2012年7月3日火曜日

【閉経前術後ホルモン受容体陽性】ホルモン治療法の選択【化学療法後】

私が2009年版を購入して治療に望んだ本の新版「患者さんのための乳がん診療ガイドライン 2012年版」がでた。また病院の待合に置いてあったら読んでみるけど、購入は見送ることにした。ネットでもQとそのA(推奨グレード)だけは読むことが出来るので、今現在はそれで十分だ。次回か次々回版、あるいは再発した時には、購入を検討したい。
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乳がん診療ガイドライン

閉経前ホルモン受容体陽性乳癌に対する術後内分泌療法として,タモキシフェンおよびLH-RHアゴニストは勧められるか
改訂日:2011/09/01
推奨グレード
 5年間のタモキシフェン投与は有用であり,強く勧められる。
 タモキシフェンとLH-RHアゴニストの併用投与は有用である。

閉経前ホルモン受容体陽性乳癌における術後タモキシフェン単独,LH-RHアゴニスト単独,タモキシフェンとLH-RHアゴニストの併用や化学療法を比較する多数のランダム化比較試験が行われている。タモキシフェン単独投与のエビデンス,LH-RHアゴニスト投与の臨床的意義について解説する。

閉経前術後ホルモン受容体陽性乳癌に対する化学療法後の卵巣機能抑制療法は勧められるか
改訂日:2011/09/01
推奨グレード
C1 閉経前術後ホルモン受容体陽性乳癌に対して,化学療法後に月経が回復した患者には,卵巣機能抑制療法を検討してもよい。

閉経前術後ホルモン受容体陽性乳癌に対し化学療法を施行した場合,その治療効果は直接的な殺細胞効果に加え間接的な卵巣機能抑制の効果も合わさり再発が抑制される。化学療法により閉経が誘発された患者は,そうでない患者と比較すると予後が良好であった1)。そこで,化学療法後にLH-RHアゴニストを追加する治療法が提唱された。

閉経前術後ホルモン受容体陽性乳癌において,化学療法後の卵巣機能抑制療法の有用性が確立されているかどうかについて検討した。 

閉経前ホルモン受容体陽性乳癌に対して術後LH-RHアゴニスト+アロマターゼ阻害薬は勧められるか
改訂日:2011/09/01
推奨グレード
C2 閉経前ホルモン受容体陽性乳癌の術後療法として,LH-RHアゴニストにアロマターゼ阻害薬を併用することは基本的には勧められない。

閉経後ホルモン受容体陽性乳癌に対する内分泌療法は,長らくタモキシフェンが標準療法であった。第三世代のアロマターゼ阻害薬が登場し,アロマターゼ阻害薬であるアナストロゾール(ATAC)1),レトロゾール(BIG1-98)2),エキセメスタン(TEAM)3)とタモキシフェンとの比較が発表され,OSへの影響は定かではないが,DFSを改善することがわかってきた。

閉経後のエストロゲンは,脂肪細胞などに存在するアロマターゼによって,副腎由来のアンドロゲンから変換されて産生される。したがって,閉経後ホルモン受容体陽性乳癌においては,アロマターゼ阻害薬が有用である。一方,閉経前においてはエストロゲンの主な産生場所は卵巣であり,アロマターゼ阻害薬単独ではエストロゲンの産生を抑えることはできない。そこで,LH-RHアゴニストにより卵巣機能抑制を行い,それにアロマターゼ阻害薬を加えエストロゲンレベルをさらに低下させることで,LH-RHアゴニストにタモキシフェンを併用するよりも,より高い治療効果が得られるのではないかと期待された。

閉経前ホルモン受容体陽性乳癌において,LH-RHアゴニストにアロマターゼ阻害薬を併用することの有用性が確立されているかどうかについて検討した。