が全面敗訴 最高裁が上告棄却
(共同) 2013年4月12日 16時12分
肺がん治療薬「イレッサ」の副作用の危険を十分知らせなかったとして、死亡した患者2人の遺族が製薬会社に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(寺田逸郎裁判長)は12日、遺族側の上告を棄却した。企業の賠償責任を否定した二審東京高裁判決が確定した。国への賠償請求については上告が受理されておらず、この日の判決で遺族側の全面敗訴が決まった。
第3小法廷は同日、同様の主張をしていた大阪訴訟の原告についても上告を全面的に退ける決定をし、全ての訴訟を終結させた。
イレッサは2002年7月に承認されたが、副作用の間質性肺炎で死亡する患者が相次いだ。
▼イレッサ訴訟で患者側の全面敗訴確定
(NHK) 4月12日 15時10分
肺がんの治療薬「イレッサ」の投与を受けたあとに死亡した患者の遺族が、「副作用に関する情報提供が不十分だった」などと国と製薬会社を訴えた裁判で、最高裁判所は製薬会社に対する患者側の上告を退ける判決を言い渡しました。国への上告はすでに退けられていて、患者側の全面敗訴が確定しました。
イレッサとは
「イレッサ」は、「ゲフィチニブ」という抗がん剤の商品名で、肺がんの治療薬として大阪の製薬会社が輸入・販売しています。腫瘍を小さくする効果があるとして、日本では申請から僅か半年後の平成14年7月に、世界に先駆けて承認されました。
当初は「夢の新薬」とも言われましたが、発売直後から副作用の重い肺炎などにより、患者が死亡するケースが相次いで報告されました。
このため、発売から3か月後の平成14年10月、厚生労働省は製薬会社に対し、薬の添付文書に副作用についての警告を盛り込むよう指示しました。
厚生労働省によりますと、去年12月末の時点で、イレッサの副作用とみられる報告は2350例あり、このうち862人が死亡しています。その一方、特定のタイプの肺がんには延命効果があるとして、現在も1年におよそ7500人の新たな患者に使用されています。
イレッサを巡る裁判では、おととし、国が裁判所の和解勧告を拒否した際、当時の細川厚生労働大臣が抗がん剤による副作用の救済制度の創設を検討すると表明し、議論が進められましたが、「がん患者の場合、症状の悪化が薬の副作用によるものかどうか判断するのが難しい」として見送られています。