2014年6月22日日曜日

乳癌骨転移患者に対する低頻度(3カ月に1回)のゾレドロン酸投与

乳癌骨転移患者に対する低頻度(3カ月に1回)のゾレドロン酸投与は、標準的な月1回投与と比較して安全であり同等の有効性が得られる/米国臨床腫瘍学会(ASCO)
2014年6月22日

OPTIMIZE-2試験(ランダム化第3相試験)の新たな結果から、乳癌骨転移患者はゾレドロン酸による月1回の治療を1年継続した後に、その投与頻度を3カ月に1回へ安全に減らすことができると示唆されている。投与頻度を落としても、骨転移に起因する合併症を低減させる上で、月1回の投与と同等の効果が得られ、ゾレドロン酸投与で稀に伴う重篤な副作用のリスクを低減できることが明らかにされた。

「ゾレドロン酸のようなビスホスホネート製剤を併用することによって骨転移患者の医療は劇的に改善されてきましたが、長期の投与から顎骨壊死や腎障害といった重篤な副作用のリスクが発生しています」と試験の筆頭著者でMDアンダーソンがんセンター(テキサス州、ヒューストン)内科教授のGabriel N. Hortobagyi医師は言う。 「われわれは、投与回数を減らすことで重篤な副作用のリスクを低下できることに加え、わずらわしさや医療費といった患者の負担を軽減するという効果が得られることを明らかにしました」。

ゾレドロン酸は、骨折や脊髄圧迫など骨転移に起因する合併症を減少させるために繁用される。ほとんどの医師が、骨転移と診断してから1年間はゾレドロン酸を4週間毎に投与する。その治療は無期限に継続すべきであると考えられているが、医師らは副作用のリスクに対する懸念を持ち続けてきた。現在のところ、研究が限定的であり、1年経過後の治療の最適なスケジュールをエビデンスに基づいて示すガイドラインはない。

OPTIMIZE-2 試験では、ゾレドロン酸の月1回投与をほぼ1年間継続した骨転移乳癌の女性403人を対象に、その後の1年間、ゾレドロン酸を1カ月毎に投与する群または3カ月毎に投与する群にランダムに割り付けた。研究者らは骨関連事象発現率、つまり長骨および椎骨の骨折、脊髄圧迫、その他骨転移に起因する治療介入といった骨関連事象が1つ以上みられた患者の割合を評価した。

骨関連事象発現率は2群間で同等であり(1カ月毎投与群の22%、3カ月毎投与群の23.2%)、低頻度の治療が1カ月毎の治療に劣ることはないことが示された。初回骨事象発生までの期間、骨代謝マーカーなど他の有効性判定指標値も2群間で同等であった。疼痛の程度、鎮痛薬の使用状況にも2群間で違いは認められなかった。しかし試験デザインが限定化されており統計学的な懸念があることから、OPTIMIZE-2試験の有効性データは慎重に解釈する必要がある。

総合的な安全性プロファイルおよび腎毒性において、ゾレドロン酸の2投与法間で顕著な違いはみられなかった。1カ月毎投与群で顎骨壊死が2症例報告されたが、一方の3カ月毎投与群では報告されなかった。 顎骨壊死は、顎骨の一部が弱体化し死滅する病態であり、骨の壊死部位には痛みが伴い、外科的摘出が必要になることがある。

この研究はNovartis Pharmaceuticals社から資金援助を受けている。

ASCOの見解

「骨折に対して、長期的な防御策を講じることが必要な転移性乳癌の女性は現在、有効性と安全性が損なわれることなく低頻度の間隔で、ビスフォスホート系薬剤の維持療法を選択できるようになったということです」とPatricia Ganz 医師(米国臨床腫瘍学会フェロー、米国臨床腫瘍学会専門委員)は述べた。