最近になってようやく重大な病気として認知されるようになった「うつ病」。しかし労働者の多くが知らずにうつ病にかかり、そのうちの半数近くが病院などに助けを求めようとしていないという結果が発表された。
2219人のうち40.0%が重度のうつ病
この研究を手掛けたのはカナダのトロントにある、Centre for Addiction and Mental Health (CAMH)の研究者たち。
彼らはオンタリオ州に住む18歳から65歳までの2219人に、電話アンケートやウェブによる調査を実施。職場で働いている人々の精神面の健康状態を調べた。
その結果、アンケートに答えた人の約40.0%が過去に重度のうつ病にかかっていたことが判明。そのうち52.8%が病院へ行かず、治療を受けていないことが明らかになった。
しかもこの割合は、全米やオーストラリア全土で行われた統計での割合と著しく似ていたという。
社員のうつ病で生産性が33.0%も下落
さらに研究者らは、社員のうつ病によって職場での生産性がどのくらい落ちているのかを計算。その結果、本来の生産性に比べて33.0%も下落していることが判明した。
また彼らが精神ケアを受ける際の心の壁となったものを分析したところ、多くの人が病気になったことへの不名誉な気持ちや、治療には効果がないという考えを抱いており、治療費や適切な医者に出会えないという問題に直面していることが明らかとなる。
Carolyn Dewa博士は「社員にうつ病治療の理解を促すことは、仕事の生産性を高めます。(略)しかし認識の改善は経営者だけの問題ではない。最も効果的な職場でのケアとは問題の複雑さを認識すること、包括的な方法で全てに対処することです」と語った。
多くの人が気づかぬうちにかかっている「うつ病」。この病気が蔓延するような状況の中で、企業にはより良い職場づくりに力を注いでもらいたい。