2016年4月19日火曜日

骨転移への放射線治療は「痛み」「不眠」のほか全体的なQOLを改善

学会トピック◎第75回日本医学放射線学会総会
骨転移への放射線治療は「痛み」「不眠」のほか全体的なQOLを改善
2016/4/19 満武里奈=日経メディカル

 骨転移患者に対する姑息的放射線治療は、痛みを和らげるだけでなく、全体的なQOLや不眠のスコアを改善することが分かった。埼玉医科大学総合医療センター放射線腫瘍科教授の高橋健夫氏が、4月14日から17日にかけて横浜市で開催された第75回日本医学放射線学会総会(大会長=北海道大学の玉木長良氏)で発表した。

2016年4月15日金曜日

朝型か夜型か……鍵を握るのは「絶食時間」

2016年4月5日

体内時計が食事時刻を覚えている

 さて、毎日決まった時刻にしか餌をもらえない環境でマウスを飼育すると、そのマウスは餌がもらえる時刻の数時間前から行動し始めるようになります。この行動は毎日正確に行われ、体内時計によって餌の時刻を察知する能力があるようです。この現象は古くから知られており、いわゆる「腹時計」が本当に存在しているのではと考えられてきました。また、このような環境で飼育したマウスの体内時計は、食事の時刻に合わせて昼と夜のリズムが変化します。自然環境に生きるマウスは夜行性で夜、餌を取りますが、明るい時間にだけ餌をもらう環境が続くと、明るくても行動するようになります。また、体温リズムやホルモンリズムも変化します。つまり、体内時計は食事時刻の変化に合わせて、時刻調節を行うのです。それは生きるうえで重要な餌の確保のためであり、体内に入ってくるだろう食事の消化・吸収・代謝の準備のためでもあります。

朝食は体内時計を早め、遅い夕食は時計を遅らせる

 上述の実験で、1日1回の食事を朝食(マウスが活動を開始する時)、または夕食(マウスが寝始める直前)に固定し、体内時計の時刻を比べてみました。すると毎日、朝食だけ食べているマウスの体内時計は、自然な状態よりも少し早い時刻に変化しました。一方、夕食だけを食べているマウスの体内時計は、約3時間と大きく遅れました。朝食には体内時計を前進させる効果、夕食には後退させる効果があることが分かります。

しかしこの結果を、私たち人間にそのまま当てはめることはできません。通常、私たちは1日3食が一般的です。その場合は、朝食の前進効果と、夕食の後退効果が差し引きされて、体内時計の時刻は大きく変化しません。またそもそも体内時計への刺激は、1日1食よりも1日3食だと弱くなります。さらに昼食だけを食べるマウスでの1日1食実験では、朝食、夕食と異なり体内時計は大きく変化しないことが分かっています。

 では1日3食のパターンを崩した例で考えてみましょう。実はヒトの食事と体内時計の関連を調べた実験はまだほとんどなく、ほぼすべてはマウスでの実験です。以下はマウスでの研究成果を基にした科学的な推察と考えてください。

 最近は若い人だけでなく、年配の人にも多いといわれる朝食抜き生活(1日2食)ではどうでしょうか。昼食と夕食の組み合わせは、体内時計の時刻後退効果しか見込めません。ここで思い出してほしいのは、連載第1回で紹介したように、ヒトの体内時計は24時間よりも少し長く、毎日少し早めることで24時間に調節しているということです。つまり、ただでさえ遅れがちな体内時計を、朝食を抜くことでさらに遅らせてしまうことになります。もちろん食事以外に光などでも調節されるので、どんどん遅れていくわけではありません。しかし、体内時計の夜型化の大きな要因となるのは事実でしょう。

長い絶食後の食事だけが体内時計を調節できる

 では1日3食生活でも、夕食が極端に遅い場合を考えてみましょう。朝食が7時、昼食が12時、夕食が22時の場合です。夕食は19時くらいが一般的だと思いますが、残業後に帰宅してからご飯を食べる場合、夕食が22時ということもあり得ると思います。私たちはマウスでこのような状況を再現し、体内時計の変化を調べてみました(実際には他にもいくつかの食生活パターンを試してみた中の1例です)。

 その結果分かったことは、1日2食または3食の生活スタイルでは、「一番長い絶食後の食事に体内時計調節効果が表れる」ということです。つまり普段は図のように朝食が一番直前の絶食時間が長い(夕食から12時間たっている)のですが、22時に夕食を食べるパターンだと、夕食が一番長く(夕食は昼食から10時間後、朝食は夕食から9時間後)なります。つまり通常は、体内時計調節効果を朝食がもっとも強く持っているのですが、夕食が遅すぎると朝食の体内時計調節効果が弱まってしまうということです。となると、「朝食で体内時計をリセットできなくなっても、夕食でリセットできるなら問題ないじゃないか」と思う人もいるでしょうね。そうではありません。前述の通り、元々、夕食は体内時計を遅らせてしまう方向に働く可能性がありますので、やはり朝食でリセットする方が望ましいと考えられています。

 また「遅い夕食の次の日、ただでさえ朝食を抜きたいのに、無理して食べても体内時計調節効果が弱いなら意味ないな」と思った人もいるかもしれません。大丈夫です、ベストではないですが簡単な解決策はあります。それは、昼食と遅い夕食の間に、間食を取ることです。これで絶食状態は無くなりますので、朝食が一番長い絶食後の食事になりますね。

 では、なぜ長い絶食後の食事のみが体内時計の調節に効果的なのか? そこには血糖調節ホルモンである「インスリン」が深く関わっています。

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 体内時計と食の関係を探る研究は「時間栄養学」と呼ばれ、最近世界中で盛んに取り組まれています。

抗癌剤をやめれば、QOL(生活の質)は上がるのか? これからのホスピスの役割とは。

Dr. Takuya の 心の映像 (image)
緩和ケア医が,普段考えること、感動すること 心の映像を残してみます。 引用、改変、参照 全てご自由に。 Since December 24th, 200

2016年4月15日 (金)
抗癌剤をやめれば、QOL(生活の質)は上がるのか? これからのホスピスの役割とは。

2016年4月14日木曜日

10年相対生存率(2016年3月20日号)
5年後に再発するがん、しないがん
全がん協10年相対生存率が公表される
2016/4/14 日経メディカル

 国立がん研究センターの研究開発費に基づく研究班「わが国におけるがん登録の整備に関する研究(班長:東尚弘氏)は、がん医療の中核的医療機関で組織する「全国がん(成人病)センター協議会」(会長:堀田知光氏、以下「全がん協」)の協力を得て、加盟施設における“部位別10年相対生存率”を初めて集計し、公開した(http://www.zengankyo.ncc.go.jp/etc/)。部位別の10年相対生存率は各がんの生物学的特性を反映しており、治療選択や患者への生活指導にも影響しそうだ。

「乳がんはいつまでも再発するがん」

10年生存率の違いに加え、5年生存率と10年生存率の違いにもそのがんの特徴が示されると同研究班は指摘する。例えば胃がん、大腸がんなどの消化器がんでは5年を超えると生存率は大きく低下しない。つまり、巷間いわれているように5年を治癒の目安とすることができるがんだ。しかし乳がんでは5年を経過しても再発し、死亡する患者が多い。研究班の三上春夫氏(千葉県がんセンター・がん予防センター疫学研究部)は、乳がんを「いつまでも再発するがん」と呼ぶ。

待たれる乳がんの休眠機序の解明

 乳がんの治療がほかの消化器がんに比べ長期にわたることは臨床家の間ではよく知られている。2012年には抗がん薬のタモキシフェンの補助療法を5年から10年に延長することで乳がん死のリスクを有意に低下させることができるとしたランダム化比較試験「ATLAS(Adjuvant Tamoxifen:Longer Against Shorter)」の結果が報告され、注目された。

このように再発リスクが長期にわたって続くメカニズムとして、乳がん細胞が骨髄中に入り、そこで長期間の休眠に入るというモデルが提唱されている。休眠中の乳がん細胞が何らかのシグナルを受けて覚醒し、再発転移を起こすというものだ。こうした休眠と覚醒のメカニズムを知ることは乳がん治療に大きな革新となると考えられる。

2014年には国立がん研究センター研究所分子細胞治療研究分野主任分野長の落谷孝広氏らが、乳がんの休眠にエクソソームと特定のマイクロRNAが関与していることを世界に先駆け報告している。

 がん治療の成績には初回治療が占めるウエートは高い。堀田氏は、「今回公表されたデータは10年前の医療のデータを示している。当然、現在の治療成績が高い。この点を、数値を見る市民の皆さんにも強調してほしい」と10年生存率の公開を機に聞いた記者会見で報道陣に注文を付けた。2002年は固形がん治療に分子標的治療薬はなく、確立した薬剤のレジメンがなかった固形がんも多かった。

2016年4月6日水曜日

末期がん、在宅でも寿命ほぼ同じ 入院と比較、筑波大

2016年4月6日

がんの最期を自宅で迎える場合と病院で迎える場合とでは、生存期間にほとんど違いがないか、むしろ自宅の方がやや長いとする調査結果を、筑波大と神戸大のチームが6日までにまとめた。末期のがん患者が在宅医療を選んでも寿命が縮む可能性は低いことを示す結果となった。

調査は2012年9月~14年4月、専門的な緩和ケアを行う国内の58医療機関で、在宅や病棟で診療を受けた20歳以上の進行がんの患者計2069人を対象に分析した。


2016年4月5日火曜日

おくすり手帳、薬局に持参しないと医療費が高くなる 2016年4月から

2016年03月25日

4月から公的医療の診療報酬が改定され、薬局に薬を買いにいく時に「おくすり手帳」を持参しないと、薬局に支払う金額が高くなる可能性がある。おくすり手帳とは何か?具体的にはどれくらい変わるのかをまとめた。

■おくすり手帳とは?

おくすり手帳とは、いつ、どこで、どんな薬を処方してもらったかを記録しておく手帳のこと。薬局で無料でもらえる。医師や薬剤師にこの手帳を見せて服薬状況を確認してもらうことで、薬の飲み合わせや、重複投与を防ぐ目的がある。余計な薬を減らす事にもなり、医療費の適正化にもつながる側面もあった。

しかし、この無料の手帳に「記録する」にはお金がかかり、現在は管理指導料として410円が診療報酬として加算され、患者は1〜3割を窓口で支払っている。

一方、お薬手帳がない場合の管理指導料は340円と、手帳を持っている場合よりも患者が支払う金額は安くなり、手帳を持たない人も出ていた。

■2016年4月からはおくすり手帳の有無で医療費が変わる

これでは、おくすり手帳で服薬管理をしたい国の意向と矛盾が生じる。このため2016年度の報酬改定では、手帳を持っている患者に対し、経済的なメリットを示した。具体的には、4月からの管理指導料を、おくすり手帳を持参した場合は380円に引き下げ、おくすり手帳がない場合は500円に引き上げたのだ。差額は120円。手帳の有無によって、1割負担であれば10円、3割負担であれば40円の差が生じることになる(四捨五入で10円単位で計算)。

厚生労働の担当者は3月4日の説明会で、「おくすり手帳を忘れ、その場で再発行をした場合にも50点(500円)としている」と述べた。ただし、既に手帳を持っている場合の運用については、「別の方法を別途紹介したい」などと話した。

■手帳を持っていても安くならない場合もある

注意したいのは、管理指導料が減額されるのは6カ月以内に同じ薬局で調剤を受けた場合のみという点。6カ月以上来局していない場合や、別の薬局で薬を処方された時の管理指導料は、380円ではなく500円となる。

また、大病院の前などにある、いわゆる大型門前薬局と呼ばれる薬局などでは、管理指導料は500円となる。複数の場所での薬の処方を、門前薬局ではなく地域の「かかりつけ薬局」に取りまとめることで、患者の普段の健康相談などの窓口を担ってもらったり、医療費を抑制したりする狙いがある。

なお、スマホアプリなどを使った「電子版」のおくすり手帳に記録をした場合、これまでは診療報酬には加算されなかった。しかし、4月からは紙の手帳と同等の機能を有する電子版おくすり手帳の管理指導料は、紙の場合と同様に扱われることになる。