2015年12月25日金曜日

ヒジキの鉄分が9分の1に?改定版“食品成分表”

ヒジキの鉄分が9分の1に?改定版“食品成分表”に驚きの声が殺到
2015年12月25日

25日に公表された改訂版「食品成分表」に、驚きの声が集まっている。

15年ぶりの大幅改定

文部科学省は25日、食品の栄養成分をまとめた「日本食品標準成分表」の改訂版を公表した。

新しい成分表では、15年ぶりの「収載食品の拡充」や新たに「炭水化物成分表」を作成するなど、大幅な改定を実施。

また、社会のニーズに対応し、成分表のデーターファイルのネット公開や、家庭や給食でよく使われる「そう菜」についての成分値の計算方法を分かりやすく提示した。

「ヒジキ」の鉄分が9分の1に?
新しい食品成分表では「ヒジキ」の鉄分量が大幅に減っている。

これまで「ヒジキ」の鉄分は100gあたり55mgとされていたが、改訂版では9分の1の6.2ミリグラムとなっているのだ。

調理器具の影響

ヒジキの鉄分が減ったのは、調理器具の違いによるもの。

「鉄釜」でヒジキを煮た場合、100gあたり58.2mgの鉄分を含むが、ステンレス釜だと6.2mgになる。

ステンレスの釜が普及したことで、以前よりも鉄分の少ない「ひじき」が流通しているという。

「切り干し大根」の鉄分も減少

また、「切り干し大根」の鉄分も9.7mgから3.1mgに減少。

これは、鉄製の包丁が減りステンレス製の包丁が普及したのが原因だとみられている。

鉄瓶には塩素除去効果も?

調理器具由来の鉄分は、身体にどのような影響を与えるのだろうか?

南部鉄器で有名な盛岡市によると、鉄瓶でお湯を沸かすと溶けだした鉄分が水道水の塩素を除去しカルキ臭さが消えてまろやかになるという。

また、体に吸収されやすい「二価鉄」が溶けだすため、鉄分補給にも役立つとか。

2015年12月21日月曜日

乳癌検診の推奨グレード/米国予防医学専門委員会(USPSTF)

2015年12月21日 海外癌医療情報リファレンス

* 米国予防医学専門委員会(USPSTF)は、米国医療研究・品質調査機構(AHRQ)の独立委員会で、検診や予防医療の研究レビューを行って米国政府の推奨グレードを作成します。

乳がん検診 推奨の概要 2009年12月

対象推奨事項グレード
(定義)
50‐74歳の女性The 米国予防医学専門委員会(USPSTF)は、50〜74歳の女性に対して、マンモグラフィによる乳癌検診の2年に1回の受診を推奨する。B
50歳未満の女性50歳未満の女性がマンモグラフィによる乳癌検診を2年に1回定期的に受診するかどうかは、個人の判断に基づくべきであり、特別な利益や不利益に関する患者の価値観など、患者の状況を考慮すること。C
75歳以上の女性USPSTFは、75歳以上の女性においてマンモグラフィによる乳癌検診の利益と不利益を評価する上で、現在の証拠は不十分であると結論付けている。

リスク評価および「I」に関する実施上の提案についての情報は、「臨床的検討事項」の項を参照のこと。
I
全ての女性USPSFは、乳房自己触診(BSE)を指導することを推奨しない。D
40歳以上の女性USPSTFは、40歳以上の女性におけるマンモグラフィによる乳癌検診を上回る乳房視触診(CBE)の付加的な利益と不利益を評価する上で、現在の証拠は不十分であると結論付けている。

リスク評価および「I」に関する診療の推奨事項についての情報は、「臨床的検討事項」の項を参照のこと。
I
全ての女性USPSTFは、乳癌検診としてフィルム・マンモグラフィの代わりに行うデジタル・マンモグラフィか核磁気共鳴画像法(MRI)の付加的な利益と不利益を評価する上で、現在の証拠は不十分であると結論付けている。

リスク評価および「I」に関する診療の推奨事項についての情報は、「臨床的検討事項」の項を参照のこと。
I
USPSTFは2009年12月4日、50歳未満の女性に関する推奨事項の内容について、本来の意図を明確にするために更新することを満場一致で決定した。

2015年12月20日日曜日

アジア人でも乳癌に対するpalbociclibとフルベストラント併用の効果を確認

2015/12/20

 内分泌療法後に進行したホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性で転移を有するアジア人乳癌患者において、CDK4/6阻害薬palbociclibとフルベストラントの併用は、フルベストラントとプラセボ併用よりも、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善することが、フェーズ3試験PALOMA-3のアジア人患者における解析で明らかになった。韓国National Cancer CenterのJungsil Ro氏らが、12月18日から21日までシンガポールで開催されているESMO ASIA 2015で発表した。

2015年12月5日土曜日

乳がんのタイプにより異なるホルモン療法の有効性

乳がんのタイプにより異なるホルモン療法の有効性
2015年12月4日

キャンサーコンサルタンツ
2015年11月23日

女性の乳がん患者を対象としたホルモン療法において、ホルモン受容体陽性乳がんのサブタイプにより、その効果に違いが現れることが、Journal of Clinical Oncology誌に掲載された研究結果により明らかになった。

ホルモン受容体陽性乳がんは、女性ホルモンであるエストロゲンの作用により増殖が促進されるタイプの乳がんである。そのため、ホルモン受容体陽性の乳がん患者に対する治療は、がん細胞と結合し増殖を助けるエストロゲンを阻害する薬剤が標準療法の一部となっている。

ホルモン受容体陽性乳がんに対して使用される抗エストロゲン剤として、現在最も多く使用されている薬剤はタモキシフェンである。また、そのほかに使用されている薬剤として、アロマターゼ阻害剤がある。

タモキシフェンおよびアロマターゼ阻害薬は、それぞれ異なる生物学的経路を通じて抗エストロゲン効果を発揮する。また、タモキシフェンおよびアロマターゼ阻害薬はどちらも広く使用されているが、異なる副作用が認められている。

臨床試験では、異なるタイプのホルモン受容体陽性乳がんの女性患者2,923人を対象として、一般に広く使用されているアロマターゼ阻害薬レトロゾール(販売名:フェマーラ)とタモキシフェンによる効果を比較した。

データ分析にあたり、患者は2群に分けられた。一方は、母乳を乳頭まで運ぶ役割を担う乳管に発生する浸潤性乳管がん(IDC)の患者群であり、もう一方は母乳を生成する小葉に発生する浸潤性小葉がんの(ILC)患者群である。

さらに、その試験より得られたデータから、乳がんの2種類のサブタイプについて分析がなされた。がん細胞の分裂が速いルミナールBタイプと、分裂が遅いルミナールAタイプである。

・総合的結果として、浸潤性小葉がん患者の無病生存率は、ルミナールBタイプおよびルミナールAタイプの両方において、レトロゾール投与群の方がタモキシフェン投与群と比較し、より高いことが判明した。

浸潤性乳管がん患者のうち、ルミナールBタイプ患者では、レトロゾールの方が無病生存率において優れた結果を示した。

・浸潤性乳管がん患者のうち、ルミナールAタイプ患者では、レトロゾール投与群とタモキシフェン投与群の無病生存率に差は認められなかった。

研究者らは、ルミナールAタイプの浸潤性乳管がん患者を除き、ホルモン受容体陽性の浸潤性乳管がんおよび浸潤性小葉がんを有する乳がん患者において、レトロゾールはタモキシフェンと比較して、無病生存率を大幅に改善すると結論づけた。また、ルミナールAタイプの浸潤性乳管がん患者では、レトロゾールとタモキシフェンの効果は同等であることがわかった。

これらの結果から、医療提供者はがんの特性を考慮することにより、個々の患者に最適な治療法を選択することが可能になると考えられる。

◆過去ログ
2012年5月14日 タモキシフェンからフェマーラにスイッチ!?
2013年8月12日 ホルモン療法 開始から5年後の選択、、、
2014年6月5日 HR陽性乳がん治療でタモキシフェンの10年投与が選択肢に

もうすぐ5年、私の場合はタモキシフェンをもう5年?、それともスイッチ、かな? そもそも、わたしは閉経してるの?、してないの?(笑

2015年12月3日木曜日

精神科も“カフェイン中毒”治療を開始。コーヒー依存者急増のアメリカで。

 2015年12月03日 techinsight

朝はコーヒー1杯で自宅を出る。オフィスではパソコンの脇にコーヒーがなければ落ち着かない。ランチの後でコーヒー、外出すればカフェで一服。“眠れなくなるかも”とわかっていても、もちろん夕方以降も…こんな生活を送っている人が非常に多いアメリカでは、昨年あたりから「カフェイン中毒には精神カウンセリングが必要。治療しなければ体を壊す」などと報じられるようになっていた。紅茶派の多いイギリスでもコーヒーは大人気。英メディア『dailymail.co.uk』が興味深い話題を伝えているのでご紹介したい。

「いつからこんなにコーヒーを飲むようになってしまったのか。もしかしてカフェインの摂りすぎ? もはや中毒のレベル?」

大好きなコーヒーを前に、ふとこんなことを思ってしまう人がとても増えて来たという昨今のアメリカ。数ある飲み物の中でも圧倒的にカフェインの量が多いコーヒーの摂りすぎは体には毒、睡眠の質を大きく落とすことは承知しているものの、周囲もそのような状況ゆえ、それを自覚することはなかなか難しいという。

そんな中、アメリカの精神カウンセラーの間ではカフェイン依存から脱却したいと望む者に対し、5週間にわたるカフェイン依存症克服プログラムを指導する機会が非常に増えているとのこと。患者が自宅で読むための詳しく解説された小冊子も渡され、日記をつけながら自己管理に励み、1週間単位でカフェイン摂取量を減じていく。

1日当たり平均で670mgものカフェインを摂取してきたという67名の患者が、その研究チームのもとでカフェイン依存症克服プログラムを受けた結果、最終的には4分の3の患者において1日あたりインスタントコーヒーで2杯、つまりカフェイン摂取量を200mg未満まで落とすことに成功したと医学誌『Consulting and Clinical Psychology』に発表したのは医学界の名門ジョンズ・ホプキンズ大学(ボルチモア)、およびアメリカン大学(ワシントンD.C.)の合同研究チームであった。彼らはカフェインの頭痛、疲労感、風邪の諸症状の緩和、パーキンソン病患者の症状緩和、長距離ドライブにおける覚醒作用、そして優れた精神作用効果は世界が認めた通りだとするも、摂りすぎは睡眠障害だけではなく心配や不安傾向、神経過敏、胃の不調、張り詰めた緊張感などの副作用があると警告した。

最後にアメリカン大学のローラ・ジュリアーノ博士は、「健康のためにも、妊娠中をのぞき1日当たりのカフェイン摂取量は400mgまでと考えるべきです」とまとめている。もっともこれは体格にもよるであろう。日本では睡眠の質を落とさないためにカフェイン量は1日250mgまでと言われている。レギュラーコーヒー(一杯150ml)135㎎のカフェインを含むも、インスタントコーヒー(同)であればカフェインは68mgとのデータもあるようだ。

2015年12月1日火曜日

がん誘発の生活習慣/100%の感度のがん検査

AskDoctors 2015.12.01

「ハムやソーセージを食べると、大腸がんになる」って本当?

こんなニュースを最近ご覧になった方も多いと思います。先月末の国際がん研究組織(IARC)の発表によるものです(*1)。加工肉が大好き!という方は、どきっとしたのではないでしょうか?

この発表について国立がん研究センターが「大腸がんの発生に関して、日本人の平均的な摂取の範囲であれば赤肉や加工肉がリスクに与える影響は無いか、あっても、小さい」と発表しています。日本人の赤肉・加工肉の摂取量は世界的に見ても低いためです。

がんのリスクが高い生活習慣とは?

日本人の3人に1人ががんで亡くなるほどがんは私たちにとって身近な病気なので、加工肉のニュースに限らず、がんのリスク要因を配慮して生活されている方も多いと思います。飲酒や喫煙は有名ですが、なかにはこんな、国や地域の文化に密接にかかわったものもあります。
・食道がん:熱い食べ物や飲み物(マテ茶を飲む南米や、熱い飲食物が好きな東南アジアで多い) 
・胃がん:塩分の高い食べ物(塩蔵物が好きな日本海側で多い)
せっかく生活習慣に気を付けるなら、日本人の生活の実態も考慮したいですよね。生活習慣とがんリスクの関係については、国立がん研究センター予防研究グループが、日本人の生活習慣と疾患の関係を調査した結果をもとに、「がんリスクチェック」を公開しています。

がんリスクチェック

Webで質問に答えるだけで、簡単に「大腸がん」「がんと循環器の病気」などのリスク診断ができますので、ぜひチャレンジしてみてください。

内視鏡検査に抵抗がある方におすすめしたい最先端のがん早期発見検査

がんの検査には種類がありますが、たとえば人間ドックでよく見かける腫瘍マーカーでは単独でがんを発見するのは難しいといわれ、診断には補助的に利用されています。

また、内視鏡検査が辛い、という理由で人間ドックや検診から足が遠のいている方も少なくないと思います。

新しい方法として、消化器のがんを遺伝子レベルで、一度の採血で判定する検査があります。「消化器がんマイクロアレイ血液検査」は、今年経済産業大臣賞を受賞した技術を利用した検査です。病院で一度採血するだけで、消化器系のがん(胃がん、大腸がん、すい臓がん、胆道がん)について通常の検査では見つからないレベルのがんを、血中の遺伝子発現解析でほぼ100%の感度で見つけることができます。

すでに全国の医療機関で活用実績があり、メディアでも取り上げられています。

2015年11月29日日曜日

印刷できる体温計が開発された

2015年11月27日

絆創膏型の体温計ができるかも。

東京大学大学院工学系研究科の研究グループが、グニャグニャ曲がる薄っぺらいプラスティック製の温度計を作成した。しかも、この温度計は、印刷プロセスで作成できるという。

柔軟で薄っぺらいので、ウェアラブルデバイスだけでなく、衣類や絆創膏などの医療品への搭載も可能になる。

更に、精度が高いと言うからかなり有望なデバイスとなりそうだ。

薄っぺらだが高性能な温度センサー

この薄っぺらな温度計は、柔軟でもあるため、生体組織に貼り付けて表面温度の分布を測定することもできる。

グラファイトを添加したポリマーでできたこの温度センサーは、プリンタブルな上にフレキシブルだ。
しかも感度が良く、0.02℃の変化を測定でき、僅か100ミリ秒という素早さで応答する。

この温度センサーが、どれほど優れているかという実験が行われている。

ラットの肺の表面温度を計測したところ、呼吸で吐くときと吸うときでは肺の温度が約0.1℃異なる事を世界で初めて突き止めたのだ。

この実験によって、恒温動物の体温調整の絶妙さが分かったわけだ。勿論、この温度センサーが生体組織に貼り付けられることで、表面温度を高精度で計測できることも分かった。

様々な応用分野が期待される

今回発表された温度センサーの様な、デバイスを印刷プロセスで作成する技術を、“プリンテッドエレクトロニクス”と呼ぶ。

“プリンテッドエレクトロニクス”は、省資源化や低コスト化に優れているため、次世代フレキシブルデバイスの製造手法として注目されている。

また、今回“プリンテッドエレクトロニクス”によって作成された温度センサーは極薄であるため、ウェアラブルデバイスへの応用が期待されている。

一方、0.02℃という高い感度と100ミリ秒という速い応答速度、そして1,000回以上繰り返し温度が上がり下がりしても再現性が高いこと、さらに曲率半径700マイクロメートルの曲げにも耐えることから、ヘルスケア、医療などへの活用にも期待されている。

例えば、絆創膏にこの温度センサーを印刷して、皮膚に貼り付けて温度計測したり、術後の患部や炎症部分に貼り付けることで、局所的な発熱を捉えていち早く体温の異常をモニターすることも可能になる。

その他、曲げに強いことから、スポーツウェアなどに採用することも考えられているようだ。

様々な分野での実用化が期待される温度センサーである。

外来化学療法の普及の裏に「見えない医療費」

2015/11/29 連載: 日経デジタルヘルス Selection

「見えない医療費の問題は大きい。抗がん剤の外来化学療法を進めようと言われているが、患者の距離は無視されている。現実として、通院費がないということもある」──。こう語るのは、帝京大学医学部第三内科教授の小松恒彦氏だ。

ゾウが、がんになりにくいのはなぜか、それを人間に活用する方法について/英国医療サービス(NHS)

海外癌情報リファレンス 2015年11月28日 

英国医療サービス(NHS) 2015年10月9日金曜日

「ゾウは腫瘍形成に対する防御力を高めている可能性がある」とBBCニュースが報じた。

ゾウは長年、進化生物学者達にとって謎であった。体が大きいことはがん化する可能性のある細胞も多いということであり、先週の記事「背の高い人について」にも見られるように、ゾウのがんによる死亡率は平均を超えているに違いないと予想される。

しかし、ゾウの場合には当てはまらない。がんで死亡するゾウは20頭に1頭に過ぎない。これに比べてヒトでは5人に1人である。本研究の意図は、その理由を解き明かし、ヒトへの応用の可能性を探ることであった。

研究者は、アフリカゾウおよびアジアゾウから白血球を採取し、ゾウがTP53遺伝子を少なくとも20コピー持っていることを見出した。TP53遺伝子はDNAが損傷したとき細胞の「自殺」を促進し、その後のがんを発現する可能性を残さないことで知られている。これに対して、ヒトはTP53遺伝子のコピーを1つしか持っていないと考えられている。

当然出てくる重大な疑問は、言うなれば室内のゾウである私たち人間は、どうすればTP53遺伝子の活性を高めて、同様の防御作用を刺激することが可能かということである。その答えは単純で、分からないのである。研究者の間では、TP53遺伝子の作用は1979年から知られているが、現在のところ、その作用の活用についての喜ばしい報告はほとんどない。

今の段階では、予防は治療よりも有効である。既に立証されている、がんのリスクを減らす方法には、禁煙する、野菜や果物の多い健康的な食事を摂る、健康体重を維持する、定期的に運動する、日焼けを避ける、アルコール摂取は適度にすることなどが含まれている。

研究の出典

本研究は、ユタ大学、ペンシルベニア大学、リングリング・ブラザーズ・アンド・バーナム・アンド・ベイリー・ゾウ保護センター、アリゾナ州立大学、およびカリフォルニア大学の研究者によって実施された。

米国エネルギー省、米国国立衛生研究所(NIH)、乳がん研究プログラム、ハンツマンがん研究所(HCI)核コントロールプログラムなど米国の複数の機関による研究助成を受けている。

本研究は査読誌であるJournal of the American Medical Associationで公表された。

全般的に、英国メディアで広く取り上げられ、正確かつ責任ある報道がなされた。しかし、研究の限界の一部はあまり明確に説明されていない。

研究の種類

本研究は主として実験室内で実施され、様々な動物種におけるがん発生率を比較し、一部の動物が他の動物よりも「がんに対して抵抗性を示す」理由を明らかにすることが目的であった。

ゾウやライオンなどの大型動物は、がん化するおそれのある細胞をより多く持っているため、小型動物よりもがんになる確率が高いであろうと予想される。しかし通常はそうではなく、これはペトのパラドックスといわれている。

本研究は、ゾウががんに抵抗性を示す理由を明らかにすることに重点を置き、ゾウ、健康な人、がんになりやすい患者の細胞がDNAの損傷に対し、どのように反応するかを比較した。DNAの損傷は、細胞をがん化させる原因となる可能性がある。がんにかかりやすい患者は、特に子供および若年成人でいくつかの種類のがんを発現するリスクが増加する、まれな疾患であるリー・フラウメニ症候群(LFS)であった。

インビトロ、すなわち実験室における研究では、各細胞がさまざまな曝露にどのように反応するかを理解することを特徴としている。しかしながら、管理された環境下で単一の細胞についてのみ評価するため、結果が生体内と異なる可能性がある。これは、一つの生体内でも多くの異なる細胞が複雑に、相互に作用し合うためである。

研究内容

研究者は最初に、サンディエゴ動物園の動物の14年間のデータを収集し、がんの発生率が体の大きさ、あるいは寿命に関係するかどうかを調査した。

また、エレファント・エンサイクロペディアのデータを収集し、アフリカゾウおよびアジアゾウの死因を分析した。研究者は本データを、がんの生涯リスクと様々な動物種のがんによる死亡リスクの算出に用いた。

次に、8頭のアフリカゾウとアジアゾウ、LFS患者10名、および、がんの家族歴のない人11名(健康な対照群)から血液を採取し、白血球を分離した。特に異なる動物の細胞が持つTP53遺伝子のコピーの数を重点的に調べた。TP53遺伝子は、ヒトと動物のどちらにもみられる腫瘍を抑制するタンパク質を産生する。

さらに、細胞中のDNAに損傷を与えるような条件に曝露された場合の細胞の反応を調べた。このような状況では、細胞は分裂を停止しない場合、DNAの損傷を正しく修復するか、細胞の「自殺」によって死ななければ、がん化する可能性がある。

結果

バッタネズミなど極小型から非常に大型(ゾウ)の動物まで、ヒトを含む合計36種類の哺乳類が分析対象となった。主な結果は次の通りである。

・動物の体の大きさや寿命によるがんのリスクの変化はなかった。
 ・エレファント・エンサイクロペディアの644頭のゾウのうち約3%が生涯でがんを発現した。
・ゾウの白血球にはTP53腫瘍抑制遺伝子が少なくとも20コピーあった。一方、ヒトの細胞にはこの遺伝子のコピーが1つしかなかった。
 ・これらの余分の遺伝子のコピーには活性があるという科学的根拠があった。
 ・ゾウにおけるDNA損傷に対する細胞の反応性は、ヒトに比べ有意に上昇していた。
 ・ゾウにおけるDNA損傷後の細胞の自殺は、健康なヒトの細胞よりも起こりやすく、一方、LFS患者の細胞ではDNA損傷後の細胞の自殺はほとんど起こらなかった。

結果の解釈

研究者たちは、ゾウは、他の種の哺乳類に比べてがんの発症率が予想より低く、これにはTP53遺伝子の複数のコピーが関係している可能性があると結論した。

ゾウの細胞ではヒトの細胞と比較して、DNA損傷後の「細胞の自殺」が多く示された。

「これらの結果は、再現されれば、がんの抑制に関わる機序を理解するための進化論ベースのアプローチとなり得るであろう。」

結論

本研究では、36種の哺乳類のがんのリスクを評価し、がんの発症率は動物の体の大きさや寿命とは関連していないことが確認された。したがって、研究ではゾウが体の大きさから予想される以上に、がんに抵抗性を示す理由を探ることに重点が置かれた。

研究者は、ゾウがTP53遺伝子を20コピー持っていることを見出した。TP53遺伝子は腫瘍を抑制する働きがあり、ヒトにはこのコピーが1つしかない。

実験室内での研究では、ゾウの細胞はヒトの細胞よりもDNAが損傷した時の細胞の自殺を多く起こし、細胞をがんの原因となり得る変異から保護していた。

この研究の結果は興味深く、ゾウのがん発症率が予想より低い理由の一つを明らかにした可能性がある。

ペトのパラドックスに根拠を与える事実を調査することによって、将来人間のための新治療法の発見に至る可能性が期待される。

しかしながら、がんの発現には多くの遺伝子、さらに環境因子も関与しているとみられる一方、この研究では1つの遺伝子しか調査されなかった。

生まれ持った遺伝子に対してできることは少ないが、がんのリスクを減らすために実践できる方法は複数ある。

ハダカデバネズミ

30年の寿命があるにもかかわらず、めったにがんを発現しないと考えられている動物に、アフリカのサバンナ原産で穴を掘って住んでいるげっ歯類に属するハダカデバネズミがある。

この事実から、「柔軟な皮膚ががんを防ぐ可能性がある」という気の早い主張や、さらに、動物が「がんの万能治療法」へのカギを握っているという主張まで出ている。

ハダカデバネズミの分野では真に興味深い結果が出ている一方、このような主張に根拠はない。

2015年11月26日木曜日

ジェネリックに医師が不信感 同じ材料でも同じ薬にならない

2015年11月25日 16時0分 NEWSポストセブン

11月6日、厚生労働省は医師などを対象に行なったジェネリック医薬品についての意識調査の結果を、中央社会保険医療協議会に報告した。

 それによると、病院勤務の医師のうち54.9%、つまり半数以上が、現在のジェネリックに対して「不信感がある」と回答。その主な理由は、先発医薬品との「効果・副作用の違い」(67.9%)、「使用感の違い」(38.6%)などである。

 ジェネリックは、医薬品の「有効成分の特許」が切れた後に発売される低価格の後発薬で、年々かさむ医療費を抑えるための「救世主」と目されてきた。

 新薬の開発には臨床試験などの費用として数百億円かかるといわれるが、先発薬と同じ有効成分を使うジェネリックは臨床試験が大幅に割愛されるため、開発費が節約され、薬価が抑えられる。先発薬と比べて3~5割安くなる場合もある。

 厚労省によると、2012年度の国民医療費は約39兆2000億円。2025年度には55兆円を超えるとみられている。ジェネリックの利用が増えれば患者個人の医療費だけでなく、国民医療費を大幅に削減することにもなる。

 政府は今年5月、2020年度末までにジェネリックの普及率を80%以上に引き上げるとする目標を掲げ、医療財政を健全化するための施策とした。

 そんな中で発表された今回の調査結果は、医療業界で大きな話題となっている。医師たちがジェネリックに不信感を抱く主な理由である先発薬との「効果、副作用の違い」は、“特許が切れた後”という部分に起因している。

『なぜ、あなたの薬は効かないのか? 薬剤師しか知らない薬の真実』(光文社刊)の著者で薬剤師の深井良祐氏が解説する。

「医薬品の特許は、有効成分そのものの『物質特許』や薬の製造過程に関わる『製剤特許』など様々です。最初に切れるのが『物質特許』で、多くのジェネリックはこの特許だけを真似して出されています。

『製剤特許』が切れるまでは成分と用量は先発品と同じでも、製剤法は同じではないのです。さらに薬は有効成分だけでなく、添加物も含まれます。剤形(錠剤、カプセル、粒状などの形)の違いで効果に差が出る可能性もあります」

 つまり、ジェネリックと先発薬は「完全に同じ薬」ではない。

 双方を治療で使用した場合に全く同じ効果が出るかどうかを検証した調査は存在しない。患者がジェネリックに切り替えたところ、発作の悪化や副作用の出現が報告された事例もあるという。新潟大学名誉教授で医師の岡田正彦氏は次のように語る。

「添加物や剤形が変わると、薬の溶け出す速度が変化したり、有効成分が分解されやすくなったりします。人によっては効きすぎたり効果が出にくかったりする。同じ料理を同じ材料、分量で作ったとしても、違う調味料が加われば異なるレシピとなり、味も変わるのと同じことです」

 前出の深井氏は、実際に効果の差が表われやすい医薬品を挙げる。

「たとえば、喘息を治療するための貼り薬のジェネリックを敬遠する医療従事者は多い。貼り薬は肌にピタッと貼ることで徐々に薬が溶け出していく。溶け出しのタイミングは、製剤方法に左右されます。それが真似できない状況でジェネリックが次々と出てくるため、効果に違いが表われやすいのです。その他にも“外用薬”といわれる湿布や点眼薬、塗り薬などは、効果に差が出やすいと言われています

※週刊ポスト2015年11月27日・12月4日号

2015年11月25日水曜日

各患者に必要な検査結果をお薬手帳に記録

私のおくすり手帳。入院中で院内処方だった。
私のおくすり手帳。ホルモン治療中。
私は「おくすり手帳」に自分の汚い手書きで、受けている治療の内容(抗がん剤の種類、LH-RHアゴニスト、など)、血液検査で良くなかった結果の数値など、このブログの右サイドにある「治療歴」のような内容を記している。処方された薬を自宅で飲んだかどうか、市販薬を服用した時はそれも書き足している。ざっくりとだけど、自分がどういう治療を受けているかを把握できるので、とても便利だと感じている。だから、下記の試みはとても有効なんじゃないかと思う。

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各患者に必要な検査結果をお薬手帳に記録
excel VBAを用いて検査結果を出力し、お薬手帳に貼付
2015/11/25 日経DI

希望する患者さんのお薬手帳に、検査結果を貼付するようにしています。そうすることで、患者さんは検査結果に興味を持ち、自分のどの部分が悪いのか意識するようになり、治療に前向きになりアドヒアランスが向上するものと考えています。

2015年11月23日月曜日

豆乳に女性ホルモン(エストロゲン)補充の効果

 2015年11月23日

7日の日本女性医学会において、マルサンアイと長崎大学は、豆乳を摂取することで、女性ホルモン(エストロゲン)の欠乏による骨格筋の萎縮や筋力低下が抑制され、骨格筋幹細胞の増殖能や筋分化能が改善することを確認したと発表した。

研究グループが実施したマウスを用いた試験において、エストロゲンの欠乏により骨格筋の萎縮や筋力低下を引き起こすが、補充することで、これらが抑制されるという結果が出た。

豆乳は良質な植物性たんぱく質やエストロゲン様作用のある大豆イソフラボンを豊富に含み、食品という形でエストロゲンを補充できる可能性があるとしている。

閉経後の女性、過度なダイエットによる低体重の若年女性、厳しい食事制限やトレーニングを行う女性アスリートなどは、エストロゲンの欠乏を起こしやすいという。

2015年11月17日火曜日

医師と予後を話し合うことは進行がん患者に有益/NCIブログ〜がんの動向〜

NCI(アメリカ国立癌研究所) » NCIブログ~がんの動向~ » 2015年11月17日

2015年10月30日
NCIブログ〜がんの動向〜

新たな研究によると、担当医と予後について話し合った進行がん患者は、話し合いをしなかった患者よりも、平均余命について現実的な予測をしていた。さらに、このような話し合いは患者の幸福感を損なうことや、医師との関係を損なうこともなかった。

本研究では、担当医と予後について話し合った患者は、話し合わなかった患者よりも、終末期ケアを計画し、終末期には積極的治療よりも緩和ケアを望む傾向にあったことも示された。

これらの知見は、Journal of Clinical Oncology誌10月5日号で発表された。

これまでの研究から、がんが治癒可能かといった予後情報を大多数の進行がん患者が求めていることが示唆されてきた。しかし、進行がん患者が具体的な余命に関する情報を常に求めているのか、またこのような詳細を知ることが患者にどれほどの影響を与えるかについての研究はほとんどない。

これらの疑問を調査するため、Weill Cornell 医科大学のHolly Prigerson医学博士らは、緩和的化学療法を少なくとも1回受けた転移性がん患者590人を対象とした研究を行った。

患者は、研究開始前にインタビューを受けた後、死亡(または研究終了時)まで追跡調査された。予後についての話し合い、および余命に関する情報への興味について報告することに加え、患者は自身の平均余命を推定した。また、担当医との関係、苦痛の程度、事前指示書を作成済みであるか、終末期ケアについての希望についての質問にも回答した。

結果を解析すると、研究に参加した患者が予後について知りたかった内容と、実際に告げられたことを思い出した内容には大きな乖離があることが明らかとなった。患者の71%は平均余命についての情報を求めていたが、医師から予後の推測を告げられた患者は18%にも満たなかった。

「末期がん患者の大多数が予後を知りたがっているという事実は驚くほど勇敢であると思われる。また、担当医から余命を知らされたと報告した患者が18%にも満たないことは残念である」とPrigerson氏は述べた。

本研究に参加した患者の多くは、これまでの研究で報告されてきたのと同様に、余命について「実に楽観的」であった。医師と患者が予後について話し合うことで、患者に悲しみや不安を与えずにこれらの誤解を正すことができるかもしれないということをこの新たな結果が示唆している。

「予後について医師と患者で話し合うことで感情面の悪影響はなかった」とPrigerson氏は述べたが、「誰もがそうであるように、医療提供者は厳しい話題を話し合いたがらないことが多い」と加えた。

正確に余命を推定することが難しいことや、患者がその見積もりを知りたがっているかどうかが不確かであることも含め、医師が末期患者と予後について話し合うことを避けるのには、他の理由があるかもしれないと本研究の著者は述べた。

こういった話し合いを持つことは困難ではあるが、特に将来の計画を立てる手段として、予後についてもっと頻繁に最新の情報を得ることで恩恵を受ける患者は多いかもしれないということを新しい知見は示唆している。「担当医から予後の情報を開示してもらったと報告した患者は、DNR(蘇生処置拒否)指示をし、緩和ケアを望む傾向にあったことは心強い」とPrigerson氏は述べた。

本研究にはいくつかの限界がある。例えば、患者からの自己申告の回答には思い出しバイアスが生じている可能性があり、本研究で示された関連性は因果関係を示していないと筆者は述べた。
Prigerson氏は、予後の情報がすべての患者にとって有益であるわけではないということも警告した。

「悪い知らせを聞いたり、処理したりする準備ができていない患者もいるかもしれない。自分の将来は医師の手中ではなく神の手中にあると考え、重要でないとして拒否する患者が、実際に情報を提供されることがあるかもしれない」と説明した。

こうした場合、「その状況になることで、益となるより害になる。しかし以前の研究では、予後についての情報を得ることは90%以上の患者にとって有益であり、宗教的、心理的または社会的な理由で有益ではないという患者は少数派であるということがわかっている」とPrigerson氏は続けた。

2015年10月25日日曜日

粒子線治療の「バーチャル外来」始まる

総合南東北病院が2015年春から稼働、遠隔地の病院間で画像を含む医療情報を共有
粒子線治療の「バーチャル外来」始まる
2015/10/25 大下 淳一=日経デジタルヘルス

 低侵襲で効果の高いがん治療法として期待を集める、粒子線治療。治療施設の建設が相次いではいるものの、まだ同施設を持たない都道府県は多い。こうした地理的不均衡の解消に向けて、患者やその家族が高度放射線治療に関する相談を近隣の医療機関で受けられるようにする仕組みが、2015年春に東北地方で稼働を始めた。

2015年10月18日日曜日

2000人のうち40%が過去に重度のうつ病経験あり、多くが治療をせず―カナダ統計

2015年10月18日

最近になってようやく重大な病気として認知されるようになった「うつ病」。しかし労働者の多くが知らずにうつ病にかかり、そのうちの半数近くが病院などに助けを求めようとしていないという結果が発表された。

2219人のうち40.0%が重度のうつ病

この研究を手掛けたのはカナダのトロントにある、Centre for Addiction and Mental Health (CAMH)の研究者たち。

彼らはオンタリオ州に住む18歳から65歳までの2219人に、電話アンケートやウェブによる調査を実施。職場で働いている人々の精神面の健康状態を調べた。

その結果、アンケートに答えた人の約40.0%が過去に重度のうつ病にかかっていたことが判明。そのうち52.8%が病院へ行かず、治療を受けていないことが明らかになった。

しかもこの割合は、全米やオーストラリア全土で行われた統計での割合と著しく似ていたという。

社員のうつ病で生産性が33.0%も下落

さらに研究者らは、社員のうつ病によって職場での生産性がどのくらい落ちているのかを計算。その結果、本来の生産性に比べて33.0%も下落していることが判明した。

また彼らが精神ケアを受ける際の心の壁となったものを分析したところ、多くの人が病気になったことへの不名誉な気持ちや、治療には効果がないという考えを抱いており、治療費や適切な医者に出会えないという問題に直面していることが明らかとなる。

Carolyn Dewa博士は「社員にうつ病治療の理解を促すことは、仕事の生産性を高めます。(略)しかし認識の改善は経営者だけの問題ではない。最も効果的な職場でのケアとは問題の複雑さを認識すること、包括的な方法で全てに対処することです」と語った。

多くの人が気づかぬうちにかかっている「うつ病」。この病気が蔓延するような状況の中で、企業にはより良い職場づくりに力を注いでもらいたい。

2015年10月15日木曜日

医療の安全、「トヨタ方式」で…人材育成に応用

 産業界の品質管理手法を医療に生かそうと、トヨタ自動車と名古屋大病院が共同で、医療の安全と質向上を担う人材育成に乗り出した。「ものづくり」の発想を医療に応用するもので、養成講座が今月スタートした。

 最近、群馬大病院や東京女子医大病院などで深刻な医療事故が相次いでいる。名大病院は文部科学省の補助金で、トヨタが培った手法を医療現場で実践する事業を始めることにした。

 トヨタでは、不良品がどの工程で発生したかを速やかに確認し、問題を最小限に抑えている。こうした品質管理のノウハウは、医療事故がどの段階で起きたかを解明して診療や組織運営の進め方を見直し、安全性の向上を図る形で医療に応用できるという。

 受講者は、各地の病院に勤務する医師16人。トヨタが取っている具体的な手法を学び、実際に病院で起こる問題の解決を試みるなど、半年かけて実践的に学ぶ。
 
(2015年10月9日 読売新聞)

2015年9月29日火曜日

1週間に2回ビールを飲む女性は、全く飲まない人より心臓病のリスクが30%も低い

IRORIO 2015年09月29日

さまざまな病気を引き起こすとされてきたアルコール。しかしビールを適度に飲む女性は、全く飲まない人に比べて病気のリスクが低くなるという結果が発表された。

1968年から32年間に及ぶ追跡調査

この研究を行ったのはGothenburg大学のSahlgrenska Academyの研究者たち。彼女らは1968年から1500人の女性に対してビールやワイン、ウイスキーやブランデーなどの蒸留酒を飲む頻度を調査。

さらに2000年までの32年間、女性たちの肉体的な状況や病気の状態を詳細に調べ続けた。

1週間に1回か2回飲む人は低リスク

その結果、研究を終えた時点で被験者の年齢は70歳から92歳にまで及び、そのうちの185人が心筋梗塞などの心臓病で苦しみ、162人が脳梗塞、160人が糖尿病を患い、345人ががんと診断されていたことが判明。

また1カ月に2回以上、蒸留酒を飲む女性は、ほとんどアルコールを摂取しない人に比べて、がんで死ぬ可能性が約50%も高いことが明らかとなる。

さらに1週間に1回か2回、もしくは1カ月間に数回、適度にビールを飲む女性は、1週間に3回以上飲む人や、逆に全く飲まない人に比べて30%も心臓病にかかるリスクが低いことも分かった。

調査に携わったDominique Hange女史は報告の中で「私たちは心循環系の疾患に対する、ビール以外の飲み物についてもリスクをチェックしましたが、同様の結果になりました。ただしワインの効果については分かりませんでした」とコメントしている。

ビールに含まれる多くの栄養素

また研究者らは、健康にメリットを及ぼすとされるビールの原材料も調査。その結果、調べたビールにはビタミンB6やB12、タンパク質の代謝などを行うリボフラビン、天然のビタミンとされる葉酸塩だけでなく、ケイ素も多く含まれていた。

ビールを全く飲まないのは、身体に良くないというのは意外と言える。もしかしたら精神面における作用も影響しているのかもしれない。

出典元:A 32-year longitudinal study of alcohol consumption in Swedish women: Reduced risk of myocardial inf - Taylor&Francis Online(7/20)

2015年9月24日木曜日

北斗晶、乳がんを告白 あす24日に右乳房全摘出手術

2015年09月23日

元女子プロレスラーでタレントの北斗晶(48)が23日、自身のブログを更新し、乳がんであることを告白した。あす24日の朝に右乳房全摘出手術を受けることも明かしている。

北斗はブログで、数カ月前の診断で右乳房全摘出という結果にショックを受けた気持ちを隠さず、今年頭に違和感を覚えた頃から手術前日のきょうまでの経緯や心境をつづっている。

今年頭に最初の違和感を覚えたが、毎年マンモグラフィーやエコー検査を受けていること、さらに今年が結婚20周年で下の息子の小学校卒業の記念旅行を計画していたことから、すぐには検査に行かなかったという。しかし、春にサイパンへ旅行した際、水着に着替える際に自身の裸を鏡で見ると、「乳頭がセンターにない様に見え、引きつってる様な感じ」を受け、夏になって右胸に痛みを感じるようになり、病院で検査したところ「調べた胸の細胞からがんの陽性反応が出た」と診断されたことを明かした。

右乳房全摘出を医師から告げられた時を、「あまりの恐怖とショックに初めて自分の事なんだと…泣きました」と回想。すぐには受け入れられなかったが、医師からの「胸の事よりも今は5年先、10年先、生きることを考えましょう」という言葉で手術を決断した。

告知されてからの数ヶ月、仕事はすべてキャンセルせずにこなし、きのう22日に放送されたレギュラー番組『5時に夢中』(TOKYO MX)の生放送を最後に、入院。「残念ながら、私の癌は胸だけでなく脇のリンパにまで転移している可能性がある様です。これから長い闘病生活が始まります」と病状を報告したが、「しばらくはテレビの画面ではお会いできませんが、このブログを通して頑張って生きてる姿を観ていただければと思っています」とファンに呼びかけた。

2015年9月22日火曜日

OncoLog 2015年7月号◆ハイリスク、転移性乳がん向け免疫療法の臨床試験に期待が高まる/MDアンダーソンがんセンター

海外癌医療情報リファレンス 2015年9月18日

MDアンダーソン OncoLog 2015年7月号(Volume 60 / Number 7)
ハイリスク、転移性乳がん向け免疫療法の臨床試験に期待が高まる

この数十年、乳がんの治療成績は改善し続けているものの、再発および転移性の乳がんの治療は引き続き困難である。転移性乳がんの治療とリスクの高い乳がんの再発予防に向け、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らは、患者の免疫を活性化するさまざまな手法に取り組んでいる。免疫療法に関する数多くの臨床試験もすでに始まっている。

最近の研究知見から、乳がん治療における免疫療法に対する関心が再燃していると、外科腫瘍学准教授のElizabeth Mittendorf医学博士は話す。「乳がんは長年、免疫原性を持たないと考えられてきましたが、過去2年間に発表されたデータをみると、乳房の腫瘍にT細胞を含む免疫細胞があることが示されています。つまり乳がんは免疫原性を持つということです」と、同医師は言う。

他のタイプのがんで免疫療法が飛躍的前進を遂げたことで、乳がん向け免疫療法の研究にも期待が高まっている。「がんに対する免疫学の理解は急速に進歩しています」と、乳腺腫瘍科教授のNuhad Ibrahim医師は述べる。悪性黒色腫(メラノーマ)および前立腺がんに対する免疫療法薬剤やワクチンの最近の成功をあげ、「乳がんではこうした飛躍的な進歩はまだありませんが、進歩につながる糸口はすでに見つかっています」と、同医師は話す。

研究者らは、こうした糸口から複数の可能性を模索している。「以前から免疫系を不活性化させるというのは興味を引くものでしたが、その一方で、インターフェロンやインターロイキン‐2といった古い免疫療法では、乳がん患者が利益を受けるだけの十分な免疫反応が出ませんでした」と、乳腺腫瘍科教授のDebu Tripathy医師は言う。しかしワクチン療法や免疫チェックポイント阻害剤、その他の免疫療法の進歩を得て、「ついにわれわれは新たな段階に入りました」と、Tripathy医師は述べた。

ワクチン

抗MUC1ワクチン

「転移性乳がん患者に対してワクチンを使う以前の免疫療法の試験は、患者の全生存を改善するという主要目的を達成しませんでした。しかしそうした過去の研究から、われわれは多くのことを学んだのです」と、Ibrahim医師は言う。同氏は1990年代に、乳腺腫瘍科教授のJames Murray III医師とともに、sialyl-Tn-keyhole limpet hemocyanin(STn-KLH、市販名Theratope)ワクチンを使ったランダム化臨床試験を実施した。STn-KLHワクチンは、乳がん細胞を広く覆う表面に発現するMUC1と呼ばれるムチンに由来する。この臨床試験は転移性乳がん患者の無増悪生存を延ばすという目標を達成しなかった。しかしながら事後解析により、このワクチンは、以前にタモキシフェンによる治療を受けていた患者の生存転帰を改善する可能性があることがわかった。

Ibrahim医師は、米国国立癌研究所と共同で、このほど抗MUC1、抗がん胎児性抗原ワクチン、共刺激分子をドセタキセルとともに投与する臨床試験を完了した。同試験の報告は現在、査読中である。

OPT-822

OPT-822はSTn-KLHワクチンと類似の構造を持つ炭水化物ワクチンである。過去の臨床試験でOPT-822は、一部の転移性乳がん患者、特に低用量のシクロホスファミドの投与を受けていた患者の全生存を改善した。これらの知見から、多施設臨床試験が計画され、最近、患者の登録を終えた。本試験では、低用量のシクロホスファミドの投与を受けた転移性乳がん患者に、免疫補助剤のOPT-821脂質とともにOPT-822ワクチン、またはプラセボを投与する。主任研究者はMDアンダーソンのMurray医師である。現在、試験結果を解析中である。

E75

乳がんワクチンのなかでも、E75(nelipepimust-S, 商品名NeuVax)は、最も進んだ段階にある。これはヒト上皮成長因子受容体2(HER2)に由来するペプチド・ワクチンである。Murray医師はE75を顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GMCSF)と組み合わせ、転移性乳がんまたは卵巣がん患者を対象とする小規模の第1相臨床試験を行った。ほとんどの患者でHER2に特異的な免疫反応が起きたものの、抗腫瘍反応は見られなかった。これは本試験に登録した患者の腫瘍が大きかったことが理由である可能性が高い。

「MDアンダーソンでは、乳がんに対してワクチンが効果を示すには、小さい病変を有する患者に投与すべきというだという考えでおおむね一致しています。つまり転移した段階よりも、むしろ術後補助療法として使うのです」と、以前のE75ワクチンの臨床試験で主任研究者だったMittendorf医師は言う。

Mittendorf医師は今回、再発リスクの高いHER2陽性乳がん患者にE75ワクチンを投与する2つの多施設臨床試験の主任研究者を務めている。第3相試験は登録を終え、一方、E75ワクチンとトラスツズマブ併用の第2相試験は現在、登録患者を受け付けている。

GP2とAE37

これ以外にも、HER2に由来するペプチドワクチンにGP2とAE37の二つがある。両方とも、術後補助療法としての臨床試験で患者登録を終え、現在、試験が行われている。外科腫瘍学非常勤教授のGeorge Peoples Jr.医師が率いる研究から生まれたGP2ワクチンは、E75より高い免疫原性を持ち、ヒト白血球抗原(HLA)-A2と、HLA-A3に結合する。AE37は10以上のアミノ酸を含んでおり、患者に広く免疫刺激を与える。AE37は前臨床試験でHER2特異的なCD4陽性「ヘルパー」T細胞を顕著に強化することが示された。

現在進行中の術後療法の試験に含まれる患者は、リンパ節転移陽性や、HER2過剰発現など、再発リスクが高い患者を含む。しかしながら、HER2免疫組織化学スコアが、HER2陰性または境界線を示す患者も本試験の対象者に含んでいる。2つのワクチンが異なる主要組織適合性遺伝子複合体分子と結合するため、試験に登録した患者はHLAの状態に応じて振り分けられた後に、ランダム化された。HLA-A2/A3陽性だった患者はGM-CSFをGP2と併用で、あるいはGP2なしで投与される群に無作為に割り付けられた。またHLA-A2/A3陰性だった患者は、GM-CSFをAE37併用で、あるいはAE37なしで投与される群に無作為に割り付けられた。

Mittendorf医師は、2014年の米臨床腫瘍学会の乳がんシンポジウムと年次総会で、GP2とAE37群の予備解析をそれぞれ発表した。「両方のワクチンともに安全で、免疫反応を刺激しました」と、Mittendorf医師は述べた。「AE37は、トリプル・ネガティブの乳がん患者で最も強い効果を示しました。われわれはトリプル・ネガティブ乳がんの患者を対象にした臨床試験を開発しています。GP2はトラスツズマブの投与を受けたHER2陽性患者で、最も強い反応を示しました」。

E39とJ65

E39ワクチンは、ほとんどの乳がん、卵巣がん細胞の表面に発現している葉酸結合タンパク質に由来する。MDアンダーソンが行った研究では、E39で卵巣がん患者は強い免疫反応を起こしたが、この反応が免疫機構を疲弊させてしまい、非生産的な結果となるのかどうかは明らかになっていない。このワクチンを最も有効に使う戦略を見極めるため、Mittendorf医師らはMDアンダーソンで臨床試験を開始した。本試験では、乳がんまたは卵巣がん患者に、E39と、E39の弱毒化版であるJ65を、様々な投与量で投与する。患者は次の3つのレジメンに無作為に割り付けられる。一つはE39の注射6回、もう一つはE39の注射3回の後にJ65の注射、そしてJ65の注射3回のあとにE39の注射3回である。

「この試験では、最初にE39を使って、その後、J65でやわらげた方が良いのか、穏やかなJ65から始めて少しずつE39に強化していった方が良いのかを見ます」と、Mittendorf医師は述べた。

免疫チェックポイント阻害剤

免疫チェックポイント(細胞傷害性Tリンパ球抗原(CTLA-4)、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、PD-1リガンド(PD-L1)など)を阻害する比較的新しいタイプの薬剤によって転移性悪性黒色腫患者の生存期間が改善しており、乳がんをはじめ他のがんにも有効であることが明らかになった。
乳腺腫瘍内科の准教授Jennifer Litton医師は、抗PD-1抗体および抗PD-L1抗体それぞれの早期試験のほか、転移性乳がん患者を対象とする抗PD-1抗体と抗CTLA-4抗体の併用療法に関する2試験でも試験担当医を務めた。「他の乳がん治療でみられたようにぼう大な人数が反応したというわけではありませんが、反応がみられた少数の患者では長期間にわたり奏効しました」と同氏は話す。「いくつかの全国的な試験では、効果が数年続いたトリプルネガティブ乳がんの患者さんも何人かいらっしゃいました。まさに革新的な治療です」。

Tripathy医師の話では、トリプルネガティブ乳がん患者は治療選択肢が限られているため、この患者集団でチェックポイント阻害薬が奏効したことは特に有望である。トリプルネガティブ乳がんは、他のタイプの乳がんよりも遺伝子変異の数が多い傾向にある。その変異により異常なタンパク質が産生されたりタンパク質が過剰に発現し、そのタンパク質が免疫療法の標的となる。たとえば、Mittendorf医師とLitton医師らによる新しい試験では、トリプルネガティブ乳がんの20%がPD-L1を発現していることがわかった。「トリプルネガティブ乳がんは、他のタイプの乳がんよりも免疫原性(免疫反応を引き起こす性質)が多少高いため、それがチャンスになります」とTripathy医師は述べた。

Litton医師もこれに同意し、「計画段階にあるわれわれのチェックポイント阻害薬に関する試験のほぼ全部がトリプルネガティブ乳がん患者を対象にしています」と話した。そのような試験のほとんどが転移性乳がんの患者を対象としているが、それ以外でもチェックポイント阻害薬が一役を果たすことができるかどうかが研究者らの注目するところである。

特に関心が高いのは、初期治療としての標準的な術前補助療法に反応しなかったトリプルネガティブ乳がんの患者を対象としている、抗PD-L1抗体 MPDL3280Aと、アルブミンを結合させてナノ粒子化したパクリタキセル製剤との併用療法の臨床試験である。この試験の責任医師であるLitton医師の話によれば、同試験はMDアンダーソンの新プログラムの一環であり、標準化学療法に反応しないがんの患者を特定し、代替療法を提供することを目的としている(下記の「トリプルネガティブ乳がんのためのトリアージプログラム」を参照)。

また、トリプルネガティブ乳がん患者でも、術前補助化学療法後に乳房またはリンパ節に残存腫瘍細胞がある患者を対象に、補助療法としての抗PD-1抗体ペンブロリズマブの大規模試験も計画されている。「このタイプの患者さんは、転移性乳がんになって、死亡するリスクが高いです」とTripathy医師は言う。試験参加患者は、標準的なフォローアップ治療にペンブロリズマブを併用する群としない群に無作為に割りつけられることになる。

さらに、ペンブロリズマブのある臨床試験では、まれではあるが高悪性度の炎症性乳がん患者の登録がまもなく始まる。この試験は、ペンブロリズマブが標準化学療法によって始まった抗腫瘍免疫応答を維持できるかどうかを検討することを目的としており、乳腺腫瘍内科教授兼モーガンウェルチ炎症性乳がんプログラム長の上野直人医学博士が主導する。

チェックポイント阻害薬の乳がん患者に対する生存効果はほとんど明らかになっていないものの、Litton氏は楽観視しており、次のように述べている。「われわれはまだ、本質には触れていないと思います。今後、さまざまな免疫療法薬の併用療法のほか、さらに多くの乳がん患者で免疫応答が誘発される方法を検討していくと思います」。

その他の免疫療法

「免疫療法に関するわれわれの試験は、単なるワクチンから、チェックポイント阻害薬をはじめ、免疫療法でも他の方法を使うようになりました」とMittendorf医師は話した。「また医療機関として、もっとやれる機会があります」。

たとえば、Ibrahim医師は、HER2陰性転移性乳がん患者を対象とする、経口免疫刺激薬indoximod(インドキシモド)とタキサンベースの化学療法の併用療法に関する進行中の多施設共同試験のMDアンダーソンでの試験責任医師である。Indoximodは、T細胞の活性を抑制するインドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ経路を阻害する。

他にも研究対象となっているのが、インターロイキン-8(CXCL8)の作用を阻害する薬剤である。CXCL8には免疫調節作用があり、乳がんの増殖と転移の起因となる。このような薬剤のひとつで、CXCL8 の受容体 CXCR1に結合する reparixin (レパリキシン)に関する試験がMDアンダーソンのほか、多施設で実施されている。

有望な治療薬の予備試験もいくつか実施されている。Mittendorf医師の話では、たとえば、小児科部門の教授Laurence Cooper医学博士がトリプルネガティブ乳がんに対して、キメラ抗原受容体によって改変したT細胞の使用を検討している(OncoLog 2014年5月号「T細胞を改変し、B細胞性悪性腫瘍を治療する–Sleeping Beauty(眠れる森の美女)療法」を参照)。

また近いうちに、抗ホスファチジルセリン抗体の試験もある。この抗体によって、乳がんに対するタキサン製剤の活性が改善されることが示されている。同様に、ナチュラルキラー細胞の活性を刺激することによって、トラスツズマブやToll様受容体拮抗薬など乳がんの標準治療薬への反応を強化させる可能性のある製剤の試験も計画が進んでいる。

今後のこと

研究者らによって乳がんに対する免疫療法の役割が明らかにされるにしたがい、転移性乳がん患者や再発リスクが高く治療が困難なタイプの乳がん患者が臨床試験にますます参加できるようになってきている。「トリプルネガティブ乳がん患者が参加できる、または参加できる手続きをしている臨床試験がいくつかあります。この分野は急速に進展しているため、免疫療法によって再発を防ぐことができるようになることを願っています」とTripathy医師は語った。

For more information, contact Dr. Nuhad Ibrahim at 713-792-2817, Dr. Jennifer Litton at 713-792-2817, Dr. Elizabeth Mittendorf at 713-792-2362, Dr. James Murray at 713-792-2817, or Dr. Debu Tripathy at 713-792-2817. To learn more about ongoing clinical trials at MD Anderson for patients with breast cancer, visit www.clinicaltrials.org.

トリプルネガティブ乳がんに関するトリアージプログラム

トリプルネガティブ乳がん(エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体およびHER2のいずれも発現していない乳がん)が標準的な術前補助化学療法に反応する確率は約50%である。がんが治療に反応せず再発のリスクが高い患者のために、MDアンダーソンがんセンターでは、試験段階にある適切な治療薬を見つけるためのトリアージプログラムを作った。

MDアンダーソンでは、トリプルネガティブ乳がん患者は遺伝子検査を受けてから、標準の術前補助化学療法を開始する。Litton医師の話によれば、トリアージプログラムの設計は、遺伝子検査の結果が出るまで2~3週間ほど待つことなく患者の治療をすぐに始める以外は、I-SPY2試験(OncoLog 2015年4月号「新しい試験デザインにより乳がんの治療開発が効率化―ISPY2試験」参照)とほぼ同じである。検査結果が届く頃には、がんが標準化学療法に反応しているかどうかを示す臨床データも医師の手元にある。

「トリアージのプロトコルでは、早期の反応を見ることができ、腫瘍が反応している患者さんには標準療法を続けて経過を観察します。そのような患者さんは治療が奏効する可能性が高いということです」とLitton医師は言う。「ただ、腫瘍が一次治療の初期投与に反応しない患者さんの場合、標準の二次治療に対して病理学的に完全奏効を得られる確率がわずか5%であることがわかっているので、遺伝子検査の結果をもとに臨床試験にまわっていただきます。トリプルネガティブ乳がんに対して、免疫療法を含め、新しい治療薬の一連の第2相試験を始める手続きをしているところです」。

Litton医師の話では、米国でトリプルネガティブ乳がん患者のためにそのようなプログラムを提供する医療機関はMDアンダーソンのみである。

【グラフ内語句およびキャプション訳】
グラフ内
縦軸 全生存(%)
横軸 月
青線 STn-KLH+内分泌療法
赤線 コントロールベクター

標準化学療法のあとSTn-KLHワクチン療法と内分泌療法(タモキシフェン)併用療法を受けた転移性乳がん患者は、標準化学療法のあとコントロールベクターを受けた患者より全生存の中央値が長かった。Ibrahim NK, et al.J Cancer 2013;4:577-584から抜粋。

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2015年9月4日金曜日

女性は1日に1杯のお酒でも癌リスクが増える

女性は1日に1杯のお酒でも癌リスクが増える
飲酒量と発癌の関係を男女別に分析した米研究で判明

2015/9/4 日経メディカル

食道癌や大腸癌、乳癌などは、大量に飲酒する人で罹患率が高い「飲酒関連癌」であることが知られている。米国の医療従事者コホートを用いて、飲酒関連癌と飲酒量との関連を男女別に分析したところ、軽度から中等度の飲酒(女性は1日1杯、男性は1日2杯)で、女性にのみ主に乳癌のリスク上昇がみられることが分かった。

2015年8月31日月曜日

人間も日焼け止め効果のある汗だったらヨカッタのに

汗に日焼け止め効果があったら、日常はともかく、ランニング時は便利だったのにな(笑)

カバの「血の汗」は日焼け止めだった
魚やカバは紫外線から体を保護する化学物質をつくりだせる
2015.08.19 NATIONAL GEOGRAPHIC 日本版

日焼け止め遺伝子

「eLife」誌に発表された最新研究によれば、魚、鳥、両生類、爬虫類の一部には「ガズソール」という化合物を生成する遺伝子があることがわかった。このガズソールが日焼け止めの役割を果たす。

この研究を率いたタイフォ・マフムード氏は米オレゴン州立大学で医薬品化学の教授を務める。同氏に、メールでガズソールについて訊いたところ、「ガズソールは紫外線(UV)、なかでも日焼けの原因となる紫外線B波(UVB)を吸収して、熱の形で放散します」ということだった。

とくに、ゼブラフィッシュが生成するガズソールは、人が使う日焼け止めの改良に役立つ可能性があり注目されている。ゼブラフィッシュの遺伝子を組み込んだ酵母で、実際にガズソールの日焼け止め効果を確かめるテストも実施され、実用性が証明された。

「血の汗」の正体

独自の方法で紫外線を防ぐ動物はほかにもいる。2004年に「Nature」で発表された研究論文によれば、カバの汗には赤とオレンジの色素が含まれている。赤の色素は抗菌作用、オレンジの色素は紫外線を吸収するという。この2つの色素が細菌の感染と日焼けから、アフリカのカバを守っているのだ。今なお「カバは”血の汗”をかく」という誤解があるが、それもこれで説明できる。

2014年には、「Current Biology」誌に、シャコの目には“天然の日焼け止め”として知られるアミノ酸の色素「MAA」が含まれている、という論文が発表されている。ただし、この色素は別の役割も果たす。シャコが驚くほど目が良く、複雑な視覚を持つのは、MAA が強力なフィルターとしてはたらくおかげだ。(参考記事:「光を操り、姿を隠すシャコの子ども」)

マフムード氏の研究に参加したロバート・タンギー氏(オレゴン州立大学の教授、専門は分子毒性学)は、ゼブラフィッシュのガズソールも日焼け止めの効果だけでなく、「胚発生の助け」など複数のはたらきがあると話す。

アフリカハイギョの一種(Protopterus annectens)は紫外線を防ぐことはできないが、涼しさを保つすべは知っている。乾季になると、このハイギョは川底に穴を掘って潜り、自らの粘液で繭のようなものをつくって、この繭に包まれた状態で乾季を土中で過ごす。これが「夏眠」といわれるもので、字面通り夏の冬眠だ。

2015年8月30日日曜日

早期実現を望む! 歯の治療法

痛みなし!歯を削らずに虫歯を治せる新治療がスゴイ
IROIRO 2015年08月30日

虫歯を削るキーンというドリルの音。想像しただけで身震いしてしまう。

そんな人に朗報。虫歯箇所を削って、薬剤を塗って、詰め物をして、という従来の治療からオサラバできる日が近そうだ。

電流で再石灰化

スコットランド企業Reminova社が開発した新治療がそれ。特殊な装置から電流を流して歯の再石灰化を促し、治療できるのだという。

具体的には、電流で歯にミネラルを送り込み、虫歯箇所の再石灰化を促して自然治癒させるというもの。

ミネラルイオンを注入

そもそも、私たちの歯は、唾液や食べ物に含まれるミネラルが歯のエナメル部分に入り込み、それによって丈夫なものになるのだそう。

Reminova社の新技術は、このメカニズムを利用している。装置から電流を流してミネラルイオンを”注入”する。これは、唾液や食べ物からよりも素早く歯に浸透し、再石灰化を促せる。

詰め物も不要!

この新治療のメリットは何と言っても痛みと恐怖を伴わないこと。ドリルで削る必要もなく、電流を流すときも痛みはまったくないのだという。

また、自然治癒を促すので、埋め込んだ詰め物を交換するといったフォローも必要ない。

商業化へ資金募集中

この夢のような治療、使われる特殊装置のプロトタイプはすでに出来上がっていて、商業展開するために同社は現在、資金を募集している。

ちなみに、開発元は、由緒あるキングスカレッジ・ロンドンのスピンオフ企業。 装置の価格は1台1万ドル程度で、患者の治療には10ドルもかからない見込みとのこと。

高額でなく、しかも痛みを伴わないとなれば、多くの人がこの治療を希望するのは明らか。早く実用化してほしいものだ。

2015年8月26日水曜日

走ると痛くなる“わき腹”、痛みの原因は意外なモノだった!

2015年08月26日 IROIRO こぼれ話しニュース

25日放送のテレビ東京『ありえへん∞世界』は、大の大人が答えられないと恥ずかしい”新常識”を紹介。走るとわき腹が痛くなる、ちょっと恥ずかしい理由が明らかになった。

わき腹が痛くなる衝撃の理由!

ところが、中村麻布十番クリニック・中村院長は「走っている時、わき腹が痛くなるのは、実は腸内のガスのせい」と、キッパリ。

元々、腸の中には食べ物を消化した時に発生したガス(おならの元)が存在しており、走ると腸が揺さぶられ、ガスが腸を上がっていき腸の曲り角に溜まるという。

さらに、ガスが溜まった腸の部分が風船のように膨らみ、それが内臓を圧迫して、わき腹が痛むのだとか。

食物:抗生物質漬けの食肉

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2015年8月22日土曜日

痛みが神経の病気を悪化させることを、多発性硬化症の動物モデルで実証-北大

2015年07月28日
「痛み」そのものが神経の病気の再発のきっかけに

北海道大学は7月24日、同大遺伝子病制御研究所の村上正晃教授らの研究グループが、痛みが神経の病気を悪化させることを実証したと発表した。この研究成果は、生命科学の専門オンライン誌「eLIFE」に、7月20日付けで公開されている。

痛みは多くの病気に共通する症状であり、慢性的な痛みは生活の質を大きく損なう。しかし、これまで痛みは単に病気の副産物と考えられていて、痛みが直接、病気を悪化することは知られていなかった。

以前、同研究グループは、地球の重力がふくらはぎに存在する抗重力筋であるヒラメ筋を刺激することによって生じる神経ネットワークが、交感神経の活性化を誘導し、血管の状態を変化させ、多発性硬化症の動物モデル(EAE)の病気を発症させる起点となるという現象「ゲートウェイ反射」を報告した。

これは、感覚神経-交感神経の活性化を介して神経ネットワークが生じ、標的臓器の炎症状態を変化させることを証明するものだった。今回は、多くの病気に付随する「痛み」で始まる神経ネットワークを介して、病気の症状にどのような影響が生じるのかを調べたという。

多くの中枢神経系の病気の再発を防ぐ新たな手段となる可能性

今回、研究グループは、「痛み」を介する神経ネットワークが、病気の症状にどのような影響を与えるのかをEAEマウスを使って検証。その結果、実験的に痛みを与えるとEAEの症状が悪化し、逆に鎮痛剤を与えるとその症状が改善したという。このことは、痛みが直接的に病気の進行に関与していることを示している。

次に、一過性に病気を発症するマウスを利用して、症状が落ち着いたとき(寛解期)に痛みを誘導した。すると、EAE の症状が再発したが、他のストレスではEAEは再発しなかったという。また、今回の痛みによる再発は、以前報告した「ゲートウェイ反射」と同じ経路により起こることも判明した。

ヒトの多発性硬化症は、再発と寛解を繰り返し、痛みを伴うことが知られているが、今回の発見は、痛み自体が多発性硬化症の再発のきっかけとなることを示唆している。今後、鎮痛剤等を用いた痛みの抑制や、神経シグナルの抑制物質が病気の再発を防ぐ新たな手段になることが考えられる。また研究グループでは、多発性硬化症以外の病気と神経ネットワークの関係についても今後研究を進めて行きたいとしている。

北海道大学 プレスリリース

背中で手が組める

いつの間にか背中で手がしっかりと組めるようになっていた。左右どちらでも出来る!肩関節炎が生活に支障を及ぼさない程度に治った頃でも、指先を重ね合わせるのが精いっぱいで組むことまでは出来なかったのに、いつのまにか。これは元に戻らないと思っていたので嬉しい。


腕が上がる目測角度も約一年ぶりにやってみた。。。

*()内は正常値
*左右両方
 
・前方 180度(180)  
・横 180度(180) 
・後方 60度(60) 
・内 90度(90) 
・外 80度↑(90)

2015年8月19日水曜日

手術前に音楽を聴くと、痛みが軽減し不安も和らぐことが判明

2015年08月19日

全米で毎年5100万人以上が受けているとされる手術。誰もが不安に襲われ、術後の痛みに苦しむこともある。

しかしそんな手術でも音楽を聴くことで痛みが和らぎ、不安が抑えられる傾向があるという研究結果が発表された。

音楽が手術の不安や痛みを軽減

この研究に携わったのはロンドンにあるBrunel大学とQueen Mary大学の科学者たち。

彼らは約7000人の患者が関わった72の治験データを解析。通常の手術と患者に音楽を聞かせた場合、そして薬を使わずマッサージやリラクゼーションによる治療とを比較した。

その結果、音楽を聞いた患者は手術後には不安が大幅に軽減されており、多くの人が満足感を表明。また痛みを軽減するための薬物治療の必要性も減り、実際に痛みを訴える人が減少したという。

このことから研究者らは、患者に音楽を聞かせることはさまざまな医療段階において効果があると結論付けた。

麻酔で意識がなくても効果あり

さらに分析結果を細かく見ていくと特徴的な傾向があることも判明。手術中や術後よりも手術をする前に音楽を聞くとより効果が大きくなるとした。

また患者の意識がある場合は勿論だが、麻酔がかかっている状態で聞かせても苦痛のレベルを下げることが分かったという。

キャサリーン・ミード博士は報告の中で「音楽は患者への負担も少なく安全で、手軽な手段です。手術を受ける全ての人が利用できるようすべきです。また患者は効果を最大限にするためにも自分の好きな音楽を聞くと良いでしょう」と記している。

人間の無意識に直接働きかけるとされる音楽の力を、改めて見直すような結果だ。

2015年7月29日水曜日

熱帯夜に快適に眠るポイントは“深部体温の調節”!その方法とは?

2015年07月29日

昼も夜も暑く、寝苦しい夜に悩む日本列島。睡眠不足と夏の暑さで、バテてしまったなんて人も多いのではないだろうか?

7月29日放送の「とくダネ!」では、熱帯夜の快眠対策を特集。その中でキーワードとなっていたのが”深部体温”だが、それはどんなものなのだろうか。

深部体温とは

人間の体には体の表面の体温”皮膚体温”と、心臓などの大切な臓器を守る役目のある”深部体温”がある。睡眠の前には深部体温を下げることで、体全体の代謝や脳の温度を下げて眠りに入っているのだとか。

つまり、快適に眠るためには寝る前に深部体温をうまく下げるのがコツだという。

深部体温を下げるコツ1:体温を上げる

不思議な話だが深部体温を下げるには、一度体温を上げるといいのだとか。

体温を上げるためには「軽い筋トレやストレッチ」、「3~5分でも湯船につかる」などの方法がいいそうだ。

深部体温を下げるコツ2:太い血管を冷やす

効率的に深部体温を下げるコツは、首筋、脇の下、足の付け根など、太い血管が通っているところを氷枕などで冷やすこと。おでこなど太い血管が通っていないところは、冷やしてもあまり意味はないそうだ。

他にもエアコンのタイマーをセットする場合には、最低3時間は深い眠りが取れるように調節することを勧めていた。

寝る前にコップ1杯の水を

暑くて寝苦しい夜には、熱中症を避けるためにもコップ1杯の水を寝る前に飲んでおこう。

もしその日に飲酒したのなら、飲んだお酒と同量の水を飲むといいそうだ。

2015年7月28日火曜日

肥満防止につながる?第6の味覚「脂味」の存在が確認されたと話題に

2015年07月28日

「脂味」の存在が実験で確認されたという。

「第6の味覚を確認」と発表

米パデュー大学の研究者が、第6の味覚「脂味」があることを実験で確認したと発表。

「Oleo(油)」と「Gustus(味覚)」を合わせて「Oleogustus(オレオガスタス)」と呼ぶことを提案している。

「食感」と考えられていた

味覚は現在、「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「旨味」の5種類。

「脂」を味覚として感じられるかは以前から研究課題とされていたが、食感に影響を与える「脂」は味覚と区別することは難しいと考えられていた。

脂肪を液体に溶かしてテスト

研究チームは、脂肪酸等を溶かした液体でテストを実施。匂いや触感は同じになるようにして行った。

すると、多くの参加者が脂肪酸の有無を区別できたという。

ネット上に反響が続々

第6の味覚の存在が確認されたという発表に、ネット上には多くの反響が寄せられている。

脂の感じ方は味覚だったんですね。意外や意外
ジロリアンは第6の味覚に気付いていたということか!!
旨いものは脂っこいわけだ
実にアメリカンな発見ですね
やっぱりそうやったんか
脂味は 感じていたよ ずっと前から
料理はうま味かあぶらで食べている、というのは料理関係者の間では常識だった
ちゃんと、味蕾に対応する受容体があるというのか?
驚きの声や「感覚的には知っていた」と納得する声が複数みられた一方で、「味覚を感じる受容体の存在が証明されたわけではない」として「存在を確認できたと言えるのか?」という指摘もあった。

健康被害への活用に期待

存在が確認された「脂味」は、今後どのように活用されるのだろうか?

脂肪分の摂りすぎによる肥満や健康被害の解決、新たな食品開発への活用などが期待される。

同様に脂味の研究を行っていたオーストラリアの研究者らは2010年、「脂味」を感じる敏感さが体重と関連しているという実験結果を発表している。

出典元:第6の味覚「脂味」の存在が確認される - ASCII.jp×デジタル(7/27)
出典元:「脂味」が「第6の味覚」である可能性、豪研究 - AFP(3/9)

2015年7月26日日曜日

たった1晩の徹夜で体内時計の遺伝子に変化が生じることが判明

2015年07月26日

私たちはちょっと徹夜をしたくらいで体に影響はないだろうと考えがちだが、スウェーデンのウプサラ大学の研究により、たった一晩、徹夜をしただけで、体内時計の遺伝子に変化が生じることが分かった。

ラボで宿泊実験

研究チームは標準体重の男性15人にそれぞれ2回、ラボでの宿泊実験に参加したもらった。1回につきラボで2泊し、2回のうちどちらかで2泊目は睡眠を8時間とるか、眠らずに徹夜をするかしてもらった(1回目の2泊目で徹夜をしたら、2回目の2泊目では8時間寝る。もしくはその逆)。

遺伝子と代謝機能は徹夜でどう変化する?

被験者の環境を同じにするため、実験中の光の条件、被験者の食べ物、活動レベルは厳密に管理され、眠らないあいだも被験者にはベッドで過ごしてもらった。

また、8時間寝る場合も、徹夜をする場合も、2泊目を過ごしたあとは、被験者の皮下脂肪および太ももの筋肉の組織をそれぞれ採取した。

さらに、インスリン感受性の低下があるかどうかを判断するため、砂糖水を飲む前と飲んだあとの血液もそれぞれ採取した。

時計遺伝子に変化が

遺伝子の活性は、エピジェネティクス(DNA配列の変化を伴わず、環境の変化など、後天的な修飾により遺伝子発現が制御され維持される仕組)と呼ばれるメカニズムで制御されている。

このメカニズムによってDNA分子が化学的に変化し(DNAのメチル化)、遺伝子のオン・オフが制御されるのだが、徹夜をしたあとは、時計遺伝子のなかに、メチル化したDNA分子が増えていることがわかった。

また、時計遺伝子の発現にも変化が生じていることが確認された。

興味深いのは、一晩、寝不足になっただけで、すぐにDNAのメチル化が生じることであり、その変化が時計遺伝子で起きていることが重要だと研究を率いたJonathan Cedernaes博士は指摘する。

徹夜で体内時計はシンクロしなくなる?

また、脂肪組織と骨格筋では変化の仕方が異なっており、一晩徹夜をしただけで、2つの組織の重要な分子時計がもはやシンクロしていないことが示唆された。

これは徹夜後の血液検査で、被験者の耐糖能(ブドウ糖が摂取されたとき、血糖値を一定に保つ調節機構)が低下していたことと関連があると考えられるそうだ。

交代勤務に就く人の代謝機能に影響

今の段階では、これらの変化がどの程度持続するのかはわかっておらず、徹夜をしたあと、たっぷり睡眠をとれば、変化がリセットされる可能性もある。

その一方、こうした変化が交代勤務に就く人たちや、2型糖尿病を患う人たちの代謝記憶に作用する可能性もあり、それが長期に及んだ場合、代謝機能に影響を及ぼすことも考えられるとCedernaes博士は述べている。

2015年7月23日木曜日

「コーヒーメーカー」で炊飯、コメのヒ素含有量が大幅減 研究

【AFP=時事】コーヒーのように、濾(こ)し器を使って炊飯することで、コメに含まれるヒ素を効率的に減少させ、健康への影響を低減できるとした研究論文が22日、北アイルランド(Northern Ireland)の研究者らによって発表された。

 米オンUndo Check Outライン科学誌プロスワン(PLOS ONE)に掲載された論文によると、研究では、一般的な深鍋での炊飯ではなく、濾(こ)し器(パーコレーター)を使って炊飯することで、米に含まれる発がん性の無機ヒ素を85%除去できたという。

 研究を行った英クイーンズ大学ベルファスト(Queen's University Belfast)で植物・土壌科学を研究するアンディ・ミハーグ(Andy Meharg)教授は、「熱湯が一定の流量で注がれ続けるパーコレーターの技術を応用することによって、ヒ素を大幅に低減することができた」と述べている。

 無機ヒ素への常習的な曝露をめぐっては、発達障害や心臓疾患、糖尿病、神経の損傷、肺がん、膀胱がんなどとの関連性が指摘されている。

 水田で生育するイネは、土壌鉱物の無機ヒ素を吸収しやすいとされる。一般的にその含有量は他食品の約10倍とされており、欧州食品基準局(European Food Standards Authority)は、コメの大量消費について注意を促している。
2015年7月22日

2015年7月17日金曜日

紅茶を1日2杯飲むと長生きできるとの研究結果

2015年07月17日

ポリフェノールの一種、フラボノイドといえばアンチエイジング効果が期待できる物質として知られている。

しかし、それだけではないらしい。女性、特に高齢の人が摂取すると心臓病のリスクを減らせ、長生きできることがオーストラリアの研究で明らかになった。

死亡率40%低く

研究では、75歳以上の女性1000人超を対象に、フラボノイド摂取量と健康状態を5年間にわたって調査した。

それによると、紅茶を1日に2杯以上飲むなどしてフラボノイドを摂取している人は、フラボノイドをさほど摂取していない人に比べ、死亡率が40%低かった。

調査期間中、12%の人が亡くなったが、残りの88%のほとんどの人は何かしらフラボノイドを摂取していた。

高血圧や血栓を予防

これまでの研究で、フラボノイドは血圧を下げたり、血栓を予防したりする作用があることがわかっていて、心臓病やがんの予防に効果があるとされている。

フラボノイド含有量が多い食べ物としてはチョコレートやフルーツ、赤ワイン、コーヒーなどがあるが、専門家によると紅茶による摂取が女性には最適で、量的には1日2杯で十分とのこと。

また、今回の研究に加わっていない別の専門家によると、若い人でもフラボノイド摂取でそうした健康メリットを享受できるという。

2015年7月15日水曜日

花粉症の舌下免疫療法、有効性は今一つ

花粉症などの季節性アレルギー性鼻結膜炎(SARC)に対して行われる舌下免疫療法は、プラセボより有意に有効だが、その有効性は小さく、有害事象リスクは高いことが明らかになった。プラセボ対照ランダム化比較試験のメタアナリシスによる。

2015年7月2日木曜日

No Poo

今更感が無きにしも非ずだが、No Pooを始めてみる ^^

7/7 早くも断念orz。洗い上がりに不満は無かったけど、髪が長いせいもあって洗いにくくて大変すぎる。来年の春には断髪するから、そしたら又やってみよう。

ホルモン療法が効かなくなった乳がんの治療、2つの薬の組み合わせが有効

2015年7月2日
ホルモン療法が効かなくなった乳がんの治療、2つの薬の組み合わせが有効
「AZD2014」+「フルベストラント」、半数で効果を確認

ホルモン療法が効かなくなってしまった乳がんの治療に、「AZD2014」と「フルベストラント」の2つの薬の組み合わせが効果的であると判明した。治療法の実用化に向けた最初の検証であるフェーズ1試験の結果だ。

乳がんのホルモン療法

 米国サラ・キャノン研究所を中心とした研究グループが、2015年4月18日から22日までに米国フィラデルフィアで開催された米国がん学会年会で発表。同学会が2015年4月20日に紹介したものだ。

 およそ3分の2の乳がんでは、がん細胞に女性ホルモン「エストロゲン」を受け取る「エストロゲン受容体(ER)」が出ている。ER陽性の乳がんは、エストロゲンの影響を受けてがんの増殖が促進される。

 このタイプの乳がんの治療には、「ホルモン療法薬」と呼ばれる、エストロゲンをがん細胞が使えなくする薬が使われる。ただ、ホルモン療法は、長く続けているうちに、薬が効かなくなり再びがんが増えてしまう人も出てくる。

期待の新薬「AZD2014」

  「mTORシグナル」と呼ばれる一連のシグナルが、がん細胞に「増殖せよ」と指令を伝えると分かっている。

 「AZD2014」は、mTORシグナルを中断させてがんの増殖を抑える新しい分子標的薬だ。さまざまな種類のがんに対して効果が期待され、世界各国で臨床試験が進んでいる。同年会でも別の研究グループが、卵巣がんと肺がんに対する臨床試験の結果を報告している(抗がん剤が効きづらいタイプの卵巣がんと非小細胞肺がん、2つの薬の組み合わせが有効)。

 今回研究グループは、AZD2014と、最近開発されたホルモン療法薬「フルベストラント(一般名、商品名はフェソロデックス)」を組み合せて治療した場合に、ホルモン療法だけでは効かなくなってしまった乳がんを再び小さくする効果が得られるかどうかを検証した。

量やタイミングを複数パターンで検証

 対象者は、ER陽性の転移性乳がんの66人。全員、28日に1回のサイクルでフルベストラントの注射を受け続けている。

 このうちの43人には、AZD2014を毎日飲んでもらった。1日に飲む量は4通り用意し、そのどれかの量を飲んでもらった。

  残りの23人には、AZD2014を週に2日飲んでもらった。1日に飲む量は2通り用意し、どちらかの量を飲んでもらった。

半数で抗がん効果を確認

 治療の結果、66人中31人で、がんが小さくなったり、大きくなるのが止まったりと、何らかの抗がん効果が認められた。

 測定が可能な状態の乳がんの49人のうち、8人でがんが3分の2以下に縮小したと確認できた。5人は不確定ながら、がんが3分の2以下に縮小したと見られた。

 AZD2014は、毎日飲んでも週2日でも、どちらでも抗がん効果が見られた。

次の検証ステップへ

 主に見られた副作用は、発疹、吐き気、嘔吐、下痢、口のひりひり感、倦怠感だった。週2日の方が、副作用が軽い傾向が見られた。毎日飲んだ人の中の数人は、副作用のために治療を中断した。

 今回のフェーズ1試験で効果が見られたため、現在次のステップであるフェーズ2試験が行われているとのことだ。このフェーズ2試験は「マンタ(MANTA)」と名付けられ、人数や薬の比較方法をさらに広げて進められている。

2015年6月15日月曜日

朝9時前に、コーヒーを飲んではいけない理由。

人間の体にあると言われる体内時計。これには「コルチゾール」と呼ばれるホルモンが深く関係しています。不快なことがあった際にも分泌されることから「ストレスホルモン」なんて別名もあるコルチゾールですが、実はこれ、自然に体を覚醒させるために朝8時から9時の間に活発に分泌されるのだそうです。

そしてこのコルチゾールが大量に分泌されている時間帯にコーヒーを飲むと、カフェインに対する耐性がついてしまうんです。すなわち、飲めば飲むほどカフェインによる覚醒効果が得られにくくなるというわけです。8時から9時だけではなく、お昼12時から1時、午後の5時30分から6時30分も同じ。

「じゃあ週末はいいんでしょ。昼過ぎまで寝てるし」というあなた。気持ちはとてもわかります。しかし何時に起きようとも、目覚めてから1時間のうちはコルチゾールの量は50%増加しています。そのためいくら寝坊しても、涙をのんで1時間我慢しましょう。

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・コルチゾール

コルチゾール (cortisol) は副腎皮質ホルモンである糖質コルチコイドの一種であり、ヒドロコルチゾン (hydrocortisone) とも呼ばれる。炭水化物、脂肪、およびタンパク代謝を制御し、生体にとって必須のホルモンである。3種の糖質コルチコイドの中で最も生体内量が多く、糖質コルチコイド活性の約95%はこれによる。ストレスによっても発散される。分泌される量によっては、血圧や血糖レベルを高め、免疫機能の低下や不妊をもたらす。

また、このホルモンは、過剰なストレスにより多量に分泌された場合、脳の海馬を萎縮させることが、近年PTSD患者の脳のMRIなどを例として観察されている。海馬は記憶形態に深く関わり、これらの患者の生化学的後遺症のひとつとされている。

2015年6月12日金曜日

両側乳房切除術に対する乳がん患者の誤った認識が明らかに/ミシガン大学総合がんセンター

海外癌医療情報 2015年6月12日

生存率の向上に効果がないことを大半の乳がん患者は知らない
2015年6月2日

ミシガン州アナーバー-乳がんを発症した女性のうち、両側乳房切除術を検討した患者はおよそ半数であるが、この切除術で生存率は改善されないことを知っていたのは、そのうちのわずか37%であったことが、調査の結果明らかになった。

両側乳病切除術を受けた女性の36%が、手術により生存率が向上すると考えていた。二次性がんの平均的な発症リスクを有する女性では、がん化していない側の乳房を切除しても生存率は有意に改善されないことは、複数の研究によりこれまでにも示されている。

アメリカ臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会にて発表された本研究は、乳がん治療を受けたことのある女性1,949人を対象としているが、うちおよそ20%が予防的対側乳房切除術と呼ばれる方法で、両方の乳房を切除していた。がんを発症していないもう一方の乳房にもがんを発症するリスクは、特定の遺伝子変異や家族歴がある場合に高くなるが、これらの遺伝子変異や家族歴がない場合でも、19%の患者が両側乳房切除術を受けていた。

「多くの女性で治療に必要とされる以上の広範囲に及ぶ手術が行われていることは驚くべき結果です。乳がんと診断されれば、病気と闘うために最善を尽くそうと思うのは当然です。だから私の患者さんの多くは、子どもたちのために生きていられるよう、できることは何でもしたいと言います。そのために本当に効果がある治療法は何なのか、または、思い切った決断に思えても実際には初期の一般的な乳がんでは転帰の改善が見込めないのではないか、ということを患者にきちんと理解させられるかどうかは、われわれ医師にかかっているのです」と、ミシガン大学医学部放射線腫瘍学准教授で主著者のReshma Jagsi,医学博士は言う。

外科医からの推奨あるいは外科医が推奨しているという認識が、患者が治療を選択する上で大きな影響を及ぼしていたのである。両側乳房切除術を受けないよう外科医に勧められたと答えた女性のうち、手術を受けたのはわずか4%であったが、手術を外科医に勧められたと認識した女性では、59%が両側乳房切除術を受けた。

「患者は誤った認識をもったまま、切除術を受けており、この認識をなんとしても正さなければなりません。予防的対側乳房切除術の知識と外科医が伝えた内容に対する患者の認識には大変大きな隔たりがあり、医師らはこの問題に取り組む必要があります」とミシガン大学医学部内科学および同大公衆衛生学部健康マネジメント政策学教授で、研究著者のSteven J. Katz医学博士は言う。

本研究は、ミシガン大学総合がんセンターを拠点とする多施設共同研究グループ、Cancer Surveillance and Outcome Research Teamにより実施された。本研究グループは、がん治療の質に関する問題を重点的に研究しており、Jagsi および Katz両医学博士はミシガン大学Healthcare Policy and Innovation研究所のメンバーでもある。

2015年6月4日木曜日

【愛知】がん死亡率は長期低下傾向 県の14年度白書

県がまとめた二〇一四年度の「がん対策白書」によると、一二年の人口十万人あたりのがんによる死亡率(七十五歳未満、年齢調整値)は男性一〇二・七人、女性六〇・四人で、男性は前年から一・六人減少、女性は〇・九人増加した。県のがん対策推進計画では一五年の目標死亡率は男性九五・六人、女性五二・六人。担当者は「男女とも長期的には低下している。予防や早期発見を促す取り組みを強化したい」と話している。

 一二年のがんによる死亡率は都道府県別で低い方から男性が十九位、女性が三十位だった。死亡に占めるがんの種類別では、男性は肺がんや大腸がん、女性は乳がんが目立った。

 市町村が実施するがん検診の受診率は、胃がん14・6%、肺がん23・4%、乳がん30・6%などで、二年前からほぼ横ばい。担当者は「職場などで受診する人も増えているとみられ、全体の受診率は上がっているのではないか」とみている。

 がんの治療や終末期のケアを自宅で受ける患者の割合は一三年で8・0%だった。県内には、がん治療を受けられる病院が比較的多いことなどから割合は低い傾向にある。県は一六年をめどに、一一年の全国平均の8・2%まで引き上げることを目指している。

 また、県は一四年度、がん患者が仕事を続けやすい環境支援として、患者団体や医療、企業関係者らによる有識者会議を開催。企業に対しては病気休職制度などの充実や社内啓発、医療機関には患者の職場との連携や、就労継続に配慮した診察などに取り組む重要性を提言した。

2015年5月20日水曜日

足の浮腫 採寸

R 20.9
L 19.8

う~ん、、、右だけ浮腫む、、、な、なぜ???

2015年5月19日火曜日

コーヒーが、乳がん治療薬タモキシフェンの効果を高める可能性/英国医療サービス(NHS)

英国医療サービス(NHS) 
2015年4月22日水曜日
コーヒーはがん細胞の成長を遅滞させることが示された。「ホルモン剤タモキシフェンとコーヒー2杯を毎日摂取するというがんを殺す多剤併用療法が、(乳がん)腫瘍再発のリスクを軽減させることが判明した」とMail Onlineが報告した。同研究はまた、カフェインががんの成長を遅らせることも明らかにした。
その研究で乳がん女性1,090人のコーヒー摂取について調査したところ約半数がタモキシフェンを投与されていた。タモキシフェンは、エストロゲンというホルモンとの関連で知られる乳がん(エストロゲン依存性乳がん)を治療する際に用いられるホルモン治療薬である。
研究では、1日に2~5杯のコーヒーを飲む女性は、コーヒー摂取量が1杯以下の女性よりも原発腫瘍のサイズが小さく、エストロゲン依存性腫瘍の割合が少ないことが判明した。
エストロゲン依存性乳がんでタモキシフェンの治療を受けていた女性で、毎日少なくとも2~5杯のコーヒーを飲む女性は、コーヒー摂取量が比較的少ない女性よりもがんの再発リスクが半減した。
また、研究者らはコーヒーから検出された2つの物質、カフェインとコーヒー酸(コーヒーから発見された化合物)の乳がん細胞における効果について研究室で実験を行った。研究者らは、それら2つの物質が乳がん細胞の成長を抑制することを発見した。
本研究の結果は興味深いが、コーヒーが乳がんに効果があるということを証明できておらず、他の因子として、交絡因子と呼ばれるものが結果に影響を及ぼしていた可能性がある。
乳がんでタモキシフェンを投与されている女性が適度にコーヒーを摂取することは、害にはならない。しかし、過剰摂取は易刺激性、不眠症、消化不良の原因となりうる。
研究の由来
研究はスウェーデンのルンド大学、スコーネ大学病院、英国のブリストル大学の研究者らにより実施された。Swedish Cancer SocietyやSwedish Research Councilなどスウェーデンの団体からさまざまな助成を受けた。
研究についてはピアレビュー専門誌Clinical Cancer Research誌で発表された。
この研究結果に関するMail Onlineの報道内容は、コーヒーがエストロゲン依存性乳がんの再発を防ぐ、またはタモキシフェンの作用を高めることが証明されたというニュアンス伝えている。初期結果は有望ではあるものの、今回はそれに当てはまらない。
Mail Onlineはまた、独立した専門家からの研究へのコメントを何ら掲載していない。その結果、タモキシフェンを投与されている何百万人もの女性が、どれくらいの量のコーヒーを飲むとよいのか心配し始めることが危惧される。
カフェイン摂取について英国の公式ガイドラインはないが、通常は1日にカフェインを400 mg以上摂取する(およそカップ4杯分のコーヒー、または栄養ドリンク2杯)と、副作用を引き起こす可能性がある。
研究の種類
これはスウェーデン在住で初期の浸潤性乳がんの女性1,090人を対象としたコホート研究であった。2013年に同研究者らが発表した研究の追跡調査で、同コホートの中からさらに少人数の女性を対象とした。研究者らは、先行研究でタモキシフェンを投与されていた乳がんの女性の中等度から高頻度のコーヒーの摂取と生存率向上との関連が明らかとなったと述べている。研究の目的は、コーヒー摂取量、がんの特性、生存率の関係をより大規模な乳がんの女性のコホートで調査することであるとも述べている。
乳がん腫瘍の中には、成長するためにエストロゲンに依存するものがある。エストロゲン受容体(ER)陽性乳がんと呼ばれるものである。
タモキシフェンは、これらのタイプの乳がんに投与される主要なホルモン療法薬剤で、エストロゲンががん細胞に結合するのを阻害する。これががん細胞の増殖を抑制または阻止する。
研究者らはまた、コーヒーに含まれる2つの物質、カフェインとコーヒー酸が乳がんの成長に影響を及ぼす可能性のメカニズムを調査するため、ヒトの乳がん細胞を用いた細胞実験を実行した。
研究内容
コホート研究のために、2002~2012年の間に初期の浸潤性乳がんと診断された24~99歳の女性1,090人が登録された。手術前に、体測値と胸のボリュームを測定され、詳細なアンケートで出産歴、投薬使用、そして喫煙、アルコールならびにコーヒー摂取などの生活要因の情報が集められた。
コーヒー摂取は低頻度(1日に1杯以下)、中等度(1日に2~4杯)、または高頻度(1日に5杯以上)に分類された。
研究者らは、病理報告書とカルテから腫瘍のサイズと悪性度、リンパ節への転移の広がり、腫瘍がホルモン受容体陽性だったかどうかの情報を得た。
女性達は、乳がんの初再発、最新の無病期間あるいは死亡について、2013年1月より前にいずれか最初に結果が出るまで追跡調査された。乳がんが再発したか、または死亡したかの追跡調査の情報は、各種の公式記録から得た。その結果は標準的な統計方法で解析され、腫瘍のサイズのような他の要因は調整された。
細胞実験では、タモキシフェン併用あり、またはなしのヒト乳がん細胞が、48時間カフェインまたはコーヒー酸にさらされた。研究者らは、ER陽性、ER陰性、またはタモキシフェンに抵抗を示した乳がん細胞を用いた。各実験を実施するにあたり、最低でも3回は実験を繰り返した。
結果
コホート研究の主な結果は、下記の通りである。
・中等度から多量のコーヒー摂取量を報告した女性は、コーヒー摂取が少ない女性と比較して、よりサイズの小さい浸潤性の原発腫瘍を有していた。
・また、中等度から多量のコーヒー摂取量は、コーヒー摂取が少ない患者と比較してER陽性腫瘍の割合が低いことと関連があった。
・中等度から多量のコーヒー摂取は、タモキシフェンを投与されていたER陽性腫瘍を有する女性の乳がんが再発するリスクが49%低下したことと関連があった(adjusted hazard ratio 0.51; 95% confidence interval 0.26-0.97)。
細胞実験では、カフェインとコーヒー酸がER陽性とER陰性双方のがん細胞の成長を抑制した。また、カフェインとコーヒー酸は、乳がん細胞に対して他の影響も及ぼしており、細胞の成長を遅滞させたり、細胞の死を促進したりした。
結果の解釈
研究者らは、これらの知見はER陽性とER陰性双方の乳がんに対するカフェインとコーヒー酸のさまざまな抗がん特性を示唆していると述べている。特に、コーヒーは、タモキシフェンに対する腫瘍細胞の感受性を高め、そのため乳がんの増殖を抑制する可能性があるとの考えを示している。コーヒーに含まれる物質が、がん細胞の成長に必要な信号経路のスイッチを切る働きを持つ可能性があると彼らは述べている。
結論
本研究は興味深いが、いくつか制約がある。第1の知見は、コーヒー摂取が比較的多いと報告した女性は乳房の腫瘍径が小さく、がんがER陽性である可能性が低いということであった。しかし、女性達は診断後に一度コーヒーの摂取について報告したきりで、アンケートで彼女達が過去または現在コーヒーを飲む習慣について聞かれていたかどうかの記載が不明確である。女性達はまた、特に長期にわたるコーヒー摂取について思い出すことを求められた場合、コーヒー摂取を過剰に低く、あるいは過剰に高く見積もった可能性がある。研究でコーヒー摂取における正確さがさらに妨げられているのは、コーヒーの「カップ」の大きさについて標準的な定義を示さなかったことである。
第2の知見は、タモキシフェンを投与されていたER陽性がんの女性の間で、より多いコーヒー摂取がより良い結果と関連していたということであった。これは特に臨床試験の結果が得られたこともあり有望に聞こえるが、交絡因子が結果に影響を及ぼした可能性は常にある。
タモキシフェンは、通常閉経前のER陽性がんの女性にのみ用いられる。従って、アロマターゼ阻害剤のような異なるホルモン療法が求められる閉経後の女性でも同様の効果がみられるかどうか不明確である。
コーヒー摂取と乳がんリスクの潜在的な関連について、さらなる研究が求められる。またそれは、新たな治療法につながる可能性がある。
しかし、注目すべきなのはコーヒーの過剰摂取がマイナスの副作用を起こす可能性があるということである。定期的に1日5杯以上コーヒーを飲むと、不眠症、易刺激性、胃のむかつき、心悸亢進を引き起こす可能性がある。

2015年5月18日月曜日

早期乳がん女性患者のほとんどが広範囲のリンパ節摘出を回避―根治施術はもはや不要との科学的証拠の支持増加

キャンサーコンサルタンツ
2015年4月6日

米国外科学会(ACS)からの情報

シカゴ発(2015年3月26日):早期乳がん女性患者に関する新たな研究によれば、隣接リンパ節生検でがんが見つかった場合、外科医が腋窩部分のリンパ節の大部分を切除するのはもはや一般的ではないことがわかった。これは乳がん治療において大きな変化である。米国人乳がん患者270万人のデータを評価した本研究結果は、年内の出版に先立ち、Journal of the American College of Surgeons 誌電子版に「近刊予定記事」として公開されている。

米国外科学会腫瘍グループZ0011(American College of Surgeons Oncology Group Z0011)、つまりACOSOG Z-11試験として知られる画期的な臨床試験結果が4年以上前に公表されたが、その結果に基づく提言に外科医がどの程度まで従っているか、これまで不明であった。研究者の報告では、センチネルリンパ節(最初にリンパ流を受けるリンパ節)に腫瘍がある早期乳がん患者で、乳房部分切除を受けた人のほとんどは、腋窩リンパ節郭清(ALND)と呼ばれる、脇の下に残っているリンパ節の摘出によって受ける利益はないとされていた。当時の調査では、ALNDを受けた患者と、ALNDを受けず再発の有無について経過観察された患者との間で、がん再発および5年生存率に違いは認められなかった。

今回の新たな研究では、がんを含むセンチネルリンパ節を発見後にALNDを行わず、がんが最初に転移しやすい「見張り番」リンパ節であるセンチネルリンパ節生検(SNB)切除のみを受けた乳房部分切除患者の割合が飛躍的に増加したことがわかった。研究著者らによると、SNBのみを行った患者の比率は、2010年9月ACOSOG Z-11試験初回結果の公表前年2009年の23%から公表後初年度2011年の56%へと2倍以上に増加した。

「私の知る限り、私たちの研究はACOSOG Z-11試験の知見が乳がん患者への臨床診療を全国的に変えたことを初めて明らかにしたものである。SNBのみを受けた患者の方がリスクが低いことから、Z-11試験の影響は非常に大きい」と、主著者Katharine Yao医師は言う。Yao医師は、米国外科学会会員(FACS)、イリノイ州エバンストン市のノースショア大学保健システム科乳がん外科教室部長、シカゴ大学プリツカー医学部臨床外科准教授である

Yao 医師によると、SNBのみで少数のリンパ節を摘出すれば、重症となることが多いリンパ浮腫合併症を起こす生涯リスクが大幅に下がる。皮下にリンパ液が溜まると、腫れて痛みを伴うこともある。今回の新たな研究では、Yao医師らは米国外科学会(ACS)がん委員会(CoC)と米国がん協会の共同プロジェクトである米国がんデータベース(NCDB)を利用した。NCDBは、CoCの認定を受けた約1500件のがんプログラムから米国で新たにがんと診断された症例の推定70%を収集する。

NCDBでは、実施されたリンパ節郭清術の型(SNBまたはSNB+ALND)を確認できないが、研究者らは、これらの型の識別として、切除したリンパ節の数を用いた。リンパ節切除4個以下をSNBのみ、リンパ節切除10個以上をALNDと分類した。

1998年から2011年の間に乳がんと診断されてデータベースに載った272万人の症例のうち、74,309人の患者がSNBのみ実施のZ-11試験適格基準を満たすことがわかった。Z-11試験適格基準とは、乳房部分切除と全乳房放射線照射を受けていること、臨床的リンパ節転移陰性と思われる5cm以下(2インチ未満)の腫瘍があること、切除縁が陰性(切除乳房組織の外縁でがん細胞が確認されない状態)であること、腫瘍陽性センチネルリンパ節が2個以上であることである。

SNBのみ実施の比率は、1998年の6.1%から、研究時最新データである2011年の56%まで増えたという報告であった。このZ-11試験結果は2011年当時の最新データであったことから、2012年にはさらに増えているものと思われるとYao医師は語っている。

統計解析の結果、乳房部分切除患者は、ハイリスクとみなされる特性[50歳未満、黒色人種、トリプルネガティブ腫瘍(ほとんどの乳がんの成長を助長するとされる最も一般的な受容体3種の欠如)、大きな腫瘍(3cm以下)]を一つでも有する場合、ALNDを受ける確率が高かった。さらに腫瘍転移陽性センチネルリンパ節が2個ある患者は、1個の患者に比べて、ALNDを受ける確率は2倍になった。2mm以上の腫瘍転移がある患者は、微小転移と呼ばれる小さながん転移がある患者に比べて、ALNDを受ける確率は3倍以上になった。

Yao医師らの研究結果によれば、Z-11試験はハイリスク患者も対象としていたにも関わらず、ハイリスク患者にALNDを実施しないことに抵抗を感じる医師がいるようである。Yao医師は、Z-11試験結果がハイリスク患者にも適用可能であることを外科医に広く認識させ、ハイリスク患者の長期的追跡調査を実施する必要性を訴えた。研究者らは、Z-11試験適格基準のうち1項目を満たしていない400,052人の乳がん症例も解析した。この解析結果は「やや驚くべきものであった」とYao医師は述べている。

Z-11試験に乳房切除患者は含まれていないが、 2011年に乳房切除手術を受けた患者の22%以上がSNBのみを受けたとの報告である。さらに、推奨値の5cmを越える腫瘍がある患者、または、放射線治療をまったく受けないか、全乳房照射ではなく部分照射を受けた患者の50%以上がALNDを受けずSNBのみを受けていた。

「Z-11適格基準外の患者がSNBしか受けていないのは、やや懸念すべき問題である。乳房切除患者におけるSNBのみの実施は、全体的な転帰への影響が不明であるため、意見が分かれる問題である」とYao医師は述べている。

Yao医師以外の研究著者は以下のとおり。Erik Liederbach 理学士;Catherine Pesce医師;Chi Hsiung Wang医学博士;David J. Winchester 医師、FACS。
全員、ノースショア大学保健システム科所属。
FACS:米国外科学会会員(Fellow of the American College of Surgeons)外科医。

この研究結果は、カリフォルニア州インディアンウェルズで昨年11月に開催された2014年Western Surgical Association年次総会で発表された。

2015年5月17日日曜日

足の浮腫 採寸

R 20.0
L 19.4

う~ん、寸法だけ見ると大丈夫な感じがするけど、
右だけ靴下の跡がくっきり深く残ってしまった。
まだ浮腫んでるんだなぁ・・・ orz

足の浮腫 採寸

R 20.2
L 19.7

差が縮まった!
浮腫は解消した、、、と思っていいレベルかな~ 
見た目には分からなくなった ^^
でも、これから、リンパドレナージュするべ♪
当分続けよっと

2015年5月15日金曜日

足の浮腫 採寸

R 20.5
L 19.5

少し解消した

2015年5月14日木曜日

右足の浮腫?!

右足がすっごく浮腫んでしまった!
な、なぜ?!
まさか、エコノミークラス症候群、、、?


R 20.8
L 20.0


2015年5月7日木曜日

コーヒー飲む人、病死の危険減 9万人追跡調査

2015年5月7日

 コーヒーを1日3~4杯飲む人は、ほとんど飲まない人に比べて心臓や脳血管、呼吸器の病気で死亡する危険性が4割ほど減るとの研究結果を、国立がん研究センターや東京大などの研究チームが7日、公表した。

 がんによる死亡との関連は見られず、全ての死亡の危険性で比較すると24%減だった。

 1990年代に10都府県に住んでいた40~69歳の約9万人を2011年まで追跡し、生活習慣と日本人の主要な死因との関係を調べた。

2015年3月28日土曜日

近年の乳がん治療の現状とHER2陽性乳がんに対する治療 岩田 広治

2013年8月17日(土)開催
「HER2陽性乳がん患者さんのための情報発信セミナー2013 in 名古屋
                          〜 あなたにとって最適な治療とは?」

2015年3月16日月曜日

乳がん治療による早期閉経の回避に有効な薬剤

2015年3月16日
健康美容EXPO > 健康美容EXPOニュース > 海外ニュース:TOP > 女性の健康 > 乳がん治療による早期閉経の回避に有効な薬剤

乳がんの化学療法の副作用として一部の患者に早期閉経がみられることがあるが、ゴセレリンと呼ばれる薬剤を追加することにより、その確率を低減できることが新たな研究で示された。この研究は米国立がん研究所(NCI)の支援により実施されたもので、「New England Journal of Medicine」3月4日号に掲載された。

研究著者で米ロヨラ大学乳がん臨床研究プログラム代表のKathy Albain氏によると、「若い乳がん患者にとって、化学療法の最も悩ましい副作用の一部が早期の急な閉経と不妊である」という。

米ノースショア大学病院(ニューヨーク州)のがん専門医George Raptis氏もこれに同意し、「われわれは数十年前から閉経前の女性に化学療法を実施している。これにより転移リスクを低減し、全生存率を向上させることができる。しかし、多くの若い女性が乳がんを克服する一方、治療が原因で不妊になる」と説明している。

今回の研究では、早期乳がんと診断された50歳未満の閉経前の女性257人を対象として、標準化学療法を実施する群と、化学療法にゴセレリン(商品名:ゾラデックス)を追加する群のいずれかに無作為に割り付けた。2年後、標準治療群の22%に月経の停止またはエストロゲン産生と卵子供給の低下がみられたのに対し、ゴセレリン群では8%にとどまった。また、妊娠率はゴセレリン群で21%、標準治療群で11%であった。

Albain氏によると、ゴセレリンは化学療法の間、一次的に卵巣を「休眠」状態にすることによって生殖能力を保護する効果を発揮するという。早期閉経やそれに伴う症状を低減するだけでなく、ゴセレリンはきわめて安全であり、生存率を向上させる可能性もあるという。4年後の時点でがんの徴候や症状がみられなかった比率はゴセレリン群で89%、標準治療群で78%であり、4年後の全生存率はゴセレリン群92%、標準治療群82%であった。

今回の研究はエストロゲン・プロゲステロン受容体が陰性の乳がん患者が対象であり、この知見を受容体陽性乳がんの患者に一般化できるかどうかは不明であるとRaptis氏は指摘している。それでも、この研究は化学療法を受ける多くの女性の生活を向上させる可能性があると同氏は述べている。

米レノックス・ヒル病院(ニューヨーク市)のStephanie Bernik氏もこれに同意し、ゴセレリンにより副作用なく早期閉経が低減されただけでなく、生存率向上も認められた今回の研究は非常に有望なものだと述べている。(HealthDay News 3月4日)

2015年3月13日金曜日

電子お薬手帳「harmo」

ソニーは、非接触ICカード技術「FeliCa」を用いた電子お薬手帳サービス「harmo(ハルモ)」の試験提供エリアを近畿地方へ拡大する。harmoは、薬局などで調剤された薬の履歴などのデータを、クラウドサーバー上で電子的に管理するサービス。FeliCaのチップを埋め込んだカードを薬局の端末にかざすだけで、調剤履歴の閲覧や調剤情報の記録が行える。.


・harmo(ハルモ)とは

人と人をつなぐ、電子お薬手帳サービスです。

harmo(ハルモ)は、患者さまと薬剤師、 またそのご家族をつなげる電子お薬手帳サービスです。
患者さまひとりひとりの調剤履歴を、カード1枚で安全に管理できます。

また、スマートフォンアプリと連動することで副作用の記録、調剤履歴を ご家族と共有することができます。

2015年3月12日木曜日

採寸

W 61
R 32.5
L 30

2015年2月9日月曜日

痛みは脳や体に記憶される

2015/2/9 日経メディカル

 痛みは身体だけでなく、精神面や社会生活にも大きな影響を及ぼし、生命予後をも悪化させる。近年、「痛み記憶」という概念が提唱され、記憶の段階に至らせないことが重要だと分かってきた。痛みが出始めたら、軽視することなく、少しでも早い時期から痛みを軽減させる対応が求められている。

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痛みは記憶されるでしょうか

大人になると、子どもの時のように階段を1段抜かししたり、柵を跳び越えたりするなど、ちょっとした冒険ができなくなります。「ケガをしたときに感じた痛み」が思い起こされて、腰が引けてしまうからです。

さらに、痛みの記憶によって、非常に面倒なことに合うこともあります。

ケガや病気、あるいは手術などで痛みを感じると、この痛みの刺激は中枢神経に記憶されます。これは一種の「痛みの中枢への感作」と言います。この中枢への感作によって、常に脳や脊髄が刺激されると、痛みの原因になる刺激がなくても、脳はいつも痛みを感じ続けてしまうことがあります。ケガや病気が治っても、その部分がまるでそのケガや病気が起きているかのように、痛み続けてしまうわけであります。単なる慢性痛と違うのは、末梢神経がこの痛みの記憶の影響で、過敏になっているため、風が吹いただけ、ちょっと触っただけでも、強い痛みを感じる点です。

「幻肢痛」も痛みの記憶の一つと考えられています。よく聞くのは、実際にはない切断した足に痛みが走るという現象です。足に限らず、乳房や陰茎、内臓でも起こります。途切れた末梢神経が異常な信号を発するためとか、脊髄、脳のネットワークの異常とか言われていますが、はっきりしたことは分かっていません。

2015年2月7日土曜日

乳がん腫瘍マーカー


一概には言えないんだろうけど、FECよりドセのほうが効いたのかな、私の場合は。

2015年2月4日水曜日

ノバルティスを業務停止へ 副作用報告違反で初

薬の副作用情報を期限内に国に報告しなかったとして、厚生労働省が医薬品医療機器法(旧薬事法)に基づき、製薬大手ノバルティスファーマ(東京)を業務停止処分とする方針を固めたことが2日、関係者への取材で分かった。期間は15日間前後で検討しており、ノ社から弁明書の提出を受けて正式決定する。

 厚労省によると、副作用報告義務違反で製薬会社が業務停止となるのは初めて。ノ社は、2種類の白血病治療薬をめぐる副作用報告義務違反で昨年7月に改善命令を受けており、一連の問題で今回が2回目の行政処分となる。

2015年1月31日土曜日

タモキシフェンにより高リスク女性の乳癌発症率が低下(IBIS-I試験結果)/米国癌学会(AACR)

海外癌医療情報リファレンス 2015年1月31日

原文:2014年12月11日

乳癌リスクの高い女性を対象とした国際共同乳癌治療試験-I(IBIS-I)で中央値が16年間である追跡調査を実施した結果、タモキシフェン投与により乳癌全体の発症率が有意に減少した。試験成績は2014年12月9日から13日に開催されたサンアントニオ乳癌シンポジウムで発表された。

「IBIS-I試験は、乳癌リスクの高い女性に、乳癌を予防する目的でタモキシフェンを投与した場合の長期的なリスクおよび利益を検討するようデザインされた試験です」とロンドン大学クイーン・メアリー、ウルフソン予防医学研究所所長兼ジョン・スノー疫学教室教授であるJack Cuzick博士は述べた。

「今回の試験で乳癌の発症率は低い水準のままに20年間持続して維持できることがわかりました。ただし、子宮内膜癌に起因する死亡率やエストロゲン受容体(ER)陰性癌の発症率に関しては懸念があります。しかしながら、これらの発症率に統計学的な有意性はなく、研究結果は偶発性の可能性があります」。

「閉経後の女性にとっては、アナストロゾールやエキセメスタンなどのアロマターゼ阻害薬による治療が、効果の高さや副作用の低減(副作用面での優位性)といった観点から、より優れた治療選択肢になると考えられます。しかし閉経前の女性にとっては依然として、タモキシフェンによる治療が唯一の有効な選択肢なのです」とCuzick氏は続けた。

IBIS-I試験に登録した閉経前および閉経後の女性7154人の中、3579人がタモキシフェン20 mgを5年間連日投与する群に、3575人が対応するプラセボを5年間投与する群に無作為に割り付けられた。主に乳癌の家族歴のために乳癌リスクが増大しているとされる35歳から70歳までの女性が参加した。

この試験の主要評価項目は非浸潤性または浸潤性乳癌の発症率で、副次評価項目は全死亡率、他の癌種での死亡率、および乳癌に特異的な死亡率であった。

中央値で16年間の追跡期間中に、タモキシフェン投与群の女性246人およびプラセボ群の女性343人が乳癌を発症した。プラセボ群と比較したタモキシフェン群の乳癌発症の低下率は29%であった。ER陽性乳癌の発症率では35%の低下がみられたが、ER陰性乳癌においては効果が認められなかった。

試験期間中にホルモン補充療法(HRT)を受けなかった女性のほうがより大きな利益を得た。すなわち、HRTを並行して受けなかった女性におけるER陽性乳癌の発症率は45%低下し、乳癌全体でみても38%低下した。

乳癌による死亡率には群間で差はなかったが、タモキシフェン投与を受けた女性では、有意性はないものの、全死亡率の上昇が認められた。しかしながらCuzick氏によると、96カ月目の追跡調査報告で認められた率よりも低かった。子宮内膜癌および非メラノーマ皮膚癌の発症率上昇、大腸癌発症率の低下がみられた。他の癌種では、全体としての発症率は上昇したが有意差はなかった。

「乳癌の発症率を長期にわたって低く維持できたことから、重要な知見が得られました。しかし、死亡率に対する影響という点にはまだ不確実な部分が残っています」とCuzick氏は述べた。

本試験は英国癌研究およびアストラゼネカ社から資金援助を受けた。Cuzick氏は本試験に関してアストラゼネカ社を代表して発表している。

2015年1月26日月曜日

生検により癌は拡散しないとの研究結果/メイヨークリニック

015年1月11日
フロリダ州ジャクソンビル−−フロリダ州にあるメイヨークリニック・ジャクソンビル総合病院で治療を受けた2000人超の患者を対象とした研究によると、癌生検によって癌が播種(拡散)するという迷信が否定される結果となった。研究班は1月9日のGut誌電子版の中で、生検を受けた患者の転帰は受けなかった患者よりも良好であったと発表している。

画像は、膵臓を生検針で穿刺する様子を超音波内視鏡で描出したものである。超音波内視鏡は胃内に存在(経口鏡を使用)。超音波内視鏡先端の超音波プローブにより胃に隣接する膵臓の描出が可能。超音波ガイド下で長い生検針を内視鏡から通し、腫瘍を穿刺している。

研究班の対象は膵癌であったが、本研究で用いられた診断手法(穿刺吸引細胞診)は腫瘍の種類を問わず用いられるため、この結果は他の癌でも当てはまるではと考えられる、と本研究の主任研究者で消化器科医のマイケル・ウォレス医師(公衆衛生学修士、内科学教授)は語った。

穿刺吸引細胞診は、細い中空針を用いて腫瘍から数個の癌細胞を抽出する低侵襲の手技である。生検により癌が播種されるという思い込みが、多くの患者や医師の中にさえ長い間存在しつづけてきた。

その可能性が考えられる症例は数例あるものの(極めてまれだが)、生検に対して心配する必要は全くないとウォレス医師は語る。

「研究結果を見れば、医師も患者も生検が非常に安全だと思い直すはずです。米国内では癌生検が毎年何百万回も行われています。ですが、その中の1、2例のために、生検が癌を播種させるという迷信がこれほどまで有名になっているのです」。

生検は「テーラーメイド治療を行う上で非常に価値のある情報を与えてくれます。ある症例では、より良好な転帰のため手術を行う前に化学療法と放射線療法を行うこともできますし、またある症例では、手術をはじめとした無用な治療を行わないという選択ができるのです」とウォレス医師は語る。

膵臓癌の手術は「非常に大きなオペレーション」であり、「ほとんどの人は手術を行う前に癌の存在を確認したいと思うはずです」とウォレス医師は語る。ある研究によると、膵癌疑いで手術を受けた患者のうち9%は良性腫瘍であったという結果が出ている。

ウォレス医師とその研究班は、生検のリスクを検証するための研究を個別に2回行っている。

2013年にEndoscopy誌に掲載された研究では、研究班はメイヨークリニックで治療を受ける256人の膵臓癌患者の転帰について検証した。研究班は、超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診(EUS-FNA)を受けた患者208人と受けなかった患者48人との間で、癌の再発に差がないという結果を示した。

今回の研究では、研究班は手術を受けた非転移性膵癌患者に関するメディケアのデータ11年分(1998年~2009年)を調査した。研究班は、EUS-FNAを受けた498人と受けなかった1536人の全生存期間と膵癌特異的な生存期間を調査した。

平均追跡期間21カ月の中で、死亡者はEUS-FNA施行群のうち285人(57%)、EUS-FNA未施行群のうち1167人(76%)であった。膵癌が死因であると判定した患者はEUS-FNA施行群のうち251人(50%)、EUS-FNA未施行群のうち980人(64%)であった。

全生存期間の中央値はEUS-FNA施行群で22カ月、EUS-FNA未施行群で15カ月であった。

「生検はきわめて有効です。生検を行うことで患者にあった医療、つまり患者一人ひとりに合わせ、できる限り良好な転帰を得られるよう計画した治療を行うことができるのです」とウォレス医師は語る。

共著者には、ミネソタ州のメイヨークリニック・ロチェスター総合病院の研究者も参加している。

2015年1月8日木曜日

生活習慣と遺伝子からがん予測 愛知県がんセンター

2015年1月8日 中日新聞朝刊

 愛知県がんセンター(名古屋市千種区)は、健康な人が将来どの部位のがんにかかりやすいのか、遺伝子と生活習慣から確率を出すプログラムの開発に乗り出した。三年以内の実用化を目指す。結果を見てリスクの高いがん検診を受けたり、生活を改善したりして、より効果の高い予防につなげる。遺伝子情報から病気のリスクを判定する方法は、既に民間などにあるが、生活習慣と関連づける判定は珍しい。

 がんセンターには研究所と中央病院などがあり、がん患者の遺伝子を調べて個人にあった治療に力を入れている。研究所は一九八八年から、がんやがんの疑いで訪れる初診患者を対象に生活習慣を調査。二〇〇一年からは患者の同意を得て血液で遺伝子を採取し、遺伝的な体質と生活習慣が発がんにどう関係しているか、分析を続け、患者のデータ約三万件が蓄積されている。

 研究所疫学・予防部の田中英夫部長(52)によると、これまでの研究で遺伝的に酒を飲めず、一定以上の喫煙量がある人は酒が飲める人より肺がんになりやすいことや、遺伝的にある程度の酒が飲める人でも、大量に飲酒を続けると、胃がんになるリスクが高まることなどが分かってきた。

 プログラムはこうしたデータや研究成果を活用。対象は日本人に多く、生活習慣との関係が指摘される肺がん、胃がん、大腸がん、乳がんを想定。採血による遺伝子検査と生活習慣を調べるアンケートで、七十五歳になるまでにがんにかかる確率を計算。一定以上のリスクの高い人には、定期的な精密検査や生活習慣の改善を指導する予定。

 実用化に向け、昨年十一月から愛知県内に住む四十五~六十五歳の健康な女性三十人に、乳がんになるリスク検査の試験を開始。乳がんは特定の遺伝子変異や肥満がリスクを高めることが知られ、今後は結果を知った対象者が生活習慣の改善に取り組んでいるか、心にどういった影響を与えるかなどを調べる。その他のがんについても順次、試験を実施し、内容と精度を高めていく。

 田中部長は「現在は誰もが一律にがん検診を受けているが、リスクが高いと判定された臓器を重点的に受ければ、効率的な予防が期待できる」と話している。

左乳房の乳ガンの放射線治療時に心臓の被爆量を減らすには大きく息を吸い込むと良い

(2015年1月) 左乳房の乳ガンに対して放射線治療を行うことによって心臓病のリスクが増加することが知られていますが、"Practical Radiation Oncology" 誌オンライン版に掲載されたトーマス・ジェファーソン大学の研究によると、放射線治療時に大きく息を吸い込み肺をふくらませることによって、心臓に放射線が当たる量を大幅に減らして心臓病(虚血性心疾患)になるリスクを低下させられると思われます。

この研究では、左乳房にステージ0~Ⅲの乳ガンがある患者81人に、放射線治療時に大きく息を吸い込んでもらいました。 その結果、心臓への放射線被爆量が中央値で62%減っていました(被爆量を20%以上減らせた患者は88%)。

その後81ヶ月の追跡調査に基づくこれらの患者の8年間生存率の推算値は、乳ガンが再発しない状態での生存率(disease-free survival)は90%、(再発したケースを含む)全体での生存率は96%というものでした。

2015年1月3日土曜日

3Dプリンター×ヒトのコラーゲン、幹細胞で移植用組織 感染症回避

2015.1.3 07:55

ニッポンのすご技!3Dプリンター×ヒトのコラーゲン、幹細胞で移植用組織 感染症回避 東大病院と富士フイルムなど技術開発/5年後の実用化目指す

東京大学医学部付属病院と富士フイルムなどが、立体の造形物を簡単に作製できる3Dプリンターと遺伝子工学を駆使し、人体に移植できる皮膚や骨、関節などを短時間で量産する技術を確立したことが2日、分かった。移植の難題となっている感染症の危険性を低く抑えられるのが特長。世界初の技術といい、5年後の実用化を目指している。

 開発したのは、東大病院顎(がく)口(こう)腔(くう)外科の高戸毅教授らの研究チーム。肝臓など臓器にも応用する考えで、体外で生成した健康な組織を患部に移植する「再生医療」を大きく前進させる可能性がある。

 高戸教授によると、病気やけがで皮膚、骨、軟骨、関節の移植が必要な患者は国内で計2千万人以上。現在は患者本人の患部以外から切除した組織を使うなどしており、体への負担が大きい。

 患者の負担を減らす方法として、国内ではウシなど動物の組織とプラスチック素材を主な原料に3Dプリンターで移植用組織を作る技術がある。ただ感染症のリスクがあり、組織が人体になじむ「同化」に2~3年はかかる。頭蓋骨や大(だい)腿(たい)骨(こつ)といった強度の必要な組織の作製も難しいという。

 研究チームは今回、皮膚や軟骨、骨などの基本構造の7割以上が、タンパク質の一種であるコラーゲンでできていることに着目。富士フイルムが遺伝子工学を駆使して開発したヒトのコラーゲン「リコンビナントペプチド(RCP)」を活用することで、感染症リスクの低減に成功した。

 RCPに患者本人から取り出した幹細胞や細胞の増殖を活性化させるタンパク質「成長因子」などを混ぜて医療用に改良した3Dプリンターに装(そう)填(てん)。CT(コンピューター断層撮影装置)で得た体内組織のデータを活用して2~3時間で目的の組織を作製する。患者ごとに違った形、大きさにすることも可能という。

 高戸教授は「感染症リスクの低下だけでなく、数カ月間での自然同化も可能」と説明する。動物実験では良好な結果が出始めているという。厚生労働省から必要な許認可を得た上で、5年後の実用化を目指す。

 再生医療に詳しい埼玉医科大学形成外科・美容外科の中塚貴志教授は、今回の技術開発について「3Dプリンターが、再生医療に欠かせない医療機器に進化するための重要なステップになる」と話している。