▼エーザイの「ハラヴェン」、乳がん治療で英当局の推奨受けられず
2011年7月19日(ブルームバーグ):エーザイの抗がん剤「ハラヴェン」は、乳がんの治療で英国国立医療技術評価機構(NICE)の推奨を受けられなかった。NICEは「ハラヴェン」について、高価すぎる可能性があるほか、他の薬より副作用が大きい公算があると指摘した。
NICEの19日の発表資料によると、2回目の判断を8月に示す前に、1カ月間の一般からの意見を受け付ける期間を設ける。
米食品医薬品局(FDA)は昨年11月、ハラヴェン(一般名「エリブリンメシル酸塩」)を少なくとも2種類の化学療法を受けた治療歴のある進行性乳がん患者向けに承認した。
NICEのアンドルー・ディロン最高経営責任者(CEO)は発表資料で、「調査はエリブリンが患者に若干の延命効果をもたらす可能性があることを示したが、より多くのマイナスの副作用を引き起こした」と説明。「健康面での生活の質への影響の評価は十分ではない」と指摘した。
▼良好な利便性を有し、2.7カ月という時を延長した 手術不能・再発乳がん患者さんに新たな希望!日本発の新薬登場 2011年07月号 (部分引用メモ)
ハラヴェンが乳がん治療薬として認可されたのは、海外や国内で臨床試験が行われ、その有用性が確認されたからである。その効果を証明した臨床試験について解説してもらった。
試験に参加したのは、進行・再発乳がん患者さんで、アンスラサイクリン系抗がん剤およびタキサン系抗がん剤を含む抗がん剤治療をすでに受けている患者さんであった。
「乳がん治療におけるアンスラサイクリン系とタキサン系は、まさにゴールデンスタンダードです。これらの標準治療を受けた後、進行もしくは再発した患者さんが治療対象になります」
患者さんは、ハラヴェンで治療する群と主治医の先生がその患者さんに最適であると判断した治療を受ける群に分けられた。
この2群の全生存期間(*)は、主治医選択治療群が10.5カ月、ハラヴェン群が13.2カ月だった。つまり、主治医が最適と考える治療に比べ、ハラヴェンによる治療は、全生存期間の中央値(*)を2.7カ月延長したのである。すでに多くの化学療法を受けた乳がんの患者さんに対し、単剤で生存期間を延長させたのは、ハラヴェンが初めてである。
「生存期間2.7カ月の改善がどういった意味を持つかは、人によって違います。ただ、多くの患者さんに接していると、1カ月後の息子の結婚式まで生きられるだろうか、と尋ねられたこともあります。貴重な2.7カ月の間に、患者さんにとって幸せな時間を過ごせる可能性があり、大変意義深いと思います」
さらに延長した生存期間が、QOLの保たれた日々であれば申し分ない。問題となるのは、QOLに大きな影響を及ぶす副作用と利便性の問題である。
*全生存期間=がんと共存しながらも患者さんが生きていた期間
*全生存期間の中央値=半分の人が亡くなるまでの期間
▼命の値段 2011年11月22日 ~乳癌を正しく理解するために (部分引用メモ)
先日英国国立医療技術評価機構(NICE)が、ハラヴェンを保険適用対象として推奨しない最終ガイダンス案(FAD)を発表しました。NICEはその前にもフェソロデックスに対して同様の勧告をしています。
NICEにおいては抗がん剤を推奨する場合、3カ月以上の延命効果があることなどを条件としているそうです。今回ハラヴェンの治験で示された延命期間は2.7カ月と条件を満たしていませんでした。既存療法より副作用が多いことも指摘されています。そしてコスト面においては、生活の質を加味した生存年(QALY)の1年延長に必要な費用(ICER)は、治験で比較した治験医師選択療法よりも68600ポンド高く、コストベネフィットに見合わないと評価されました。