【11月2日 AFP】アルコールを少し、あるいは適度にたしなむ女性でも、1滴も飲まない女性に比べると乳がんリスクが高くなるとする研究結果が、1日の米国医師会雑誌(Journal of the American Medical Association、JAMA)に発表された。
米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院(Brigham and Women's Hospital)と米ハーバード大学医学部(Harvard Medical School)の研究チームは、1980~2008年に健康とアルコール消費に関する質問票に回答した女性10万5986人について、データを分析した。
乳がんリスクは、アルコールを全く飲まない女性に比べて、週にグラス3~6杯飲む人で15%、1日平均グラス2杯飲む人で51%、それぞれ高くなっていた。
乳がんリスクが高いのは、人生の早い段階で飲んでいたグループも、40代から飲み始めたグループも差はなかった。このことは、飲酒を途中でやめてもリスクの低減にはつながらない可能性を示している。
■健康のために赤ワインを飲む女性にジレンマ
以上の結果は、心臓の健康のために少量の赤ワインを飲んでいる女性にジレンマを突きつけるものでもある。
カナダ・トロント(Toronto)にあるWomen's College Research Instituteのスティーブン・ナロド(Steven Narod)医師は、解説記事で、「飲酒をやめれば、乳がんリスクが減るという確たるデータはない」と述べたうえで、「アルコールを一切飲まないことで乳がんリスクが減少するという潜在的な利点は、赤ワインをたまに飲むことによって心血管死亡リスクが減少するという利点を上回るかもしれない」と述べている。
研究者らは、飲酒が乳がんリスクを高める理由は不明としながらも、飲酒が女性の体内で性ホルモンの循環を促進するためではないかと推定している。(c)AFP