2012年4月25日水曜日

今後乳がんはその起源も病態も大きく異なるたくさんの病気の「総称」ととらえられることになろう

遺伝子研究がもたらす乳がん治療の新天地
 2012.4.19

 2,000例の乳がん細胞を解析し、乳がんの分類や治療方法について新しい知見を与える研究結果が、英国、ノルウェー、カナダなどにある13の機関による共同研究により報告された。

 研究者らは診断後5年~10年の女性の乳がん細胞のDNAとRNAを解析した。その結果、次のようなことが明らかになったという。

 ●乳がんは遺伝子の型によって大きく10に分類され、その分類は生命予後にも関連づけられる。分類にあわせた治療方法が行われることになろう。

 ●今までは乳がんと関連づけられなかった遺伝子もいくつか発見された。今後はこの遺伝子をターゲットとする新薬開発も必要となろう。

 ●遺伝子と細胞が成長し増殖するシグナル伝達回路の関係も明らかになった。つまり遺伝子の障害が細胞のプロセスを妨げ、がんを引き起こす原因をつきとめることができた。

 研究者らはこの成果により、今後乳がんはその起源も病態も大きく異なるたくさんの病気の「総称」ととらえられることになろう、としている。

 なお、この研究成果より10日ほど前に、同じ研究グループが「最も致死率の高いがん細胞」の遺伝子解析に成功したと報じられていたとのこと。今回はそれに続く画期的な研究成果として受け止められている。

 これまでにない数の検体を解析したことや、いままで病理学的にしかわからなかった乳がんの分類を一挙に分子レベルに高めたことに対して、研究に参加した研究者からも驚嘆の声が上がっている。