日本の公的医療保険制度のルールに「混合診療は全額自己負担」というものがあります。
「混合診療」とは、健康保険が適用になる診療と、保険外の診療の両方をミックスして行うことをいいます。日本の健康保険では、保険外の治療法や医薬品を使うと「自由診療」扱いになり、保険がきく部分も含めて全額自己負担になるという原則があります。
この混合診療に関しては、平成18年10月の健康保険法等の改正で部分解禁となり、「先進医療」として国が認めた診療を受ける場合には、先進医療にかかる技術料以外の通常の治療と共通するもの(診察、検査、投薬、入院料等)は、健康保険制度の対象となりました。つまり、先進医療の技術料は10割負担でも、その他の部分は3割負担ということに変わったのです。
「先進医療」とは新しい医療技術のうちある程度の実績を積んだもので、厚生労働省が認定したものです。そのため、海外で実績があっても国内では「先進医療」に該当しない保険外の治療法や治療薬を使うと、治療開始分から自由診療に切り替わり、全額負担になってしまうのです。自由診療となると、一定額以上の医療費がかかったときに上限を超えた分が返金される「高額療養費制度」の対象にもならないため、個人の負担は大きなものになります。