10月24日 4時0分
肺がんの治療薬、「イレッサ」による重い肺炎の副作用を、広く普及している胃薬で抑えられることを慶応大学の研究グループがマウスの実験で確かめました。イレッサの安全な治療につながる可能性があると期待されています。
慶応大学薬学部の研究グループは、イレッサの副作用として問題になった重い肺炎の起きる仕組みを調べるため、細胞の内部でイレッサがどのように働いているか分析しました。その結果、イレッサを投与すると、細胞を保護するたんぱく質が減り、肺炎の原因となる「繊維化」という現象が進むことを突き止めました。このたんぱく質は「セルベックス」という胃薬で増えることが分かっていて、イレッサで肺炎になるよう操作したマウス5匹にこの胃薬を投与したところ、いずれも肺炎にはならなかったということです。セルベックスは胃炎や胃かいようの治療薬として広く普及していることから、イレッサの重い副作用を抑え、安全な治療につながる可能性があると期待されています。研究グループの水島徹教授は「イレッサは肺がんによく効く一方、副作用があるため、使いにくい薬だが、今回の方法の有効性が臨床試験で確かめられればより多くの患者にイレッサを使えるようになるのではないか」と話しています。