2011年5月31日火曜日

リンパ管のしくみ

リンパ管

壁はうすく、先端は毛細血管の間に入り込んでいる

*リンパ管は次第に集まって太い管になり最後は大静脈につながる

リンパ液

リンパ管内を流れる液

*組織液は再び毛細血管に吸収されて血液中に戻る
しかし、一部はリンパ管に入りリンパ液となる


体液のバイパス路

血液は心臓から押し出され、動脈、毛細血管、静脈をめぐって再び心臓に戻ってきます。私達のからだでは、閉鎖された血管系の中を血液が流れるので、閉鎖循環系と呼ばれます。これに対して、昆虫など無脊椎動物の多くは、血液が動脈の枝の末端から組織液の中に流れこんでしまうので、開放循環系とよばれます。実は、人間の循環系もよくみると、血液の成分の一部は、毛細血管から組織液の中にしみだして戻らないのです。こうやって組織液の中にしみだした余分な液体は、リンパ管を通して集められ、血液の中に回収されます。


リンパ管のしくみ

全身の組織の中には、毛細リンパ管が広がっています。その壁は扁平な内皮細胞からできていて、内皮細胞同士の間がしばしば開いています。組織液は、この隙間からも毛細リンパ管に流れこんで、リンパ液になります。リンパ管を通って静脈に戻るリンパ液の量は、1日あたり3~4リットルほどで、心臓から拍出される血液量の、わずか2000分の1です。

リンパ液の成分は、血漿とほとんど同じですが、タンパク質の量が少なくなっています。また白血球の一種であるリンパ球が含まれています。

リンパ管には、特別のポンプはありません。ではリンパ管は集めたリンパ液をどうやって運んでいくのでしょう。リンパ管には、ところどころに弁が備わっていて、リンパ液の逆流を防いでいます。そして呼吸運動や筋肉活動、さらに動脈の拍動などのわずかの外力によって、リンパ液はしだいに中枢方向に送られていきます。こうしてリンパ液は運ばれていきます。

また、リンパ管は合流を繰り返して太くなっていきます。下半身からのリンパ管は、大動脈の横を走る胸管に集まります。胸管は、上半身の左側からのリンパ本管と合流して、左の鎖骨の下あたりで、大きな静脈に注ぎます。この部分を左静脈角といいます。これに対して、上半身の右側からのリンパ管は右静脈角に流入します。


リンパ節について

リンパ管のところどころにはリンパ節がはさまっています。リンパ節は、股のつけ根の鼡径部や腕のつけ根の腋窩といった、四肢のリンパ管が体幹に入るあたりに多く集中しています。また頭からのリンパ管のために、頸部にもリンパ節が集まっています。

たとえば足に傷を作ると、鼡径部のリンパ節が腫れます。傷口から入った細菌は、傷の周りに炎症を起こすだけでなく、リンパ管に乗って運ばれていき、鼡径部のリンパ節でつかまるからです。リンパ節は、生体内に侵入した細菌や有害物質を血液循環中に入れないための関所の役目をしているのです。