2011年12月19日月曜日

ハザード比

受ける臨床試験の目的、意味を理解することが重要
だれでもわかる臨床試験データの見方・読み方 (2006年12月号) から抜粋

「あとはハザード比(HR)という言葉がよく出てきます。たとえば、ハーセプチンを投与したかしなかったかで、再発がどれくらい免れたかを検証した試験があったとします。片方の群の再発が100だったとして、ハーセプチンを投与した群はたとえば0・52だったとしたら、再発の危険は48パーセント少なくなった、ということになります。つまり、ある治療を行った群で事象が起こる危険性を100なり1なりとして、もう一方の治療でどのくらいの危険性になるかを数字で見たものがハザード比で、最近の論文によく使われています」

また、「信頼区間」という用語が出てきますが、これは全体の数値のばらつきを示したもので、たとえば、すべての値がこの区間内にある確率が90パーセントの場合、「90パーセント信頼区間」とあらわされます。 全文を読む

今日から使える医療統計学講座
Lesson8 交互作用 2011年12月19日 から抜粋

例えば,乳がんの再発率を比較するハザード比は0.79[95%信頼区間=0.70-0.90,p=0.0005],つまりアナストゾールの投与により,再発率が21%削減したと理解できます。しかし,これは研究対象者全員の平均的な結果に過ぎないので,どのような特性を持った患者に対してより効果があったのかを調べるために,リンパ節の状態,腫瘍サイズ,ホルモン受容体(陽性/陰性),過去の薬物治療の有無などによってグループ分けを行い,それぞれのグループごとにアナストゾールの効果が解析されました(図)。

ホルモン受容体陽性患者では,アナストゾールのハザード比は信頼区間に効果がないという値の1を含んでいないので有意差があり,一方,ホルモン受容体陰性患者では,ハザード比が1に近く信頼区間も1を含んでいるので有意差がないとされました。この結果から,ホルモン受容体陽性患者のほうがアナストゾールの効果が大きいと結論付けられたようです。 全文を読む