2014年6月5日木曜日

キモ・ブレイン/ケモブレイン

乳がん患者が悩む“キモ・ブレイン”。治療法へ第一歩となるか
 JPN Manatee JPN Manatee

2014年5月27日、米国臨床腫瘍学会(ASCO)の正式機関誌であるJournal of Clinical Oncologyに掲載された論文によると、乳ガン治療の際に行われる化学療法が、女性の脳に影響を残すようだ。

▼化学療法の前後で脳の活動に変化

化学療法を受ける前と、化学療法が終了して4~6ヶ月後の乳がん患者18人の脳の動きをMRIで観察。行為ごとに脳のどの領域が動いているのかを調べた。すると、化学療法を受けたグループには、明らかな脳の活動の変化が見られたという。

一方、健常者と化学療法を受けていないがん患者の脳も、同じタイミングで観察したところ、目立った活動の変化は見られなかった。

今回の研究によって、「化学療法が脳に影響を与えること」「影響を与える脳の領域」が明らかになった。

▼“キモ・ブレイン”と呼ばれる症状とは

今回の研究成果は、今まで言われていた”キモ・ブレイン”と呼ばれる症状の一部を説明するものだと言われている。

“キモ・ブレイン”とは、化学療法を受けた後に頭がぼーっとして、「物忘れがひどくなる」「集中できない」「考え事ができない」といった問題を起こす症状だ。

8割ほどの女性は、1~2年ほどで以前の生活に戻れているが、「脳の活動の変化は10年後も続く」とカリフォルニア大学のSilverman 医師は語っている。

どうしてこのような症状を引き起こすのかについての研究は進んでおらず、解決策もないままだった。今回の研究が治療法への第一歩となることが期待されている。