2014年11月14日金曜日

乳がん治療のマーキングには「見えないタトゥー」が望ましい(2014.11.13掲載)

乳がん患者が放射線療法を受ける際のマーキングには、永久的に色の残るインクではなく「見えないタトゥー」を用いることによって、患者の自己肯定感を向上できる可能性があることが新たな研究で認められた。

皮膚のマーキングは、毎回の治療セッションで正しく同じ位置に放射線を照射するために必要なものだ。しかし、これまでの研究で、永久的に残るタトゥーは乳がん患者に治療後何年も病気のことを思い出させ、身体への自信や自尊心を低下させることが明らかにされている。また、濃いインクのタトゥーは、皮膚の色が濃い女性の場合は見つけにくく、放射線治療の標的部位の不一致につながる可能性もあると、研究グループは述べている。

今回の新たな研究では、放射線療法を受けた乳がん患者42人を対象に、治療前と治療1カ月後の自分の身体についての感じ方をたずねた。女性の半数は従来の濃いインクのタトゥーを用い、半数は紫外線を当てたときだけ見える蛍光タトゥーを用いた。見えないタトゥーを使用した女性では、治療1カ月後の時点で自分の身体についての感じ方が改善した比率が56%であったのに対し、濃いインクのタトゥーを用いた女性では14%であることがわかった。治療の精度は両群で同等だった。この知見は、先ごろ開催された英国立がん研究所(NCRI)会議で発表された。

研究著者である英王立マーズデン病院(ロンドン)のSteven Landeg氏は、「この結果から、濃いインクのタトゥーの代わりに蛍光タトゥーを提案することにより、治療後に一部の女性が自分の身体に対して抱く否定的な感情を改善できる可能性が示唆される」と述べている。「身体イメージは主観的なものであり、濃いインクを用いた放射線療法用タトゥーによる影響は患者によってさまざまである点を忘れてはならないが、今回の結果により、将来的にこの選択肢が放射線療法を受ける患者にとって実行可能なものとなることを期待している」と、同氏は付け加えている。

なお、学会発表された研究のデータおよび結論は通常、ピアレビューを受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。(HealthDay News 11月4日)