2016年3月31日木曜日

子宮頸がんワクチン副作用で国提訴へ 

2016年3月30日 20時33分

 子宮頸がんワクチンの接種を受け、全身の痛みやしびれなど副作用を訴える女性たちが、国と製薬企業2社に損害賠償を求める集団訴訟を7月までに起こすことを決めた。このうち17~21歳の女性4人と弁護団が30日、東京都内で記者会見し「国が被害を拡大させた薬害問題だ」と主張した。

 ワクチンは国内で2009年12月に販売開始。厚生労働省によると、14年11月までに小中高生ら約338万人が接種を受け、2584人が副作用を訴えた。

 弁護団によると、この問題での提訴は初。4人を含め12人が既に提訴を決めており、弁護団はさらに参加を呼び掛け、4地裁で訴訟を起こす。

2016年3月29日火曜日

蜜入りリンゴ 甘さの秘密は香りにあり

2016/3/29

蜜入りのリンゴといえば、その蜜が甘くおいしいと考えられてきたが、その考えを覆す結果が発表された。農研機構・中央農業総合研究センターの17日付発表によると、蜜入りのリンゴと蜜のないリンゴとでは、糖の量や甘味度の差はほとんどなく、おいしく感じる理由はその香りにあるという。

同機構は、小川香料及び、青森県産業技術センターりんご研究所と共同で、蜜入りリンゴに香気成分として多く含まれる「エチルエステル類」が、リンゴの風味をよくするための重要な成分であることを明らかにした。

エチルエステル類とは、エタノールと脂肪酸が縮合(エステル結合)して生成する化合物のことで、果物や花の甘い香りのもとになっていることが知られている。

糖度に差のない蜜入りリンゴと蜜無しリンゴで官能評価をすると、蜜入りのほうが香りが強く、香りを感じないように鼻をつまんだ状態で試食すると、味の強さに差はなかったという

欧米では、貯蔵性が低いため生理障害(栄養分の過不足による障害)として扱われるという蜜入りリンゴ。アジアや国内では、「甘くておいしい」と人気があるが、糖度などを調べても蜜のないリンゴと差がないケースが多く、人気の理由は謎とされていた。これまで果物の「おいしさ」は糖含量や糖度が指標とされてきたが、この研究によって香りの重要性が明らかになり、今後、香りに着目したおいしさの指標や新品種の改良、貯蔵技術の向上に役立つことが期待される。

この結果は、15日付け「日本食品科学工学会誌」に掲載された。

2016年3月26日土曜日

ロキソニンに「重大な副作用」 実際のリスクは? 厚労省に聞いた

BuzzFeed Japan 3月24日(木)

解熱鎮痛剤として広く使われている「ロキソニン」の使用上の注意に、「重大な副作用」として小腸・大腸の閉塞・狭窄などが追記されることになったというニュースが、ネットで話題になっている。

このニュースを見た人の中には、「ロキソニン」という薬に重大なリスクが見つかったのだと受け止めている人もいる。

だが、厚生労働省医薬・生活衛生局安全対策課の担当者は、BuzzFeed Newsの取材に対し「ただちに使うのをやめてというような、緊急性の高い話ではない」と話す。

厚労省の通知によると、小腸・大腸の狭窄・閉塞の重篤な症状は、ロキソニンの副作用として「まれに」起こることがある。そのため、もし吐き気・嘔吐、腹痛、腹部膨満等の症状があらわれたら「直ちに医師の診察を受ける」べきだということだ。

専門用語で誤解生じた?

それでは、「重大な副作用」というのは、いったい何だったのか。

今回の件は、専門用語で書かれたニュースが一般に広まったことで、誤解が生じたという側面があるようだ。

同課の担当者によると、「重大な副作用」は、医薬品分野の専門用語。「もし症状が起こったら、健康に重大な影響がある副作用」という意味で、症状が軽い副作用と区別するために使う言葉だという。

つまり、「重大な副作用」は、副作用が起きる確率が高いことを示す言葉ではないわけだ。

そもそも、「重大な副作用」という言葉が登場するのは、一般用ではなく医療用の薬に添付される文書の中で、読むのは医療関係者だという。

「副作用理解して使って」

今回、ロキソニンについての注意書きが改訂されることになったきっかけは、すべての医薬品について行っている安全調査で事例報告が集まってきたからだという。報告数は直近3年間で6例だったそうだ。

同課の担当者は次のように話していた。

「ロキソニンは長い歴史のある薬です。今回の副作用は、これだけ時間がかかってようやく見つかったものです」

「医療用のロキソニンの文書には10以上の『重大な副作用』が書いてあります。今回は、気をつけていただくべき副作用の種類が少し増えたということです」

「薬には副作用があります。そのことを理解した上で使ってください」

2016年3月24日木曜日

白血球比率の高値が早期乳がん再発の高リスクと関連―ESMO Openプレスリリース/欧州臨床腫瘍学会(ESMO)

2016年3月24日 (原文掲載日: 2016年3月8日)

2種の免疫細胞の比率が高いことが初期乳がん診断後の再発高リスクと関連していることが、国際女性デー(3月8日)の前日にESMO Openオンライン版に発表された。この種の研究では初めての発見となる。

前向き試験によってこの関連性が確認されれば、本結果は将来の治療やモニタリングの戦略指針となり得ると言われている。

膨大なエビデンスにより、数種のがんの発生と進行には炎症が関与していることが示されており、リンパ球に対する好中球の比率(好中球数/リンパ球数、NLRと略す)が重要であることが示唆されている。

好中球とリンパ球は、がんを含む有害な侵入物に対する免疫応答の一種として動員される白血球である。

複数のがん種での研究で、NLRが高いと生存予後が不良であることが報告されている。しかし、乳がん女性を対象とした研究で決定的な結論が得られたものはほとんどない-これらの研究では主にアジア系民族を対象にしており、他民族よりも一般的に生存期間が長いことがその理由でないかと言われている。

研究チームでは、NLRが無病生存期間と関連しているか調べるため、300人(9人を除き35歳超)の白人女性の健康状態を、診断から最大15年間(1999~2015年)追跡調査した。

対象となった女性はすべてステージIまたはIIで定義される初期乳がんであり、他部位への転移は認められなかった。

診断後、治療を開始する前の採血で血球数を測定した結果、対象患者のうち134人がNLR低値(1.97以下)、166人がNLR高値(1.97超)であった。

15年後、対象患者の37人(12%)で他部位にがんの再発が認められた。

NLR低値の患者ではその後の健康診断で健康状態が良好であり、1、3、6、9、12、15年で再発が認められなかった患者の割合はそれぞれ100%、98.9%、91.7%、82.7%、82.7%および82.7%であった。

これは、NLR高値の患者の同じ評価時期の無再発割合それぞれ99.4%、94.3%、84.5%、69.2%、66%および51.4%と比較して高い。

研究チームでは、大きな影響を及ぼす可能性がある他の要因を考慮するためさらに解析を進めた。その結果、閉経前、腋窩リンパ節へのがん転移(N1)およびNLR高値が独立して再発のリスクと関連していることが見出された

本結果をさらに裏付けるために、研究チームでは傾向スコアマッチング解析(効果を受ける予測因子を考慮して介入効果の推定を試みる統計学的なマッチング手法)を行った。この手法を患者226人(NLR高値とNLR低値半々)に適用した結果、閉経前、腋窩リンパ節へのがん転移あり(N1)およびNLR高値がそれぞれ独立して予後不良と関連していることが確認された。

本研究は観察研究であるため、因果関係に関して確固たる結論を導き出すことはできず、後ろ向きの研究でもあった。しかし、研究チームによると、統計学的マッチングにより得られた関連性が強固となり、さらにこの関連性は他のがん種でも認められているという。

「がん患者のNLRと転帰との関係は一見単純に見えますが、おそらく複雑で多因子が関与するプロセスであり、そのほとんどがまだ解明されていません」と研究者らは述べる。

簡単に言えば、NLR高値は、血管新生の促進(新しい血管の形成)、がんの増殖および転移(拡がり)における全身性炎症の役割を表している可能性があります」と研究者らは言う。

ESMO Open誌編集長のChristoph Zielinski教授は次のようにコメントしている。「本結果が初期乳がん患者を支援する新たな方法の可能性を示していることがわかり感動的です。この分野で活躍している研究者が世界中でこの発見の確認を目的とした共同研究を築いていくことを願っています」。

Notes for editors:
研究: Neutrophil to lymphocyte ratio (NLR) for prediction of distant metastasis-free survival (DFMS) in early stage breast cancer: a propensity score-matched analysis(リンパ球に対する好中球の比率(NLR)による初期乳がんの無遠隔転移生存期間(DFMS)の予測:傾向スコアマッチング解析)
doi 10.1136/esmoopen-2016-000038
Journal: ESMO Open

http://esmoopen.bmj.com/lookup/doi/10.1136/esmoopen-2016-000038

2016年3月7日月曜日

こぶし


乳がん、広がる一括治療…診療科の垣根越えチーム

2016年3月6日

 全国の医療機関で、乳がんの診断、治療から乳房再建までを一括して行う「ブレストセンター」を設置する動きが広がってきた。診療科の垣根を越えて医師・看護師がチームを組み、治療効果を上げるとともに患者の負担も軽くするのが狙いだ。乳がん患者の増加で、2013年に乳房再建の保険適用の範囲が広がったことが背景にあるという。

手術、同じ日に

 大阪府四條畷市の女性(50)は14年夏ごろ、近くの病院で乳がんの診断を受け、右乳房の全摘を勧められた。「ショックだった。女性として終わった感じがした」

 しかし、同年11月にブレストセンターを新設した関西医大滝井病院(大阪府守口市)を紹介され、乳腺外科で乳房を摘出し、続いて形成外科で自らの腹の脂肪を血管ごと胸に移植する自家再建術を受けた。手術は16時間に及んだが、女性は「手術後、ほとんど元のままの胸を見た時は、本当にうれしかった」と話す。

 同病院は両科のほか、専門知識を持つ看護師らが協力。再建後は形が固定するまで専門の下着が必要で、「下着外来」も設けて患者に合った下着も作っている。

 センター設置後、2月末までに261件の乳がん手術を実施、このうち約6割が再建術を伴う。以前は診療科の縦割りで、摘出と再建の手術を同じ日にするのは難しかった。形成外科の田中義人医師は「きれいな乳房再建には摘出段階から連携が必要だ」という。

全国10か所以上

 日本の先駆けは、05年に開設した聖路加国際病院(東京都)。現在、昭和大病院のブレストセンター長で、日本乳癌がん学会理事長の中村清吾氏が初代センター長を務めた。1990年代後半、米国で複数の専門医が一緒に乳がん患者を診療する様子を見て、センターを計画。現在は、8診療科約30人の医師がチームを組み、年間約900件の手術を行う。患者らの心をケアする精神腫瘍科もある。

 読売新聞の調べでは、北海道や東京都、神奈川県、大阪府、九州などの医療機関に少なくとも10か所以上のブレストセンターが設置されている。14年4月にセンターを開設した、札幌医大病院(札幌市)は15年の乳がんの手術数は128件で、06年の66件と比べほぼ倍増した。

 中村理事長は「昔に比べ、今は様々な治療、再建法ができた。患者個々に適した医療がどこで効率的に受けられるか、学会として患者目線で分かるようにしていきたい」と話す。

2016年3月6日日曜日

がん治療、最新放射線システム実用化へ 国立がん研究センター

2016年3月5日

国立がん研究センターは1日、がんなどの腫瘍細胞を治療する際、周辺への影響や
人体への副作用の少ない放射線治療システムが実用化段階に入ったと発表した。早ければ2016年度中に臨床試験を開始し、実用化へのステップを進めていく。

同システムはホウ素中性子捕捉療法(BNCT)と呼ばれる。薬剤(ホウ素製剤)を腫瘍細胞に集積させ放射線の中性子を照射することで、腫瘍細胞に選択的に作用する画期的な放射線治療法だ。一度の治療で済むことや副作用が少ないことで世界的に注目されている技術である。

今回のシステムは中性子の生成のためにリチウムを使用しているが、人体への悪影響が極力少ないことが特徴。一方で、融点が低いためシステム開発難易度が高く、世界的にも実用化ができていなかった。

同センターが導入したBNCTシステムは、CICS(東京都江東区)が開発したリチウムターゲットシステムに、日立製作所の子会社AccSys Technology(米カリフォルニア州)の直線加速器を用いている。