私のクレアチニン値 |
先日の第52回日本糖尿病学会で「血清クレアチニン低値は2型糖尿病の発症リスクである」という発表がありました(The Kansai Healthcare Study: 大阪市立大針田伸子先生)。40~55歳の糖尿病でない男性のうち、登録時にクレアチニン値2.0mg/dl未満だった人を4年間追跡した研究です。その結果、クレアチニン値が低ければ低いほど糖尿病になる率が有意に上昇したというものです。つまり、筋肉が少ない人ほどクレアチニン値が低くなるのであり、それは基礎代謝量の低下や運動不足の表れだから糖尿病悪化の誘因になる、という考察でした。
▼2009. 5. 23 血清クレアチニン低値は2型糖尿病の発症リスクだったより
インスリンの標的臓器である骨格筋と2型糖尿病発症との関係を明らかにするため、その筋肉量を反映すると考えられている血清クレアチニン値と2型糖尿病発症との関連性を前向きコホート研究(The Kansai Healthcare Study)で検討したところ、「血清クレアチニン低値は2型糖尿病の発症リスクである」ことが明らかになった。大阪市立大大学院医学研究科産業医学の針田伸子氏らが5月22日、第52回日本糖尿病学会年次集会の口演セッション「2型糖尿病」で発表した。
演者らは、2000年度に定期健診を受けた40~55歳の男性で、登録時に糖尿病がなく、血清クレアチニン値が2.0mg/dL未満だった人で、4年間追跡できた8570人を対象にコホート研究を行った。解析は多重ロジスティック回帰分析で行った。
4年間の追跡の結果、2型糖尿病を発症した人は877人だった。追跡できた8570人の発症率は10.2%だった。
登録時の血清クレアチニン値が0.71-0.80mg/dLを示した群と0.40-0.60mg/dLを示した群を比較したところ、多変量解析後のオッズ比は1.91(95%信頼区間、1.44-2.54)だった。この関係は、年齢やBMI、空腹時血糖値や飲酒量、さらには喫煙習慣、通勤時歩行時間、運動習慣、糖尿病家族歴とも独立していた。
これらの結果から演者らは、「血清クレアチニン低値は2型糖尿病の新たな発症リスクであることが明らかになった」と結論した。