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血液検査で自律神経のバランスがわかる
1立方ミリメートル(1マイクロリットル=1000分の1cc)当たりの白血球の数と、白血球中のリンパ球、顆粒球、単球の割合は、血液検査によってわかります。
白血球中のリンパ球、顆粒球、単球の割合は、「白血球像(はっけっきゅうぞう)」、または「白血球の分画(ぶんかく)」といいます。リンパ球、顆粒球、単球の3つの血球成分の割合を、「白血球の3分画」といいます。
顆粒球は、好中球(こうちゅうきゅう)、好酸球(こうさんきゅう)、好塩基球(こうえんききゅう)の3つに分けられるので、リンパ球、好中球、好酸球、好塩基球、単球の5つの血球成分の割合を、「白血球の5分画」といいます。
福田稔先生が勤務していた新潟の県立病院で行った健康診断の数を元に、健康な成人の白血球中のリンパ球の割合はおおよそ35〜41%、顆粒球の割合は54〜60%の範囲にあることがわかっています。
血液検査で白血球中のリンパ球と顆粒球の割合がわかると、その時点での自律神経のバランスがわかります。
【血液検査の理想値】
白血球数 WBC 5000〜7000/μl
顆粒球>好中球・好酸球・好塩基球 54〜60% (2700~4200)
リンパ球 35〜41% (1750~2870)
単球 5%前後 (250~350)
【私の9/29の血液検査結果】自律神経は、交感神経と副交感神経がうまくバランスをとって体の機能を調節しています。交感神経が優位になると活動的なモードになり、副交感神経が優位になればリラックスモードになります。
白血球数 WBC 8330/μl
顆粒球>好中球・好酸球・好塩基球 78.8% (6564.04)
リンパ球 14% (1166.2)
単球 7.2%前後 (599.76)
交感神経が優位になるとアドレナリンが分泌され、アドレナリンレセプターを持つ顆粒球が増えます。一方、副交感神経が優位になるとアセチルコリンの分泌が盛んになり、アセチルコリンレセプターを持つリンパ球が増えます。
つまり、血液検査で顆粒球の割合が多い場合(61%以上)は、自律神経のバランスが交感神経優位になっているわけです。反対に、リンパ球の割合が多い場合(42%以上)は、自律神経のバランスが副交感神経優位になっているといえます。
ストレスが自律神経のバランスを乱す
交感神経優位の場合は、血管が収縮して血流が悪くなり、消化器の働きが悪くなります。副交感神経優位の場合は、血管が拡張して血流がよくなり、消化器の働きも高まります。
交感神経と副交感神経の切り替えがうまくなされていれば、日中の活動時には交感神経優位、夜間の睡眠時や休息時には副交感神経優位となります。
悩みごとや長時間労働などのストレスによって、この自律神経の切り替えがうまくいかないと、交感神経優位の状態が続き不眠や食欲不振、体の冷えなどの不調が起こってきます。
交感神経優位の状態が長く続くと、血管が収縮して血流が悪くなり(虚血)、ガンをはじめ高血圧、糖尿病、高脂血症、腰痛などの生活習慣病が起こってきます。手足の冷えはもちろんですが、血流が悪いことによって低体温になります。
逆に、運動不足などによって副交感神経優位の状態が長く続くと、血管が拡張して血流が停滞し(うっ血)、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、うつ病などの病気になります。この場合も、運動不足が続くと筋肉の発熱量が低下し、いずれは低体温になります。
血液検査でかかりやすい病気がわかり予防もできる
血液検査で自分自身の白血球像を知ることによって、自分がどちらの病気になりやすいかがわかります。
ただし、感染症にかかると顆粒球が異常に増える、寝不足などのストレスによってリンパ球は激減するといったように、その日の体調によって血液検査の数値は大きく変わってきます。
また、昼間は顆粒球の割合が増え、夜間はリンパ球の割合が増えるという1日の変動リズムや、季節(気圧)による変動(気圧が低いとリンパ球の割合が増え、気圧が高いと顆粒球の割合が増える)もあります。
さらに、地域差もあります。高地などの気圧が低いところではリンパ球の割合が増え、気圧の高いところでは顆粒球の割合が増えるのです。
加齢によってリンパ球の割合と数は減ってきますし、男女を比べても女性のほうがリンパ球が多い傾向があります。血液型によっても、O型・B型はリンパ球が多く、A型・AB型は少ないという傾向があります(もっとも、そんなに大きな差ではありませんが)。
ですから、1回の血液検査の数値だけでなく、定期的(たとえば年1回の健康診断時など)に血液検査をされて経年的に見ていくのがいいと思います。
毎年血液検査を行うことによって、リンパ球が多い傾向があるのか、それとも顆粒球が多い傾向にあるのかがわかります。生活習慣病にかかりやすいのか、それともアレルギー性の病気にかかりやすいのか、白血球像によってわかります。
リンパ球が多い傾向にあるにもかかわらず、血液検査でリンパ球の割合が低かった場合は、ストレスがないかどうか自分の生活を見直して改めることによって、病気を未然に防ぐこともできるのです。