▼扇風機 使い方に注意! 体調不良や火災の危険
使い方によっては、夏バテの原因になることもある。古い製品は発火の危険もあり、注意したい。
東京都練馬区の主婦(35)は昨夏、扇風機に長時間あたり、体調を崩した。夜、下半身に風をあてたまま寝たところ、翌朝に足元が冷え、全身のだるさが4時間ほど続いた。日中、扇風機にあたりながら1時間ほど仮眠した時も、のどの渇きやめまいを覚え、食欲がなくなったという。「節電のため今夏も使うが、あたり方を考えないと」と話す。
「amadana(アマダナ)」ブランドの家電を販売するリアル・フリート(東京)が5月、1000人に行ったアンケート調査では、扇風機が原因とみられる体調不良を経験した人は53%もいた。具体的には体のだるさが60%、肌、のどなどの乾燥が47%、体の冷えが29%など。つけっぱなしにして寝る人の3分の2が何らかの異変を感じており、風にあたり続けることが不調を招いているようだ。
「扇風機に長時間あたると体温の調節機能が低下し、悪影響を及ぼす」。汗が蒸発し皮膚の温度が下がると、血液を通じて内臓の温度も下げ、食欲不振やだるさなどを引き起こすという。
パナソニックエコシステムズ(愛知県春日井市)の試算では、天井の扇風機から風速1メートルの風を浴びると、体感温度は約3度下がる。「入浴後などに10分ほど涼を得るなら問題ないが、それ以上、直接あたるのは避けたほうがいい」。風を壁や天井に向け、部屋の空気全体を循環させれば体の負担は減る。
▼風を浴びるためでなく、風を送ることを意識して
風は入ってきたら、必ず出て行きます。出口がなければ入ってこないと云っても過言ではありません。風の入口になるバルコニー側の窓を開け、さらに風の出口側の窓を開けます。そして風を通したい流れと同じ方向へ扇風機の風が向くようにセットします。扇風機で排出された風は、新たな風を呼んでくれます。また風が流れ、壁をつたうことで壁面の熱を奪うので、壁から出る熱の放出を抑える効果も期待できますよ。
▼外気を強制的にとりこむ
部屋の中が熱くなっている場合は、たいてい外気の方が涼しくなっています。ただ、風がないのでなかなか入ってこないだけです。そこで、この空気を強制的にとりこむことで気温を下げてしまうのが効果的。
手順は単純に:扇風機を網戸にくっつける、反対向きの空気の流れが生じないように窓は閉め気味、あとはしつこく外気をとりこむ。たったこれだけですが、本当にしつこく続けるのがコツです。写真に写っているのは私の書斎の貧相な卓上ファンですが、こんなものでも外気温が部屋の中よりも2度くらい低いなら、3時間ほどずっと強制的に外気を入れていることでだんだんと室温は外気温に近付いていきます。
のこり二つのテクニックは、こうして導き入れたすずしい空気を利用して行ないます。
天井付近の換気をまめに行なう。暑い空気はいつまでも天井付近に滞留して部屋の平均気温を押し上げてしまいますので、ときどき、扇風機を上に向けて天井付近の空気を下とかき混ぜてしまいます。最初は部屋の空気がさらに暑くなるのですが、気流が生まれてしまえば効果的に暑い空気を追い出すことができます。逆に気流もつくらずにいると、天井付近にとどまっている暖気はいつまでも消えてくれないのです。
その他に、ドアを全開にして風通しを良くし、風が抜ける場所の途中に扇風機を置くのも効果的です。
▼“風の通り道”を上手につくること
「窓を2か所以上開けると、うまく風が通り抜けるようになり、熱気が家の中にとどまりません。“玄関網戸”があればそれを使って、玄関へ風が流れるようにするのも効果的です」。エアコンをつけるときも、冷気が部屋の中を循環するように、扇風機や空気の循環をよくするサーキュレーターを併用するのが基本。
気温が高い昼間に打ち水をしても、かえって熱気や湿気が生じてしまい、節電・冷却効果は見込めないという。「打ち水をするなら、直射日光が当たらなくなる夕方以降に、お風呂の残り湯などを利用するのがおすすめです」
▼気化熱を利用する
氷で一杯にした洗面器を扇風機の前に置けば、氷の水分が蒸発する際の“気化熱”を利用して、より涼しい風を吹かせることができます。
扇風機の前で霧吹きスプレーで水をシュッシュとスプレーします。気化熱が奪われ、涼しい風が吹きます。
同様の理屈で、洗濯物を室内干しし、その背後から扇風機を回します。部屋が涼しくなり、洗濯物が早く乾き、一石二鳥。
ベランダなど窓の外に何かがある場合、打ち水をしたり植木鉢を置くだけで風が涼しくなりますから、扇風機を回す前にそのような処置をするのがよろしいかと。
▼扇風機の都市伝説