2011年9月30日
ノバルティス ファーマ株式会社 プレスリリース
- ホルモン療法にエベロリムスを併用することで、ホルモン療法単独と比較して腫瘍の無増悪期間が2倍以上に延長、疾患の進行リスクは57%減少1
- 試験によると、エベロリムスはホルモン療法で得られるベネフィットを有意に増進閉経後のER(エストロゲン受容体)陽性乳がん患者さんに対する重要な前進1,2
- これらのデータに基づき2011年内に世界各国でエベロリムスの乳がん治療に対する初の承認申請を予定
ノバルティス オンコロジー事業部プレジデントのエルベ・オプノーは次のように述べています。「エベロリムスは、ホルモン治療薬と併用することで、アンメットニーズの高いER陽性/HER2(ヒト上皮増殖因子受容体2)陰性の進行性乳がんの患者さんに対する有効性を示した初めての薬剤です。エベロリムスは、これまでのホルモン療法が効かなくなった患者さんにも大きなベネフィットを提供できる重要な新しい治療アプローチとなる可能性を示しています」
本試験BOLERO-2(Breast cancer trials of OraL EveROlimus-2)は、ホルモン治療薬であるレトロゾールまたはアナストロゾールによる治療中または治療後に再発や疾患の進行が見られた、閉経後のER陽性/HER2陰性の進行性乳がん患者さんを対象に、エキセメスタン単独療法と比較して、エキセメスタンとエベロリムスを併用投与した場合の安全性と有効性を検証する試験です1。本試験で得られた知見は、スウェーデンのストックホルムで開催される2011年European Multidisciplinary Cancer Congress(欧州最大の癌関連学会:EMCC)におけるPresidential Symposium(主催者シンポジウム)において、9月26日に発表される予定です。
当初から計画されていた解析で、試験はPFSに関する主要評価項目を達成し、治験責任医師の画像判定によると、エベロリムスでの治療によりPFSが2.8カ月から6.9カ月に延長したことが示されました(ハザード比0.43 [95%信頼区間(CI):0.35~0.54]、p<0.0001)。この顕著な改善は、過去の治療回数、内臓疾患、骨転移、過去の化学療法の有無を含むすべてのサブグループで一貫してみられました。
ホルモン療法は、依然として進行性乳がん患者さんの治療の基盤となる治療ですが、転移のある患者さんの多くは初回のホルモン療法が効かないか、また当初は効果が見られていても殆どの患者さんは経時的に効かなくなります2,3。加えて、疾患が進行すると、余命に著しく関わります。
エベロリムスは、腫瘍細胞の分裂、血管新生、細胞代謝の調節において重要な役割を果たすmTORタンパクを標的としています4。乳がんにおけるホルモン療法に対する耐性は、mTOR経路の過剰活性と関連があるとされています。
BOLERO-2のデータは、2011年内に計画されている本適応に対する世界各国での承認申請に使用される予定です。追加のデータは今後の医学学会で発表されます。
全世界で、毎年およそ22万人の患者さんが新たにER陽性/HER2陰性の進行性乳がんと診断されます5,6。エベロリムスは現在、HER2陽性の進行性乳がんの患者さんの治療薬としても試験が進行しています。