A. 放射線治療の意義
腋窩リンパ節転移陽性例での乳房切除+腋窩郭清後の胸壁+領域リンパ節への放射線治療は,局所再発を抑制し生存率向上に寄与することが複数の第III相試験で示されている。NCCNガイドラインで推奨されているのは,腋窩リンパ節転移が4 個以上または原発病巣が5cm 以上または切除マージンが近接していることである。通常胸壁+腋窩III領域/ 鎖骨上窩が照射部位(図2)であるが,胸壁因子のみで治療適応となった場合は胸壁のみの治療とする4)。
図2
乳房切除後の胸壁および腋窩・鎖骨上窩への照射例
B. 放射線治療に関する検討事項
腋窩リンパ節転移個数1~3 個のグループを放射線治療の対象とするか否かでは,議論が分かれ結論は出ていない。臨床試験は以前RTOG99-15/SWOG S9927,NCI Canada MA25 が行われたがいずれも症例集積が少なく,試験は中止となった。現在,MRCをスポンサーとしてScottish Cancer Trials Breast Groupが中心になりSUPREMO試験が進行している5)。予定症例数3500~3700例のうち2009年10月現在,550例が集積されている。日本,中国などアジア諸国からも症例登録が行われている。
4) | National Comprehensive Cancer Network,NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology.Breast Cancer V.1.2010.http://www.nccn.org/professionals/physician% 20gls/PDF/breast.pdf |
5) | Selective use of postoperative radiotherapy after mastectomy and http://www.supremo-trial.com/potent_investigators.html |