2011年8月10日水曜日

薬剤性の間質性肺炎

薬剤性の間質性肺炎は重大な副作用の一つです。 その機序はまだ十分に解明されていませんが, 薬剤アレルギーや線維芽細胞からのサイトカイン産生亢進がその機序として考えられているようです。

抗生物質, 抗菌剤, 金製剤, 抗不整脈剤, 漢方薬などアレルギー反応によるものは比較的早期 (薬剤投与1週間以内) の発症が多く, また抗ガン剤, 免疫抑制剤など細胞毒性によるものは比較的長期の投与で起こるといわれています。

このような薬剤を処方される場合は間質性肺炎の副作用があることや 「息切れがする, 息苦しくなる, 空咳がでる, 不明な発熱」などの初期症状が現れた場合は直ちに主治医に連絡するように患者指導する必要があります。

▼抗悪性腫瘍剤
アルケラン, イレッサ, エスキノン, エンドキサン, オダイン, カソデックス, グリベック, スタラシド, ゼローダ, -, ナツラン, ノルバデックス, -, ハイドレア, フトラフール, フルツロン, ベサノイド, ベラゾリン, マブリン, ミフロール, UFT

▼抗菌剤
オゼックス, ガチフロ, クラビット, シプロキサン, スオード, スパラ, タリビット, バクシタール, バクタ, フルマーク, メガロシン, ロメバクト

▼消炎鎮痛解熱剤
ナパノール, ボルタレン, ミナルフェン, レリフェン, ロキソニン

参考文献) 重大な副作用回避のための服薬指導 (薬時事報社)
医療薬日本医薬品集2004(日本医薬情報センター)

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2011-04-08
薬害イレッサ東日本訴訟で国の責任が認められました

2011年3月23日、東京地方裁判所は、薬害イレッサ東日本訴訟において、国とアストラゼネカ社の責任を認める画期的な判決を言い渡しました。

肺がん治療薬イレッサは、2002年7月、世界で初めて日本で承認されました。承認前から、雑誌やインターネット等で副作用が少ないとの宣伝がなされましたが、厚生労働省の発表だけでも、承認から半年で180人、2010年9月までで819人がイレッサの副作用である間質性肺炎によって亡くなりました。薬害イレッサ訴訟は、イレッサの副作用により亡くなった方の遺族ら及び生存患者が、イレッサを承認した国及び輸入販売元であるアストラゼネカ株式会社に対し、損害賠償を求めた訴訟です。

今年2月25日、大阪地裁は、発売当初の添付文書では、間質性肺炎という致死的な副作用があることの情報提供が不十分であったとして、アストラゼネカ社に製造物責任法上の責任があるとしました。しかし、国の責任については、国の対応が万全のものであったとは言い難いとしながらも、法的責任までは認められないとしていました。

そして3月23日、東京地裁は、アストラゼネカ社の責任について、大阪地裁と同様、副作用に関する警告が不十分であったとして、製造物責任法上の責任を認めました。そして、国の責任についても、添付文書の内容が不十分であったのに、これを改善させるための指導を怠ったとして、国家賠償法上の責任を認めたのです。

二度の判決により、国とアストラゼネカが被害者を救済しこの問題の解決を図るべきことは明らかになりました。原告団・弁護団は、国とアストラゼネカ社に対し、この問題の早期全面解決を図るべく、協議することを申し入れています。国とアストラゼネカ社は、不当にもこの判決を不服として控訴し、争う姿勢を見せていますが、解決を先延ばしにするべきではありません。

今後とも、薬害イレッサ訴訟の解決に向けて、みなさまのご支援をお願いいたします。