2013年7月13日土曜日

院内処方に戻してみたら

日経メディカルブログ:日経ヘルスケアon the web
2013. 7. 13
新築移転を機に医薬分業に背を向けた二つの民間大病院
院内処方に戻してみたら…

院外処方を完全にやめて院内処方に戻したり、院内処方との選択制を導入する動きが広がりつつあります。最近も二つの大病院が、新築移転を機に院内処方への変更に踏み切りました。

2013年7月2日火曜日

原発性乳癌手術例の24%で術前後のki-67値が変動、luminalタイプが変化した患者も25%【乳癌学会2013】

2013. 6. 30
原発性乳癌手術例の24%で術前後のki-67値が変動、luminalタイプが変化した患者も25%【乳癌学会2013】

 術前薬物療法を行わなかった原発性乳癌の手術実施患者を対象に、術前後のki-67 labeling index(ki-67 LI)を評価した結果、患者の24%で手術前後にki-67 LIが変動したことが明らかになった。岩手医科大学外科学講座の小松英明氏が、6月27日から29日まで浜松市で開催された第21回日本乳癌学会学術総会で発表した。
 
 乳癌におけるki-67の発現状態を示すki-67 LIは、予後予測因子の1つとされている。一方で、ki-67の発現状態は術前の針生検(CNB)と手術標本の間で異なることが指摘されており、それには腫瘍の進展状況、血流などの微小環境による不均一性が影響していると考えられている。

 そこで小松氏らは、術前に実施するCNBと手術検体におけるki-67 LIに違いがあるかを検討した。

 対象は、2011年1月~2012年12月までに同院で原発性乳癌手術を実施したステージI~IIICの患者のうち、術前薬物療法を実施せず、かつki-67(MIB-1)の免疫染色を実施した患者75人。ki-67 LIは、目視でその値を算出し、14%以上を高値群、14%未満を低値群とした。

 患者の年齢中央値は56歳(範囲:34-87歳)だった。TNMステージはIが63%、IIが27%、IIIが10%、組織グレードは2が76%、エストロゲン受容体(ER)陽性は87%、プロゲステロン受容体(PgR)陽性は76%、HER2陽性は8%を占めた。

 検討の結果、患者の24%で、手術前後にki-67 labeling indexの変動が見られた。術前後のki-67 LI中央値は、それぞれ11%、10%だった。

 ki-67 LIが術前後で変動した不一致患者(18人)において、手術検体のki-67 LIのばらつきはCNBよりも少なく、その値は5-20%の範囲に集中していた。

 術前にLuminal AまたはBと判定された患者(64人)のうち、術後にluminalタイプが変化した患者は25%(16例)を占めた。内訳は、luminal AからBが5例、luminal BからAが11例だった。つまり、術前にluminal Bだった患者(27人)のおよそ4割がluminal Aに変化したことになる。


 これらの結果から小松氏は、「術前後にluminal A、Bの変化が見られた患者は全体の25%を占め、luminal BからAに変化した患者は約40%を占めた。腫瘍径や不均一性、染色固定状態によってki-67 LIが変動していた可能性があるが、薬物療法を決定する際にはki-67 LIが変動している可能性を十分に考慮し、治療がoverまたはunderにならないように薬剤選択に注意が必要」と語った。

今後重点的に取り組むべき課題の1位は「日本人における多遺伝子アッセイの活用法の確立」、学会初の試みコンセンサスカンファレンスで【乳癌学会2013】

2013. 7. 2
今後重点的に取り組むべき課題の1位は「日本人における多遺伝子アッセイの活用法の確立」、学会初の試みコンセンサスカンファレンスで【乳癌学会2013】

 6月27日から29日まで浜松市で開催された第21回日本乳癌学会学術総会では、学会初の試みである「コンセンサスカンファレンス」が行われ、学会理事らにより今後の乳癌診療や研究領域で重点的に取り組むべき課題についてパネルディスカッションが行われた。

 まず座長の愛知県がんセンター中央病院の岩田広治氏が趣旨を説明した。事前に日本乳癌学会評議員を対象にアンケートを実施しており、このコンセンサスミーティングでは上位10項目を紹介し、日本と世界の現状、日本の進むべき方向性、解決方法などを議論することが目的だとした。

 事前アンケートは、日本乳癌学会評議員409人を対象に、2013年5月7~31日に実施された。日本の乳癌診療・研究における課題を、ウェブ上で50項目の中から10個を選択する形式で回答率は80.4%(329人)だった。

 今後取り組むべき課題の第1位は、「日本人における多遺伝子アッセイの活用法の確立(保険承認を含めて)」(37.65%)だった。

 同学会理事で昭和大学医学部乳腺外科の中村清吾氏は、「OncotypeDXを含め、多遺伝子アッセイに関して多数のエビデンスが集まってきている。しかし、残念ながらコストが高く、診療で利用したいと思っていても高嶺の花になってしまっている側面がある。いきなり保険承認は厳しいかもしれないが、例えば先進医療のかたちで日本人のエビデンスをさらに集積し、再現性が確認されたら次のステップに進むという流れで進むのではないか」と語った。また、「日本人を対象にした多遺伝子アッセイの結果は、日本乳癌学会の登録制度を利用するなどして1カ所にデータを集積、解析するのが効率が良いのではないか」と提案した。

 会長の渡辺亨氏(浜松オンコロジーセンター院長)は、「St.Gallenのパネルで、4種類の多遺伝子アッセイをどう評価するのかを討論した際、複数ある多遺伝子アッセイのうちどれも日本で承認されていないことを言ったら、他の国のパネリストが非常に驚いていた。それくらい日本は遅れている。エビデンスはある程度あるので、あとは行政的な対応を早く進めて承認を取得してほしい」と語った。

 理事で国立がん研究センター東病院乳腺・腫瘍内科の向井博文氏は、「財政的な問題もあるので、何でも保険収載を要望するばかりでは難しく、工夫が必要。時代の流れと共に有用性が低下した項目については、保険収載を取り下げるなどの工夫が必要」と提案した。

 これらを踏まえ、座長の大野真司氏(国立病院機構九州がんセンター)は、「ドラッグラグだけでなく、診断ラグもこれから大きな問題になると思う。しかし、多遺伝子アッセイに関してはすでに日本でもエビデンスが蓄積している。今後は保険収載に向けて努力し、保険収載されるまで先進医療でやるのかなど、日本乳癌学会で大きな課題として取り組んでいくという方向でまとめさせていただきたい」と語った。

 引き続き行われた閉会式では、来年開催される第22回日本乳癌学会学術総会会長の野口眞三郎氏(大阪大学医学系研究科)が挨拶し、学会理事らが一同に介して議論するコンセンサスカンファレンスを来年以降も継続したいとの意向を示した。

 アンケート結果の2位以下は、以下の通り。

第2位 「リンパ節転移陽性時の適切な腋窩マネージメントの検証」(35.45%)

第3位 「適切な術前・術後薬物療法の検証(non-pcrを含めて)」(34.23%)

第4位 「乳房温存術後放射線治療省略の適応の明確化」(31.54%)

第5位 「世界に対抗できる日本全体の治験・臨床試験体制の構築、トランスレーショナルリサーチを推進するための体制整備(組織バンクなど)」(30.32%)

第6位 「世界標準に合わせた増殖マーカー(Ki67など)の意義と品質管理の検証」(28.61%)

第7位 「乳房再建手術の適応と標準化の確立」(24.94%)

第8位 「家族性乳癌に対するトータルケアと予防治療などの体制整備」(24.45%)

第9位 「各種診断モダリティの臨床的・医療経済的意義の検証(初期診断、術前薬物療法の効果、術後経過観察など)」(22.74%)

第10位 「日本における適切な検診の確立(US、MRI)と共に、非触知石灰化病変を診断・治療することの意義の検証」「乳癌の遠隔転移に対する外科療法の意義の検証」(どちらも21.03%)