2011年10月24日月曜日

引用メモ: 閉経前後のホルモン治療 

【No.10399】  11年10月20日    K

初めての御相談です。どうぞよろしくお願い致します。現在50歳です。3年前、47歳の時に乳がんが見つかりました。右乳ガン、2センチ弱で温存手術。病理は、ホルモン感受性どちらも強陽性、悪性度グレード1、乳頭腺管ガン、リンパ管侵襲高度、断端微妙に陽性、リンパ節4個転移ありでした。術後化学療法(FEC4クール+ウイークりタキソール4クール)、放射線30回のあと、ホルモン治療としてリュープリンとフェアストン。現在のところ再発も無く、元気に過ごしています。

この9月でリュープリンを2年間打ち終わり、先生の方からは、年齢的にも効果が薄いので、これで終了しませんかという御提案を頂きました。そして抗エストロゲン剤より効果の高い、閉経後のホルモン治療に切り替えていきましょうということでした。フェアストンに代わり、フェマーラを服用することにして、9月から飲んでいます。

しかし、この相談室を拝見するうち、疑問に思ったことがありました。アロマターゼ阻害剤に切り替える上では、事前に血液検査で完全閉経を確認するのが通常のようですね。しかし主治医の先生の御意見では、「血液検査では確実に閉経と判断がつきかねるケースも多く、見切り発車で、とにかく飲んでみましょう、もしも完全閉経でない場合は、フェマーラの刺激で生理がもどってきますから、それで判断がつきます。その際はフェアストンに戻します。」ということでした。血液検査は、あと2か月後に、一応目安として行うそうです。その頃にはリュープリン1カ月製剤の効力も切れているはずだということでした。

主治医の先生の仰るように、見切り発車でフェマーラを飲んだ場合、万一生理がもどってきたり、血液検査で閉経前が確認された場合、その前何カ月かのフェマーラは「効かないものを投与した」ということにならないでしょうか? 私はリンパ転移が4つもあり、ハイリスクなので、ホルモン治療に空白ができるのが不安です。しかし、だからこそ主治医の先生は、早目にアロマターゼ阻害剤に切り替えないと損だと仰います。私の場合は47歳時に濃厚な化学療法もしておりますので、おそらく閉経しているはずだということです。(FEC2回目を最後に現在まで、一度も生理はありません) 

この「見切り発車で閉経後治療に切り替え」というのは、よくあることなのでしょうか? そして3ヶ月くらいなら、「効かないものを投与した」としても、再発リスクが高まることはないのでしょうか? ご回答、よろしくお願い申し上げます。

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抗エストロゲン剤からアロマターゼ阻害剤に切り替える際は、多くの乳腺専門医がしばしば悩んでいることと思います。それはホルモン学的に「閉経である」かどうかの確認が意外に難しいからです。

理論上は貴女のおっしゃる通りまず採血でE2とFSHを測定し、その値で閉経であるかどうか判断するというものですが、実際にはその時服用している抗エストロゲン剤の影響などで値にばらつきが生じることがあり、これらの値だけでは閉経であるか否か判断しかねるケースも少なくありません。わたくしはこのようなケースでは必ず採血を行いますが、貴女の主治医の先生のように見切り発車で変更している医師も多くみられます。

ただ、もし再度フェアストンに戻らざるを得なかったとしても、それだけで再発リスクが高まるといえるほどのエピソードとは思えませんので、あまり心配し過ぎずに、お待ちいただきたいと思います。