骨髄抑制の中でも一番先に抗がん剤の影響を受けやすいのは白血球、特に好中球です。好中球は細胞性免疫という、細菌を直接攻撃する免疫機能をもつ細胞です。ですから好中球が減少すると容易に細菌感染を引き起こし、発熱をきたします。こういう状態を発熱性好中球減少症(febrile neutropenia; FN)と言います。
①定義:
現在日本では主に「発熱性好中球減少症治療ガイドライン」(2004年)による定義、「好中球数が1000/μl未満で500/μl未満になる可能性がある状況下で,腋窩温で37.5℃以上もしくは口腔内温で38℃以上の発熱」を用いています。
私たちの病院では一昨年くらいから、比較的若い患者さんに対してはFECの量を増やしました(FEC75→FEC100)。それ以降、どうもFEC100施行後に発熱する患者さんが多いと感じていましたが、昨年末にまとめてみると、なんと67%の患者さんでFNをきたしていました。同時期にFEC75以下の量で行なった患者さんではFNの率は0%でしたので明らかに高率になっていました。興味深いのは、どちらの群も好中球がgrade4(500以下)になった割合は83%と同じだったことです。おそらく、好中球の最低値というより、grade4の期間が長かったことが発熱につながったようです。
引用元 乳癌を正しく理解するために