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【イレッサ訴訟 国が争う姿勢】
9月6日 17時3分
肺がんの治療薬「イレッサ」を服用して死亡した患者の遺族たちが国と製薬会社を訴えた裁判の2審の審理が東京高等裁判所で始まり、1審で賠償を命じられた国と製薬会社は「対応に問題はなかった」と主張して争う姿勢を示しました。
この裁判は、肺がんの治療薬「イレッサ」の投与を受けたあとに重い肺炎で死亡した患者の遺族らが東京と大阪で起こしたもので、東京では死亡した3人の患者の遺族が薬を承認した国と輸入販売元の製薬会社「アストラゼネカ」に賠償を求めています。
1審は「副作用への注意喚起が不十分だった」などとして、国と製薬会社に賠償を命じる判決を言い渡しました。6日から2審の審理が始まり、国と製薬会社は「薬の添付文書には『重大な副作用』があると明記しており、適切に注意喚起を行ってきた」と主張して、改めて争う姿勢を示しました。
裁判のあとの記者会見で、31歳の次女を亡くした近澤昭雄さん(68)は「1審で国の責任が認められ、がん医療が少しはよくなるかと期待しましたが、裁判を続けていかなければならないのは残念です。2審では『がん患者であっても見捨てていい命はないんだ』というメッセージを込めた判決を出して欲しい」と話していました。
【原告側「一審判決意義高い」=イレッサ訴訟控訴審始まる-東京高裁】
肺がん治療薬イレッサの副作用被害をめぐり、死亡患者3人の遺族が、輸入を承認した国と輸入販売元のアストラゼネカ(大阪市)に計7700万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が6日、東京高裁(園尾隆司裁判長)で開かれ、原告側、被告側双方が改めて争う姿勢を示した。
原告側は、当時の医療機関向け添付文書の記述が不十分だったとして国とア社の賠償責任を認めた一審判決について、「極めて高い意義がある」と評価した。一方で、文書改訂以降に服用を始めた患者1人について請求を棄却した判断の見直しを求めた。
ア社側は当時の治験データに照らせば、文書の記載に不備はなかったと主張。国側も記載内容の行政指導に誤りはなかったと述べた。
(2011/09/06-16:11)