2011年7月17日日曜日

癌専門家がベバシズマブの転移性乳癌適応取り消しを支持

最近、この「アバスチン」の情報がRSSリーダーにいくつも引っ掛かってくる。“ 日本においては2006年4月21日、中外製薬がアバスチンの製造販売承認を厚生労働省に申請し、2007年4月18日「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」の治療薬として製造販売承認を受けた ”だけで、乳がんの治療薬としては使われていなかったのかな・・・?

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薬剤の作用機序および治療効果をもたらす対象の不明確さを理由に、抗癌薬ベバシズマブ(商品名:アバスチン)の転移性乳癌に対する適応承認を取り消すという米国食品医薬品局(FDA)諮問委員会の勧告に対し、腫瘍専門医および一部の乳癌(がん)サポート団体が支持を表明している。

同薬は、転移性HER2陰性乳癌に対し、化学療法薬タキセルとの併用を条件に2008年にFDAにより適応追加が迅速承認された。

FDAでは昨年(2010年)秋に同薬を製造しているジェネンテックGenentech社に同薬の転移性乳癌適応の承認撤回を勧告し、その後実施された2日間の公聴会終了時に、6人の癌専門家で構成するFDA諮問委員会は、同薬が有効でなく、危険な副作用を引き起こすため、承認を取り消すべきであると決定した。この決定に法的拘束力はなく、現在はFDA長官のMargaret Hamburg氏に委ねられている。

諮問委員会が精査した各臨床試験では、同薬を服用した女性が化学療法を併用しており、癌の進行予防が同薬によるものか化学療法によるものか明確でなく、死亡など重篤な副作用のリスクがみられ、延命の便益は認められなかった。ただし、乳癌適応承認が取り消されても、進行大腸癌、肺癌、腎臓癌、脳腫瘍にも用いられているため市場から消えることはなく、腫瘍専門医には転移性乳癌患者に“承認外(off label)”で処方する選択肢が残る。

NPO団体である米乳癌アクション(BCA)のKaruna Jaggar氏はヘルスデーに対し、「諮問委員会は正しい決断を下した。我々は、FDAがアバスチンに対し批判的立場をとり、これまでの同薬の研究で証明されていない全生存期間(OS)に着目するよう主張してきた。同薬の恩恵を得られる女性を特定する臨床試験をジェネンテック社が行うなら支持する」と語っている。

ジェネンテック社を所有する巨大製薬会社ロシュ社は、欧州委員会(EC)がアバスチンの適応を転移性乳癌にまで広げ、化学療法薬カペシタビン(商品名:ゼローダ)との併用を認めたことを発表している。(HealthDay News 7月1日)