2016年9月27日火曜日

乳癌の予後因子としての多重遺伝子診断

No.31掲載(2011年5月刊行)

浜松オンコロジーセンター長
渡辺 亨

 近年、遺伝子発現プロファイリングが発展し、乳癌においても遺伝子の発現パターンから4つの主要な分子のクラス分類がなされ、それぞれの再発リスクに基づいて治療方針が決定されているが、すべての患者がその治療法に適合するとは限らない。そこで、最近はこの遺伝子をさらに細かく測定・解析することで再発リスクをより正確に評価し、個々の患者に適合した治療法を選択することを目指し多重遺伝子診断の研究が進められ、実用化されつつある。

 多重遺伝子診断については、わが国において早期乳癌症例の予後予測因子として、また術後化学療法施行の判断の一助として期待されており、今後、さらにこの有効性が証明されれば、個々の患者にとって過不足ない的確な治療選択が可能となろう。・・・続きを読む